「変わり身の早さ」ゆえの短期志向

2017/09/15

今週の国内株市場ですが、日経平均はかなりの勢いで値を戻す展開となっています。週初からのわずか3日間で600円ほどの上昇幅になっており、株価水準的にも先週末の終値(19,274円)から一気に19,800円台へと引き上げられています。先週末までの冴えない相場地合いからガラリとムードが変わった格好です。

 

その背景にあるのは、「北朝鮮がミサイル発射などの行動があるのでは」と警戒されていた同国の建国記念日(9月9日)に何も起こらなかったこと、そして、米国を襲ったハリケーン「イルマ」の被害が想定されていたほど酷くはならなそうということが安心感につながりました。

 

もっとも、テクニカル分析的には、日経平均は75日移動平均線のあたりで上昇ピッチがストップしています。75日移動平均線は約3カ月間の値動きの中心線ですから、相場地合いの「変わり身」が早すぎる印象もあり、ここでひとまず様子見ということなのかもしれません。

 

直近数年の日経平均は25日移動平均線から少し相場が動く時で上下3%ぐらい、大きく動く時で上下6%ぐらいの範囲で推移してきました。13日時点の25日移動平均線は19,543円ですので、プラス3%まで上昇すると20,129円まではありそうですが、反対に、下落する時はマイナス3%で18,956円と19,000円台割れになります。

 

ハリケーンの米国経済への影響は、「イルマ」の前に大被害をもたらした「ハービー」の損害も併せてこれから経済指標などで見極めて行くことになります。状況によっては米国の金融政策にも影響を与える可能性もあります。また、北朝鮮についても、ミサイル発射などの行動は同国のイベントよりも、米国独立記念日(7月4日)や米韓合同軍事演習のタイミングなど、周辺国の動向に合わせて行う傾向があります。

 

8月に株式市場が北朝鮮リスクで株価が下落した場面がありましたが、その時は8月5日に国連安保理で経済制裁が決議され、その数日後に北朝鮮がグアム攻撃を示唆する発表を行っていました。今週も週初に国連安保理で追加経済制裁が決議されましたが、前回は決議から北朝鮮が行動を起こすまでに数日間のタイムラグがありましたので、まだ注意が必要です。

 

あと、意外(?)にも、北朝鮮は中国のイベントに合わせて行動をすることが多いです。先週、北朝鮮が核実験を行った9月3日は、中国がホスト国を務めるBRICs首脳会議が開催中でした。また、過去に遡っても、同じく中国がホスト国を務めた、5月の「一帯一路(中国の経済政策構想)」に関する経済フォーラムや、昨年のG20首脳会合でのタイミングでも北朝鮮はミサイルを発射しています。次に迎える中国のイベントとしては、来月(10月18日~)の中国共産党の党大会がありますので、頭の片隅に置いた方が良いかもしれません。

 

 

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