「チャイナ・ショック」時の記憶は繰り返されるのか?

2019/01/18

祝日による連休明けとなった今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ20,500円の水準を回復した展開となっています。冴えない中国の経済指標(貿易統計や住宅価格)や、英議会でEU離脱案が大差で否決されるなどの材料があった割には堅調な値動きになっていて、これから本格化する日米企業の決算発表の動向次第ではありますが、このまま戻り基調が続きそうな雰囲気にもなってきました。

 

そもそも昨年末に見せた大幅な株価下落は、国内外景気の後退や企業業績の鈍化、政治的要素が強い米中関係や欧州など、市場が意識している懸念を先取りしたものと言えますが、いまだにこれらの懸念そのものは払拭されてはいないものの、売られ過ぎた分については修正されつつあるのかもしれません。とはいえ、中長期的な株価の値動きのパターンが、「チャイナ・ショック」の時に似ているとの指摘もあり、まだまだ油断大敵でもあります。

 

いわゆる「チャイナ・ショック」は2015年の8月に起こりました。当時の日経平均は上昇トレンドが1年以上続いていて、21,000円台乗せをトライしている最中でした。6月・7月・8月と3度にわたってチャレンジしたものの、なかなか21,000円台に乗せきれなかったところにチャイナ・ショックが訪れたことで、ちょうど「トリプルトップ」を形成する格好になりました。

 

2018年の相場についても、2016年の6月頃から始まった上昇トレンドが2度の24,000円台を頂点とした「ダブルトップ」を形作っており、確かに、中期の上昇トレンドから天井パターン形成という流れになっている点は、足元の状況とチャイナ・ショック時とで似ている部分があります。

 

また、2015年8月のチャイナ・ショック時の株価下落は、1カ月半後の10月初旬に下げ止まりを見せますが、この時につけた安値は16,901円でした。下落前の8月高値が20,946円でしたので、4,045円ほどの下げ幅だったことになります。そして、この後の日経平均は年末にかけて大きく反発することとなり、12月あたまには20,000円台を回復させています。

 

問題なのはさらにこの後で、日経平均は2016年の年明けから再び急落に転じます。安値も前回の16,901円を下回り、結局は2月につけた14,865円まで安値を更新することになりました。つまり、足元の相場も「次にやってくる下げの第2弾には注意」ということになります。

 

もちろん、必ずしも歴史が繰り返される訳ではありませんが、「チャイナ・ショックの終焉」(2月)、「日銀がマイナス金利を導入」(2月)、「英国の国民投票でEU離脱が決定」(6月)、「米国大統領選でトランプ氏が勝利」(11月)と、足元の相場が抱えている懸念材料のルーツとも言える出来事が3年前の同じ2016年に起こっている事もあり、チャイナ・ショック時の記憶は今後も何かと意識されることになりそうです。

 

 

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