2つの「循環物色」の行方
今週の国内株式市場ですが、これまでのところ、日経平均は7万円台の株価水準を意識した攻防となっています。
より細かい値動きを見て行くと、先週末の26日(金)に前日比で3,000円以上も下落していた状況だったのが、今週に入ってからは小刻みに上昇基調が続いているほか、テクニカル分析的にも25日移動平均線がサポート(支持)として機能していて、全体的に見ればしっかりとした株価推移であると言えそうです。
こうした相場の堅調さの背景には、2つの「循環物色」の動きがあると考えられます。
ひとつめは、AI・半導体関連銘柄をはじめとする成長株(グロース株)から、割安株(バリュー株)への資金シフトです。ここ最近の中東情勢に対する楽観的なムードを受けて原油価格が下落し、インフレ進行や供給網不安が後退したことで、これまで低調だった一部の主力株に買いが向かう動きが目立ち始めています。
実際に、足元のTOPIXのパフォーマンスは日経平均よりも良く、NT倍率(日経平均÷TOPIX)も、先週に18倍台まで上昇していたのが、今週は17倍台まで低下して落ち着きを見せつつあります。もっとも、日米の10年債利回りはあまり低下しておらず、株式市場が許容できるPERの水準は切り上がっていませんが、少なくとも目先のインフレ警戒の後退は支援材料になっています。
ふたつめは、AI・半導体関連銘柄内での循環物色です。ひと口にAI・半導体関連銘柄といっても、AI投資や開発を行っているハイパースケーラーをはじめ、AI投資の実需の恩恵を受ける半導体やメモリ、データセンター周辺銘柄(電線株)、さらに製品製造に欠かせない電子部品や素材を扱う銘柄といった具合に分けられますが、結果的にこれらの銘柄が相場の主役として入れ替わりながら株価水準が維持される格好となっています。
さらに、国内株市場では、基本はバリュー銘柄でありながら、半導体基板の中で使われる絶縁体(樹脂フィルム)で高シェアというAI・半導体関連銘柄の性格を持つ、味の素が最高値を更新するといった動きも出てきており、株式市場での物色意欲は継続していると思われます。
来週末10日(金)には、国内株価指数のミニ先物やオプション取引のSQ(清算)日が控えており、日経平均が再び72,000円台を超えてくることも想定されますが、これまでのAI・半導体関連銘柄は、「旺盛なAI需要の高まりと継続」を先取りする格好で株価が上昇してきた面があるため、さらなる株価の上昇には「先行した期待に現実がついていけるか?」を確認する必要があります。
今週から7月相場に入りましたが、月の半ば以降は日米企業の決算発表が本格化します。市場が期待しているスピード感で企業業績が成長していることが確認できれば、株式市場の水準が切り上がっていくことが見込まれますが、最近ではAI投資のコスト増や、投資資金のファイナンスなどが懸念され始めているだけに、こうした懸念点が目立つ決算が増えてしまった場合には、調整局面入りが強く意識されることになります。
そのため、足元で見せている株価の値動きや物色動向はもうしばらく続くことになりそうです。
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