危機か、解放か:2020年、世界10大ニュース

2020/12/28

SARS-CoV-2というウイルスが引き起こすCOVID-19(いわゆる新型コロナウイルス感染症)は、約176万人の命を奪い、いまも毎日約1万人が死亡しています(図表1)。以下に挙げる今年の10大ニュースは、当然ながら、どれもこの惨事に関連しています(筆者選定。順序は重要度とは無関係)。しかし、物事には、悪い面と良い面があります。このウイルスによる闇の中にも、光はたしかに射しています。

悪い面:人類の危機?

  1. 感染症への弱さ:中世西欧を襲ったペスト、約100年前のスペイン風邪など、人類の歴史は、感染症とともにあります。その脅威は全く去っていないことを、今年の経験で改めて教えられました。
  2. 経済の落ち込み:様々な活動制限によって、4-6月期、欧米や日本などの経済は、極端に落ち込みました。年間でも、中国などを除き、主要国の多くはマイナス成長(GDP減)となる見込みです。
  3. 格差の拡大:特に観光などの業種は、深刻な打撃を受けました。また、非正規の就業者などへの各国の支援は、十分と言えません。これらのため世界的に所得格差が拡大し、貧困者が増えています。
  4. 社会の不安定化:格差の拡大は、人々の不満を高め、社会の亀裂を深め、政治への信用を損ないます。米国などで広がった人種差別に対する抗議運動(BLM)も、そうした観点から理解すべきです。
  5. 孤独と疎外:感染症対策の基本は、他人への接近回避です。よって、ソーシャルディスタンスの確保は、やむを得ないことです。ただ、それにより、孤独感や疎外感に悩む人も少なくありません。

良い面:人間性の解放

  1. 科学への信頼:科学者は、感染症の脅威を前から警告していました。またCOVID-19のワクチン接種が、早くも始まりました。これらで向上した科学への信頼は、気候変動との戦いでも有益です。
  2. 経済の底力:世界経済は後退したものの、崩壊は免れました。これは、オンライン関連など、需要が増えた分野もあるからです。また、各国の金融緩和や企業支援なども、大きく貢献しています。
  3. 株価の上昇:そうした経済構造や各国の政策に支えられ、主要国の株価は、3月に一時暴落した後は、大幅に上昇しています(図表2)。このことは、富裕層や株式投資家にとっては良いことです。
  4. ポピュリズムの退潮:国難時に求められるのは、刺激的な話題を提供するポピュリズム政権ではなく、有能な政府です。米大統領選でトランプ氏が敗れたのは、ポピュリズムの敗北と言えるでしょう。
  5. 内省の好機:ソーシャルディスタンスや「巣ごもり」は、軽薄になりがちな現代人へ、貴重な内省機会を与えています。また、在宅勤務などの定着は、無意味な管理からの解放をもたらすはずです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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