日経平均7万円は「ゴール」か「通過点」か?
今週の株式市場は、和平合意が見えてきた中東情勢への楽観と、先週末のスペースXのIPOが好調なスタートとなったこと、そして、AI・半導体相場の継続という好材料が組み合わさったことを背景に、これまでのところ株価の上値を追っていく展開が目立っています。
とりわけ、日経平均については、15日(月)から17日(水)にかけて連日で最高値を更新し、16日(火)と17日(水)の取引時間中には7万円台に乗せる場面を見せています。
終値ベースで7万円台に乗せきれない日が続いたことで、7万円水準が「目先の高値(ゴール)」とする見方がある一方、あくまでも7万円台を「通過点」とする強気の見方が併存している状況ですが、現時点では後者の方が優勢となっている印象です。
その理由はいくつかありますが、まず挙げられるのが「需給面での先高観」です。先週末12日(金)のメジャーSQを通過し、現在は7月限および9月限の限月の取引がメインになりましたが、7月限の日経225のオプション取引を見ると、コールの買い建玉が増加傾向にあります。特に目立っているのが、権利行使価格72,000円と75,000円、そして80,000円の建玉です。
権利行使価格が現在の株価よりも高い建玉の増加は、株価の先高観の表れと見ることができるほか、それだけ「売り方」も増加していることを意味します。今後の株価が上昇していくと、売り方は損失が発生するため、株価指数先物取引などを通じてヘッジ買いを入れます。こうしたヘッジ買いの動きはSQ日が近づくと加速する傾向があり、「株価上昇→ヘッジ買い→さらに株価上昇→さらにヘッジ買い」のループで、一気に株価水準が切り上がる可能性があります(こうした動きはガンマ・スクイーズと呼ばれます)。実際に、5月のSQ日にかけて日経平均が60,000円水準から63,000円へと駆け上がりましたが、このガンマ・スクイーズの影響があったと推察されます。
また、中東情勢への不安後退も、株価の先高観を強めています。中東情勢への不安は、原油高などを通じて物価上昇(インフレ)警戒を強め、米10年債利回りなどの金利を押し上げてきましたが、足元の米国とイランの停戦合意観測を受けて、金利が低下しつつあります。一般的に、金利の上昇は、株式市場で許容できるPER(株価収益倍率)を引き下げる効果があり、実際に、日経平均の予想PERも2026年に入ってからは19倍台から20倍台後半の範囲内の横ばいで推移していましたが、5月の金利上昇が警戒されたタイミングで17倍台まで低下しており、17日(水)時点では18.42倍となっています。
また、PERは「株価÷EPS(1株あたり利益)」で計算されますが、17日(水)時点の予想EPSは3,794円となっています。昨年末のEPSが2,650円でしたので、現在の7万円台をうかがう日経平均は昨年末から約43%の増益を織り込んでいる株価と言えます。そのため、今後の日経平均の上値は、今後の企業決算などで「EPSがどこまで上振れるか?」と、「金利動向をにらみつつ、許容できるPERは何倍か?」の組み合わせで予想することができます。例えば、「さらに利益が5%上振れし、PER19倍まで許容」で試算すると、「3,794円×1.05×19倍」で、75,690円となります。
このように、日経平均の7万円は通過点となる可能性が高そうですが、現在の株式市場は期待をかなり先取りしている面があるため、来月半ば以降の日米の企業決算などで、「期待に現実が追いついているか?」を確認することになり、株価が調整する場面も想定されそうです。
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