来週の金融市場見通し(2026年6月1日~2026年6月5日)

2026/05/29

■来週の見通し

今週、市場では米国とイランの戦闘終結に向けた合意が近いのではないか、との見方が広がり、原油価格は下落し、株価は上昇傾向で推移しました。28日には、両国の担当者間で暫定合意に達し、トランプ大統領の承認待ちであると報じられています。覚書案では、1か月以内にホルムズ海峡の航行を正常化することなどが盛り込まれた一方で、イランが保有する濃縮ウランの処分方法などについては双方の主張に食い違いが見られます。来週は、中東情勢に加え、米国の雇用関連指標が注目されます。

◆株価 :AI・半導体株の動向に注目

今週の日本株は、米国とイランの戦闘が終結するとの期待が株価を押し上げ、上昇しました。米オープンAIが上場の準備をしているとの報道を受けて、同社に出資するソフトバンクグループの投資利益が拡大するとの期待から同社の株価が上昇し、指数を押し上げました。

来週は人工知能(AI)・半導体株の動向が相場を動かしそうです。足元の株式市場は、ソフトバンクグループやアドバンテストなどのAI普及の恩恵を受けることが期待される銘柄の動きに左右される展開が続いています。関連企業の業績が拡大していることや米国でAI関連企業の大型上場が予定されていることは追い風要因となりそうです。他方、ソフトバンクグループなど一部銘柄の株価上昇は急ピッチであるため、利益確定売りに押され、指数の押し下げ要因となる可能性もあります。

◆長期金利 :引き続き中東情勢にらみ

今週の長期金利は、米国とイランの戦闘終結に向けた協議進展への思わくから原油先物相場が下落したことを受けて、原油高を通じた国内インフレ加速への懸念が和らぎ、低下する動きになりました。米・イランの60日間の停戦延長などを盛り込んだ覚書をめぐり、双方の交渉担当者が「暫定合意」に達したと明らかにしたことも、国内金利を押し下げました。

来週は、引き続き中東情勢に左右される展開が続きそうです。米・イランの交渉が暫定合意に達したと伝わり、戦闘終結に向けて前進しているとの見方が広がっていますが、トランプ米大統領が保留にしているなど、不透明感は残っている状況です。仮に和平協議が進んだ場合には国内金利が一段と押し下げられる可能性があります。日銀総裁の講演や10年国債入札も確認したいところです。

◆Jリート :下値の目途を探る

今週のJリート市場は、小幅に上昇しました。トランプ大統領がイランとの終戦協議について合意に近いとの認識を示した一方、米国がイランに新たな軍事攻撃を実施するなど、協議の行方が不透明な状況が継続しましたが、週後半に停戦に関する暫定合意が報じられたことが好感されました。今週末の分配金利回りは5.062%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、長期金利や米・イランの終戦協議を確認しつつ、下値の目途を探る展開を想定しています。米・イランの終戦協議は先行きが見通しにくく、トランプ大統領も協議を急がない姿勢を示しています。とはいえ、米・イランの終戦協議が妥結すると長期金利が低下する可能性もあり、Jリート市場を下支えすることが期待されます。また、安値を拾う買いにも期待したいところです。

◆為替:中東情勢にらみ

今週のドル円は、159円を挟んで狭いレンジながらも一進一退の動きとなりました。週前半は米国とイランの戦闘終結に向けた交渉をめぐる不透明感が意識され、ドル買いが優勢でした。ただ、米政府関係者が28日、米国とイランの交渉が暫定合意に至り、トランプ米大統領の承認を待っていると記者団に明らかにしたことを受けて、上げ幅をやや縮小する動きになりました。

来週は、引き続き中東情勢に左右される展開が続きそうです。米・イランの覚書についてはトランプ氏が保留しているなど、不透明感が残っています。仮に和平協議が進んだ場合にはドル円が押し下げられる可能性があります。日本政府・日銀による円買いの為替介入への警戒もドル円の上値を抑えそうです。日銀総裁の講演も確認したいところです。

◆米国株 :中東情勢や経済指標に注目

今週の米国株は、米国とイランの戦闘が終結するとの期待が支えとなり、底堅い動きとなりました。半導体株は、高性能メモリーの製造を手掛けるマイクロン・テクノロジーの株価が急上昇したことなどから、堅調な動きとなりました。業績拡大を受けて、大手証券会社が見通しを引き上げたことが同社の株価を押し上げました。

来週は、中東情勢や経済指標発表が注目されます。米国とイランが実際に、戦闘終結で合意した場合、株価は一段と上昇することが見込まれます。雇用や企業の景況感を示す経済指標の発表も相場を動かす材料となりそうです。中東の紛争による経済への下押し圧力が限定的であることが確認できると、株価を押し上げる可能性があります。

来週の注目点

毎月勤労統計調査(4月)6月5日(金)発表

毎月勤労統計調査によると、3月の実質賃金は前年比+1.4%と、3か月連続で増加しました。名目賃金が同+3.1%と高い伸びを維持したことが背景です。

4月の実質賃金は、引き続きプラス圏で推移することが見込まれます。電気・ガス代支援や、ガソリン補助金が物価の伸びを抑制したためです。

2026年春闘では高い賃上げが実現し、夏場にかけて名目賃金が高水準で推移していくとみられますが、中東紛争によるインフレ圧力が実質賃金を抑制するリスクには注意が必要です。

米雇用統計(5月)6月5日(金)発表

4月の失業率は4.3%と前月から横ばいで推移しました。非農業部門雇用者数も医療・福祉分野がけん引し、前月差+11.5万人と増加しました。中東紛争による雇用への悪影響は4月時点では顕在化していない模様です。

5月の失業率は4.3%と横ばいでの推移が予想されています。また、非農業部門雇用者数は前月差+9.3万人の増加が見込まれています。米国の物価指標には中東紛争によるインフレ圧力が確認されつつある中で、もし解雇増などによって雇用が悪化すれば、物価高と不況が同時に起こるスタグフレーションが懸念されます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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