感染第1波と各国経済:これから何をなすべきか?

2020/08/25

4-6月期のデータがほぼ出そろい、第1波の影響が明らかに

コロナウイルスとの戦いは、まだ始まったばかりです。それでも世界経済は、今年5月頃までの第1波を何とか耐えました。4-6月期、景気は悪化しつつも、大恐慌のような事態には至らなかったのです。

各国の実質国内総生産(GDP、図表1)など、この期のデータから言えるのは、そのようなことです。それらの多くは大幅なマイナスですが、旅行、外食などの業種を除き、壊滅的というほどではありません。「ステイホーム」に伴い、インターネット関連など、逆に需要が増えた部門も少なくありません。

日米は10%以下のマイナス成長だが、景気の基調は強くない

日本の4-6月期GDPは前期比7.8%減(年率換算前、以下同様)と、欧米に比べ小幅なマイナスでした。ただし、マイナス成長は3期連続なので(図表2)、景気の基調が相対的に強いとは言えません。

米国は同9.5%減と、2期連続のマイナス成長になりました。米国はコロナウイルスの感染者が世界最多で、営業制限などのロックダウンも、日本よりは厳しいものでした。それでも10%以下のマイナス成長にとどまったのは、超大型の景気対策や金融緩和により、家計や企業が辛うじて支えられたためです。

感染に対する取組みの差がドイツと英国の経済実績の大きな差に

より厳しいロックダウンを用いた欧州の国々は、極端なマイナス成長に沈みました。ただ、感染検査や景気対策を迅速に行ったドイツの場合、前期比10.1%減と、米国並みのマイナス幅にとどまりました。

ドイツでは、そうした検査などが奏功し、スペインなどに比べてロックダウンは緩やかでした。一方、当初コロナウイルスを甘くみた英国は、検査などが遅れ、感染が拡大し、遅れて導入されたロックダウンが長引きました。これらの結果、英国の4-6月期GDPは同20.4%減と、ひどい実績を残しました。

日本を除く東アジアは感染抑止と経済の両面で相対的に優秀な実績

日米欧とは異なり、中国はこの期に前期比11.5%増と、大幅なプラス成長を記録しました(通常報道される前年比では3.2%増)。コロナウイルスが最初に流行した国ですが、その抑止も早かったためです。

また、台湾は同1.4%減、韓国は同3.3%減と、いずれも比較的小幅なマイナスにとどまりました。台湾は早期の入国規制など、韓国では大量の検査などが寄与し、コロナウイルスを早めに制御できたからです(ただ、韓国では現在、感染再拡大の動きも)。いずれも、欧米に比べロックダウンは緩やかでした。

適切な景気対策と感染防止策を行った場合に限り、持続的な景気回復へ

7-9月期は、多数の国で大幅なプラス成長が予想されます。ただしその主要因は、ロックダウン緩和に伴う一時的な需要増です。その後の世界景気は、ワクチン開発も含めウイルスとの戦い次第でしょう。

その際、第1波の教訓を生かせます。第一に、不運にも打撃を受ける業種や人に対し、財政による支援が不可欠です。第二に、基本的な感染対策を怠ってはなりません。検査や対人距離確保、在宅勤務などを最大限に行った場合のみ、ロックダウンは部分的なもので済み、景気への影響も限定されるのです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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