日米株に生じた温度差と米金利高止まりの影響

2026/08/21

今週の株式市場ですが、これまでのところ売りに押される場面が目立っています。

米国とイランとの60日間にわたる停戦期間が終了し、その後の協議の行方が不透明になったことや、米国の財政悪化および米ハイパースケーラーの大規模な起債が相次いだことによる債券市場の需給悪化への警戒感などで、金利(米10年債利回りなど)が高止まりしていることが売り材料になっている格好です。

こうした株式市場の値動きをテクニカル分析的に見て行くと、日米で微妙な温度差があります。国内株市場では、19日(水)の取引で日経平均とTOPIXがともに前日比で2%を超える下落となったほか、東証プライム市場の売買高(28億9987万株)も、前日(25億8,390万株)から急増し、25日間の平均値(27億9,262万株)も超えています。8月に入ってからの日本株は順調に戻り基調を辿っていましたが、この上昇時を上回る出来高を伴った株価下落は、再び売りに押されやすくなるサイン(ディストリビューションデー)となるため、目先は注意が必要になります。

その一方で、米国株も売りに押されていたものの、主要株価指数(NYダウ・S&P500・ナスダック総合)の動きを見ると、前日比で2%を超える大きな下落はなく、また、下落した日の出来高も目立って増えていないため、米国株市場の警戒レベルは日本株ほど高くはないと言えそうです。

とはいえ、日米の株式市場の両者で共通するのは、「金利上昇が株価の上値を抑えている、もしくは売り材料になっている」ということです。一般的に、金利の上昇は企業が資金を調達するときの負担増、住宅・自動車などのローン金利の引き上げなど実体経済への影響や、理論株価を計算する際の割引率が上昇することによって許容できるPER(株価収益倍率)が引き下げられることなどにより、株式市場にとってネガティブに働きます。

確かに、8月以降に公表された米国の注目経済指標(7月分)の結果を見ると、非農業部門雇用者数が予想外に減少した雇用統計をはじめ、インフレの鈍化傾向を示した消費者物価指数や生産者物価指数など、金利の上昇要因となるインフレ圧力が弱まっており、金利(債券利回り)を引き下げる材料になってもおかしくありませんでした。

にもかかわらず、米10年債利回りなどの金利が低下していないのは、冒頭でも触れたように、米国の財政悪化懸念と、米ハイパースケーラーによる起債(社債の発行)が相次いでいるためです。

前者については、違憲と判断されたトランプ関税の還付による支出増や、11月の米中間選挙に向けて、支持率アップのためにトランプ米大統領がバラマキ政策を打ち出してくる可能性などが警戒されています。また、後者については、巨額の債券が発行されることで、既存の債券(国債や社債)からの乗り換えで売られてしまい、結果として米10年債利回りが上昇してしまう状況も考えられます。

もっとも、足元の状況は金利の上昇が株価の上値を抑えても、積極的な株式市場の売り材料になる段階ではなく、注意が必要になってくるのは、米国債と投資不適格の社債の利回り格差が拡大傾向を強めた時になります。具体的に見て行くと、19日(水)時点での利回り格差は2.75%ですが、過去の経験則では、これが3.5%あたりまで拡大してしまうと株式市場が下落基調を強めることが多いため、しばらくは金利の動向によって株式市場を動かされる場面が増えることになりそうです。

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