来週の金融市場見通し(2026年7月6日~2026年7月10日)
■来週の見通し
先週末には米国とイランとの間で停戦合意が守られず、双方が再び攻撃を繰り返す局面もありました。その後、28日には米国とイランが攻撃停止で合意したと伝わり、市場には再び安心感が広がるなかで、原油価格は低下傾向で推移しました。今週の株式市場は、半導体株が一部で調整しましたが、それ以外のセクターには買いが広がり、総じてみれば底堅い動きとなりました。
来週は、引き続きホルムズ海峡の動向に加え、日本の賃金統計などが注目されます。
◆株価 :出遅れ銘柄を物色する動きか
今週の日本株は、底堅い動きとなりました。銀行や保険などの金融株や自動車株、ゲーム関連株など幅広い業種に買いが広がりました。ただし、これまで急ピッチで上昇してきた半導体株は、半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスなどを中心に調整しました。半導体株の影響を受けやすい日経平均は、荒い値動きとなりました。
来週も、これまで急上昇してきた半導体株は不安定な動きとなる一方、出遅れ感のあるトヨタ自動車などの自動車株やソニーグループなどのゲーム関連株などを物色する動きが続く可能性があります。高市政権の経済政策や米ISM非製造業景況指数などの米経済指標が相場を動かす要因となりそうです。
◆長期金利 :低下しにくい
今週の長期金利は、日本政府が近くまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)をめぐる財政拡張への懸念に加え、日銀のインフレへの政策対応が後手に回るとの見方などから、上昇する動きになりました。10年国債入札が投資家需要が集まらない「低調」な結果となったことも、長期金利を押し上げました。
来週は、国内の物価上昇への警戒感がくすぶる中、政権が利上げをけん制しているとの見方から、日銀のインフレ抑制が後手に回るビハインド・ザ・カーブの可能性が意識されていることや、財政運営への懸念などから、低下しにくい状況が続きそうです。とはいえ、米国とイランの和平協議が進展しているとの観測を背景に原油価格が下落していることに加え、押し目買いなどから、一段の上昇は限定的となる可能性があります。
◆Jリート :戻りを試す展開か
今週のJリート市場は、財政悪化懸念を背景に長期金利が上昇する中、週前半は下落しました。その後、長期金利が一時2.8%台まで上昇する中でJリート市場は反発し、週前半の下げ以上に上昇して引けました。今週末の分配金利回りは4.998%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、長期金利の動向や米・イランの和平協議を確認しつつ、戻りを試す展開を想定しています。財政悪化懸念を背景に長期金利が急ピッチで上昇するとJリート市場の下押し圧力となる可能性があります。一方、ホルムズ海峡の運航再開に向けた米・イランの和平協議が進展すると長期金利の上昇を和らげる可能性もあり、Jリート市場を下支えすることが期待されます。引き続き、割安感に着目した買いにも期待したいところです。
◆為替:為替介入を警戒
今週のドル円は、米国の利上げ観測の高まりに対し、日銀は利上げに動きにくいとの思わくが広がったことから、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが増え、一時162円84銭近辺と1986年12月以来の高値まで上昇しました。ただ、その後は6月の米雇用統計が市場予想を下回り、早期の米利上げ観測が後退したことなどから、低下する動きになりました。
来週は、政府が日銀による利上げをけん制しているとの見方から、追加利上げ観測が後退していることが、ドル円を押し上げる可能性があります。もっとも、日本政府・日銀が不意打ちで円買い為替介入に踏み切る可能性があると伝わったことで、介入への警戒感が一段と高まっていることや、早期の米利上げ観測が後退していることから、一段の上昇は限定的になる可能性があります。
◆米国株 :経済指標に注目
今週の米国株は、主要ハイテク株や消費関連株など幅広い業種に買いが入り、底堅い展開となりました。米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けて、米利上げ観測が後退し、株価を押し上げました。アップルは、同社のスマートフォンに搭載する半導体メモリーのコストを抑えるために中国企業から調達を検討しているとの報道を受けて、同社の業績を押し上げるとの期待から大きく上昇しました。他方半導体株は、半導体メモリー大手のマイクロンテクノロジーを中心に、業績に悪影響が及ぶかもしれないとの懸念から売りが優勢となりました。
来週は、米ISM非製造業景況指数などの経済指標が相場を動かす要因となりそうです。半導体株は、不安定な動きが続く可能性があります。
■来週の注目点
毎月勤労統計調査(5月)7月7日(火)発表
毎月勤労統計調査によると、4月の実質賃金は前年比+2.0%と、4か月連続で増加しました。名目賃金が同+3.6%と高い伸びを維持したことが背景です。
5月の実質賃金は、引き続きプラス圏で推移することが見込まれます。コメ価格の下落や政府のガソリン補助金などが物価の伸びを抑制したためです。
2026年春闘では高い賃上げが実現し、夏場にかけて名目賃金が高水準で推移していくとみられます。賃金の改善は、個人消費の下支えとなることが期待されます。
中国生産者物価、消費者物価(6月)7月9日(木)発表
これまで、中国では不動産不況や国内需要の低迷が続く中で、物価が伸び悩んできました。しかし足元では、中東紛争を背景とする資源価格の高騰で、生産者物価が急速に高まっています。5月の消費者物価指数は前年比+1.2%だったのに対し、生産者物価指数は同+3.9%と大幅に上昇しました。
生産者物価はサプライチェーンの上流の物価を示していますので、徐々に川下である消費者にも転嫁されていくことが想定されます。中国の個人消費は減速傾向が続いていますが、消費者物価の加速が追い打ちになるリスクがあります。
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