オミクロンと経済:「ただの風邪」「ノーガード」は論外

2022/02/07

オミクロン型の驚異的な感染力

オミクロン型のコロナウイルスは、従来型とは感染力のレベルが違います。その感染を抑えない限り、経済の急回復は困難です。よって、緊急事態宣言の発令有無にかかわらず、感染防止策を続けるべきです。

ただ、コロナウイルスの撲滅は難しいため、それとの「共存」を覚悟すべきなのかもしれません。しかしそれは、感染防止策を放棄する「ノーガード」であってはなりません。特にオミクロン型の驚異的な感染力を踏まえれば、インフルエンザや「ただの風邪」と全く同様にそれを扱うのは、極めて無責任です。

英国はノーガード戦法ではない

最近注目されているのは、英イングランドの動きです。1月下旬、感染防止のための規制が、ほぼ撤廃されたのです。しかしそれを見て、「(コロナは)ただの風邪」派が英国で勝利した、と言うのは誤りです。

英国では、昨年12月に感染が急拡大する中、国民の約半分が混雑した場所を避けました(図表1)。おそらくそれが寄与し、1月には感染者が減少しました。そうしたことに加え、ワクチンの追加接種が進展したことを踏まえて行動規制が緩和されたのであり、「ただの風邪」が通念になったわけではありません。

南アフリカも感染防止策が奏功

また、オミクロン型ウイルスを軽んじる人が挙げるのは、南アフリカの事例です。昨年11月にオミクロン型が世界で最初に確認されたこの国では、12月には感染者が自然に減少傾向へ転じた、と言うのです。

そのような言説も、誤解に基づいています。たしかに同国では最近、感染者が減少しています。しかし、オミクロン型を「ただの風邪」と政府や人々がみなし、感染が自然に収束する可能性に賭けたのではありません。夜間の外出禁止令、集会の人数制限、マスクの着用義務といった策で、感染者が減ったのです。

コロナウイルスとの戦いは継続

2月には、デンマークが行動規制をほぼ撤廃しました。これは英国と同様、ワクチンの追加接種や検査体制の整備が進んでいるからです。そのように世界各国は、何らかの形でコロナとの戦いを続けています。

ただ、全面的なロックダウン(厳しい行動制限)の導入には、各国とも消極的です(中国の最近のロックダウンも、地域を限定)。とはいえ現在、例えばドイツやイタリアでは、飲食店や公共交通機関などを利用する際、ワクチンの接種証明などが必要です。「ただの風邪」であれば、そのような措置は不要でしょう。

感染防止策が経済正常化を支援

オミクロン型の重症化率は低いとしても、人々が感染を不安視するのは当然です。また、感染者が爆発的に増えれば、経済活動を妨げます。そのため、経済の見地から言っても、感染防止策の徹底が必要です。

感染が拡大する限り、経済は正常化しません。米国でも最近、感染への心配(図表2)から、不要不急の外出を控える動きがみられます。これはインフレとともに、当面の米景気を圧迫しそうです。よって日本も、「ただの風邪」という言説を却下し、「経済を回す」ためにも、各人が感染防止に努めるべきです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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