来週の金融市場見通し(2026年6月8日~2026年6月12日)

2026/06/05

■来週の見通し

今週、米国とイランの戦闘終結に向けた交渉は膠着状態が続きました。先週、両国の担当者は暫定的な合意案を完成させましたが、この案をトランプ大統領が容認しなかったため、戦闘終結には至りませんでした。その後、米国・イラン双方が攻撃を実施し、先行きの不透明感が高まっています。他方、トランプ氏からの圧力を背景に、イスラエルとレバノンは停戦履行で合意しました。こうしたなか、株価や原油などは一進一退の動きとなりました。来週は、中東情勢に加え、米国の消費者物価指数が注目されます。

◆株価 :中東情勢や米経済指標に注目

今週の日本株は、一進一退の動きとなりました。日経平均株価は3日に、6万8千円台まで上昇しましたが、週末にかけては、半導体株の調整を受けて売りが優勢となりました。半導体株は、米マーベル・テクノロジーの株価急上昇が波及し、大きく上昇する場面がありましたが、週末は米ブロードコムの株価下落が嫌気され、売りが優勢となりました。

来週は、中東情勢や米国の経済指標発表が注目されます。交渉は難航していますが、米国とイランが、戦闘終結で合意した場合、株式市場は好感しそうです。他方、米消費者物価指数(CPI)などの物価指標が大きく上振れた場合、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが意識されることで、株価を下押しする可能性があります。

◆長期金利 :引き続き中東情勢にらみ

今週の長期金利は、一進一退の動きの中、やや上昇しました。10年国債入札が投資家需要を集める「強め」の結果となったことから、需給の引き締まりが意識され、国債に買いが集まり、長期金利は一旦低下する動きになりました。ただ、その後は米国とイランの戦闘終結に向けた交渉の先行きが見通せないとして原油価格が上昇したことを受けて、再び上昇する動きになりました。

来週は、米雇用統計を受けた米長期金利の動きや中東情勢などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。原油価格の高止まりが続くと、インフレへの警戒から長期金利が押し上げられる可能性があります。日銀の利上げ観測も金利の押し上げ材料です。もっとも、過度な財政悪化懸念が後退していることは、金利上昇を抑制する可能性があります。

◆Jリート :米・イラン協議に注目

今週のJリート市場は、下落しました。米・イランの双方が軍事攻撃を実施したことで、終戦協議の先行きに対する不透明感が高まりました。長期金利の上昇は一服しているものの、植田総裁が6月会合での利上げに前向きな姿勢を示したこともあり、Jリート市場は軟調地合いが継続しました。今週末の分配金利回りは5.229%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、長期金利や米・イランの終戦協議を確認しつつ、下値の目途を探る展開を想定しています。米・イランの終戦協議は先行きが見通しにくい状況ですが、終戦協議が妥結すると長期金利が低下する可能性もあり、Jリート市場を下支えすることが期待されます。また、安値を拾う買いにも引き続き期待したいところです。

◆為替:中東情勢にらみ

今週のドル円は、イランの交渉団が仲介者を通じた米国との間接的な協議や文書のやりとりを停止したと伝わるなど、戦闘終結が見通せない中、原油価格の高止まりを受けて、日本の貿易収支の悪化を警戒した円売り・ドル買いが優勢でした。ドル円は一時160円まで上昇しましたが、為替介入への警戒も広がり、若干ながら上げ幅を縮小しました。

来週は、米雇用統計を受けた米金融市場の動きや中東情勢などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。米・イランの戦闘終結に向けた交渉をめぐる不透明感が一段と強まると、原油価格の高止まりへの警戒から円売り・ドル買いが広がる可能性があります。もっとも、為替介入への警戒や、日銀が6月の会合で利上げに踏み切るとの観測は、ドル円の上値を抑えそうです。

◆米国株 :中東情勢や物価動向に注目

今週の米国株は、好調な経済指標が支えとなり、底堅い動きとなりました。半導体株は、エヌビディアのジェンスン最高経営責任者(CEO)が、通信半導体を手がけるマーベル・テクノロジーについて「次の1兆ドル企業だ」と発言したことをきっかけに、同社の株価が急騰したことが追い風となり上昇しました。ただし、4日の決算発表後にブロードコムの株価が急落したことで、週末にかけては売りが優勢でした。同社は、5~7月期の売上高見通しが市場予想を下回ったことが嫌気されました。

来週は、中東情勢や物価動向が注目されます。交渉は難航していますが、米国とイランが、戦闘終結で合意した場合、株式市場は好感しそうです。他方、CPIなどの物価指標が大きく上振れた場合、利上げが意識されることで、株価を下押しする可能性があります。

来週の注目点

企業物価指数(5月)6月10日(水)発表

4月の企業物価指数は、前年比+4.9%と前月から大きく加速しました。中東紛争を受けて石油関連製品が高騰しているほか、ナフサ不足などを背景に化学製品の物価も急速に上昇しています。

5月の企業物価指数も加速が見込まれます。石油や化学関連製品の高騰がほかの製品にも波及し、幅広い分野の企業物価が上昇するか、注目されます。

また、企業物価指数は流通段階の川上の物価を示すため、今後、徐々に川下である消費者に価格転嫁されていくことが想定されます。

米消費者物価指数(5月)6月10日(水)発表

4月の消費者物価指数(CPI)では、中東紛争によるエネルギー高騰を受け、総合指数が前年比+3.8%と急速に加速しました。コア指数は同+2.8%と小幅な加速にとどまっています。

5月のCPIは総合指数で前年比+4.2%、コア指数で同+3.0%といずれも加速が見込まれています。ガソリンなどのエネルギー関連分野だけでなく、家具・家電・衣料品・サービスなどの非エネルギー分野でも物価の急加速がみられれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にも影響する可能性があります。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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