来週の金融市場見通し(2026年8月17日~2026年8月21日)
■来週の見通し
今週、米国では消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が公表され、いずれも前月から伸びが鈍化しました。市場では、インフレ懸念が後退するとともに、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が弱まり、日米の株価は上昇しました。中東情勢については、米国とイランがともにホルムズ海峡の支配権を主張するなど意見が対立しており、協議に進展は見られませんでした。
来週は、中東情勢に加え、日本の国内総生産(GDP)や消費者物価指数に注目です。
◆株価 :底堅い動きか
今週の日本株は、上昇しました。リクルートホールディングスやTOPPANホールディングスなど、好決算を発表した銘柄が大きく上昇し、指数を押し上げました。FRBの利上げ観測が後退したことも、好感されました。半導体株は、米半導体メモリのサンディスクが投資家向け説明会で、先行きの業績に強気な見通しを示したことで同社の株価が急上昇したことが波及し、半導体メモリ大手キオクシアホールディングスなどを中心に買いが優勢となりました。
来週も、好調な企業業績が追い風となり、底堅い動きが続きそうです。17日に公表される日本のGDP統計で、成長率が想定以上に伸びると、株式市場は好感しそうです。他方、中東情勢が悪化すると、株価が調整する場面も想定されます。
◆長期金利 :一進一退
今週の長期金利は、7月の金融政策決定会合の「主な意見」で、政策委員から物価の上振れリスクへの警戒や、利上げペースを速めることを示唆する意見が複数上がっていたことが判明したことに加え、高市政権が早期利上げを容認したとの見方から、日銀が早期に利上げするとの観測が強まり、上昇する動きになりました。
来週の長期金利は低下しにくい状況が続きそうです。日米の協調為替介入(円安是正)の効果を維持したい政府が、日銀の早期利上げを支持していると伝わったことは、長期金利の低下を抑制しそうです。もっとも、7月の米CPIの上昇率が前年同月比で前月から鈍化し、早期の米利上げ観測が後退していることは、国内金利の上昇を抑制することも想定されます。5年国債、20年国債入札も確認したいところです。
◆Jリート :方向感を探る
今週のJリート市場は、機関投資家の夏季休暇シーズンで市場の出来高が細る中、横ばいで推移しました。東証REIT指数(配当なし)1,800ポイント付近では押し目を拾う買いなどがみられた一方、長期金利の上昇が続く中、日銀の9月会合での追加利上げ観測が高まったことが重しとなりました。今週末の分配金利回りは5.093%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、長期金利や株式市場の動向、米・イランの和平協議をにらみつつ、方向感を探る展開を想定しています。日銀の早期利上げ観測が高まっているほか、財政悪化懸念から長期金利に上昇圧力がかかりやすい状況ですが、下値を拾う買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:方向感を探る
今週のドル円は、上昇しました。高市政権が日銀の早期利上げを容認したとの見方が広がったことや、弱い経済指標を受けて早期の米利上げ観測が後退したことから、円買い・ドル売りが優勢になる場面もありましたが、日米の金利差が開いた状態が続くとの見方などから、159円台まで上昇する動きになりました。
来週は、中東の混迷によるエネルギー輸送の停滞が長引くとの見方から、エネルギー輸入の多い日本の貿易赤字が拡大するとの思わくや、日米金利差に着目したドル買いが、ドル円の下支え要因となりそうです。もっとも、日銀が9月か10月の会合で利上げするとの観測に加え、早期の米利上げ観測が後退していることや、日米両政府による追加の円買い介入への警戒感などが、ドル円の上値を抑えそうです。
◆米国株 :一進一退の動きか
今週の米国株は、上値の重い動きとなりました。エネルギー供給の正常化に見通しが立たず、原油価格の高止まりが続いていることが株価の下押し圧力となりました。他方、CPI・PPIでインフレ率の伸びの鈍化が確認されたことで、米利上げ観測が後退したことは株価の押し上げ要因となりました。半導体株は、値ごろ感からメモリ大手マイクロンテクノロジーなどを中心に堅調な動きとなりました。
来週は、一進一退の動きが予想されます。これまでに発表された4~6月期の決算発表が好調であったことが株価の下支え要因となりそうです。また、米利上げ観測が後退していることも、株価を押し上げることが期待できます。他方、米国とイランの対立が続いていることは、株価の上値を抑えるとみられます。
■来週の注目点
GDP統計(26/4-6月期、1次速報)8月17日(月)発表
2026年1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前期比年率+1.8%と2四半期連続のプラス成長となりました。政府の物価高対策を追い風に個人消費が増加したほか、輸出も堅調な伸びとなりました。
2026年4-6月期の成長率は、同+2.0%と力強い成長を予想しています。政府のガソリン代補助や実質賃金の改善が個人消費を下支えしたほか、省力化・人工知能(AI)関連投資も増加したと考えられます。
米鉱工業生産・設備稼働率(7月)8月18日(火)発表
6月の鉱工業生産指数は前月比+0.1%と、3か月連続で増加しました。中東の紛争により中東産の原油供給が滞っていることを背景に、世界的に米国産原油の需要が高まっており、エネルギー関連産業の生産が増加しています。加えて、AIブームに伴う半導体需要の増加を追い風に、電子部品関連の生産も全体を押し上げています。
鉱工業生産は当面、底堅い推移が見込まれます。生産が拡大していけば、設備投資や輸出の拡大を通じて経済の押し上げ要因になるほか、製造業の雇用増にもつながると考えられます。
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