「中華AI」はAI相場の脅威となるか
8月相場入りとなった今週の株式市場ですが、これまでのところ戻り基調が目立っています。
7月の株価下落を主導していたAI・半導体関連銘柄が買い戻される動きとなっているほか、中東情勢への不安後退なども買い材料となり、米国株市場ではNYダウやS&P500が今週に入って最高値を更新する場面を見せています。また、日本株市場でもTOPIXが4,000pを超える最高値圏を維持しています。
もっとも、半導体関連銘柄で構成される米SOX指数や、ハイテク企業が集中している米ナスダック総合指数、そして、これらの米国株価指数の影響を受けやすい日経平均などについては、まだ最高値をうかがうほどの戻りと強さにはなっていません。
それでも7月相場のムードが一変している印象ですが、ここで注目したいのは、この7月のAI・半導体株が売られていた要因のひとつになっていた「中華AI」の存在です。
中国AI新興企業の月之暗面(ムーンショット)がリリースした新型AIモデルが安価かつ高性能を示したことや、中国大手メモリ企業CXMT(長鑫博術)のIPOと設備投資拡大、そして、中国政府系企業が半導体製造に必要な露光装置(液浸DUV型)の生産を開始すると報じられるなど、AIモデルやメモリ、半導体製造装置の分野で中華AIに関する話題が相次ぎました。
これを受けた株式市場では、昨年(2025年)のいわゆる「ディープシーク・ショック」の記憶もまだ新しいこともあって、ひとまずネガティブに反応しました。中華AIの参入や存在が大きくなることによって、AIにかかるコストが安くなり、AIの「コモディティ化(一般化)」が進むことで、開発競争や値引き競争が激化するのではという思惑につながったと考えられます。
では、「中華AIはAI相場にとって、かなりの脅威になるのか?」といえば、現時点ではそこまで緊迫した状況ではないと思われます。
昨年のディープシーク・ショックも一時的なものとなりましたが、その理由としては、多くの利用者からの大量のプロンプト(命令)データを計算処理してサービスを提供できる基盤(データセンター等)という受け皿がなければ、安価かつ優れたAIモデルを開発しても、競争力としては脅威にならず、結局は、その基盤を多く有していた米ハイパースケーラーに軍配が上がったことが挙げられます。
また、CXMTは世界のメモリ(DRAM)のシェアで8%を占め、韓国のサムスン電子やSKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーに次ぐ4位の大手企業ですが、技術面では主要企業から2世代遅れているとされ、価格の安さを理由に上位に食い込んでいるほか、半導体露光装置の製造についても、生産の本格化や性能の検証もこれからという段階のため、露光装置で独占的な地位を得ている蘭ASMLを脅かす存在になれるのかが判明するのは、まだかなり先の話になりそうです。
そのため、中華AIの材料に対して株式市場が見せた反応は「やや過敏過ぎた」と言えそうですが、中華AIが急速に海外企業へキャッチアップしていることは間違いなく、今後も動向をウォッチして行く必要はありそうです。
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