地政学の不透明感とAI相場の復活はあるか?
今週の株式市場ですが、日米ともに売りに押される場面が目立っています。
もともと、先週あたりからAI相場が軟調気味に推移していましたが、それでもAI・半導体関連銘柄を中心とするグロース株からバリュー株へ買いが向かい、いわゆる「循環物色」の格好で底堅い展開となっていました。
ただ、足元の株価指数の動きを見ると、日経平均やナスダック総合の株価が25日移動平均線を下抜けるなど、やや売り優勢に傾きつつあるような印象となっています。
その主因となったのは、中東情勢への不安が高まってきたことです。今週に入ってイランがホルムズ海峡を通過中の船舶に攻撃し、これに対して米国がイランに報復攻撃を行ったことが報じられました。これにより、「米国とイランの交渉期限となる8月中旬までは小康状態が保たれるだろう」という市場の前提が揺らぎ、WTIなどの原油先物市場が上昇し、それに伴ってインフレ警戒が高まったことが売りを促しました。とりわけ、イランでは9日(木)まで故ハメネイ師の国葬を行っていた最中に攻撃を行ったこともサプライズになったと思われます。
確かに、地政学的リスクの高まりは、株価の上値を抑える要因として引き続き動向を追っていく必要がありますが、原油価格や金利(10年債利回り)などの上昇が今のところ限定的であるほか、株式市場も下落したとはいえ、調整局面入りの目安とされる「直近高値から10%安」の水準まで売り込まれているわけではないため、株価が下げたところを拾う「押し目買い」の意欲も感じられる状況と言えそうです。
そんな中、間もなく決算シーズンが本格化して行きます。
まずは、来週に予定されているオランダのASMLと台湾のTSMCの決算が注目されます。ASMLは半導体製造装置を手掛け、TSMCは半導体の受託製造を担っている企業のため、両者の決算からは、半導体企業が増産に備えて注文を増やしているかどうかを判断する試金石となります。
さらに、その2週間後にはアルファベットやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾンといった、AI投資を行っている「ハイパースケーラー」の決算が予定されています。
これらハイパースケーラーはすでに巨額のAI投資を行ってきましたが、今後も旺盛なAI需要が見込まれる中、しっかりと利益を生み出せているか、投資を続けられる財務力があるか、競争が激化する中での優位性を持っているかなどが焦点になります。
決算を通じてAI相場が復活するか否かは、今後の決算動向がカギを握りますが、先日に好調な業績速報を発表した韓国サムスン電子の株価の初期反応がネガティブだっただけに、市場が描いている期待のハードルは高く、サプライズ的な業績の上振れが求められていることには警戒しておく必要がありそうです。
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