来週の金融市場見通し(2026年5月18日~2026年5月22日)
■来週の見通し
5月14日~15日にかけて、米国のトランプ大統領は訪中し、習近平国家主席と首脳会談を行いました。習氏が台湾問題について「適切に処理できなければ両国は対立・衝突し、中米関係を極めて危険な境地に追い込むことになる」と警告した場面もありましたが、そのほかは概ね穏やかに進みました。他方、金融市場では、インフレ加速懸念から内外の金利が上昇するなか、株式市場では高値警戒感がくすぶっています。来週、米中首脳会談を終えたトランプ大統領が次の一手を示すかどうか、注目されます。
◆株価 :GDP統計などに注目
今週の日本株は、上値の重い動きとなりました。日経平均株価は、14日に一時6万3千円台後半まで上昇する場面がありましたが、週末は高値警戒感から半導体株を中心に利益確定売りが優勢となりました。個別銘柄では、8日に決算を発表したソニーグループが、ゲーム事業の好調などを背景に2025年度の売上高と営業利益が過去最高となったことを受けて、大きく上昇しました。
来週は、GDP統計などが注目されます。GDPの伸びが市場予想を上回ると、株式市場の押し上げ要因となることが期待されます。また、4月以降海外投資家の資金流入が増加しており、海外投資家の資金流入がさらに増えると、株式市場の追い風となりそうです。ただし、最近の株価上昇を受けて、日経平均には高値警戒感が強まっており、利益確定売りに押される可能性もあります。
◆長期金利 :低下しにくい
今週の長期金利は、エネルギー価格の高止まりがインフレ圧力を高めるとの見方が広がる中、日銀による早期利上げ観測も浮上し、一時2.70%を上回る水準まで上昇する動きになりました。一部報道で2026年度補正予算編成の検討が報じられるなど財政拡大への警戒も長期金利を押し上げました。
来週は中東情勢などをにらみながら、居所を探ることになりそうです。4月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」に続き、日銀の増審議委員の発言が早期利上げに前向きだったことから、長期金利が低下しにくい状況が続きそうです。米国とイランの戦闘終結に向けた交渉が停滞していることも、国内金利を押し上げそうです。とはいえ、29年ぶりの水準まで上昇していることから、一段の上昇は限定的になることも想定されます。
◆Jリート :下値の目途を探る
今週のJリート市場は、下落しました。期待された米中首脳会談前の米・イランの終戦合意が不調に終わり原油価格が上昇する中、日銀の6月会合での利上げ観測の高まりや、政府が2026年度補正予算案を編成する検討に入ったと報じられ、長期金利が上昇したことが重しとなりました。今週末の分配金利回りは4.976%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、長期金利や米・イランの和平交渉の動向を確認しつつ、下値の目途を探る展開を想定しています。引き続き長期金利に上昇圧力がかかりやすい状況ですが、米・イランの和平交渉が進展すると原油価格や長期金利が低下する可能性があり、Jリート市場を下支えすることが期待されます。また、安値を拾う買いにも期待したいところです。
◆為替:中東情勢にらみ
今週のドル円は、堅調な動きになりました。米国とイランの戦闘終結に向けた交渉への進展が見込めず、エネルギー資源の大半を輸入に頼る日本の貿易収支の悪化を懸念して円売り・ドル買いが優勢となりました。4月の米物価指標が市場予想を上回る伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げを再開するとの思わくが広がったこともドル円を押し上げました。
来週は中東情勢に加え、日米金融政策をめぐる思わくに振らされる動きになりそうです。中東情勢をめぐる不透明感が続く中、FRBが利下げに慎重になるとの見方が強まっていることはドルを押し上げそうです。ただ、日銀が利上げに前向きなタカ派的な姿勢を示していることや、為替介入への警戒がドル円の上値を抑えそうです。日銀の小枝審議委員の講演での発言も注目されます。
◆米国株 :エヌビディア決算に注目
今週の米国株は、上昇しました。消費者物価指数や生産者物価指数が市場予想を上回ったことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを迫られるとの警戒感が重しとなりましたが、決算が市場予想を上回ったシスコシステムズが急騰したことなどが株価を押し上げました。なお、上場前から注目されていた新興半導体企業セレブラス・システムズは、上場初日の14日の米国市場で公開価格から約68%上昇しました。
来週は、米国時間20日に予定されているエヌビディアの決算発表が注目されます。同社の決算は、好調な内容となる見込みですが、好決算への期待から、すでに株価は大きく上昇しており、決算発表後は、利益確定売りが広がる恐れがあります。同社決算を受けて、米国市場全体も変動が大きくなる恐れがあります。
■来週の注目点
GDP統計(26/1-3月期、1次速報)5月19日(火)発表
2025年10-12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率+1.3%と、2四半期ぶりのプラス成長となりました。
2026年1-3月期については、引き続きプラス成長が見込まれています。個人消費が増加したとみられるほか、人工知能(AI)関連投資が企業の設備投資を押し上げたと予想されます。
ただし、4-6月期以降は中東紛争を背景としたインフレや原材料不足が、成長率を下押しする可能性があります。
独IFO景況感指数(5月)5月22日(金)発表
ドイツのIFO経済研究所が発表する景況感指数は、3月・4月にかけて急速に悪化しました。4月には84.4と、2020年5月以来の低水準に落ち込んでいます。中東の紛争により、資源価格が高騰したことが背景にあります。
戦闘終結の目途が立たない中で、原油価格は高止まりしています。欧州連合(EU)の中でも最大の経済規模を持つドイツの景況感は、引き続き低水準での推移が予想されます。
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