AI相場は今後も続くが、「曲がり角」も見え始めている?
今週の株式市場ですが、これまでのところ日米ともに軟調気味に推移する展開が目立っています。テクニカル分析的に状況を捉えると、日経平均やTOPIXをはじめ、NYダウ、S&P500、ナスダック総合といった主要株価指数のいずれも25日移動平均線を下抜ける動きとなっており、目先の調整色を強めつつある印象となっています。
先週の半ばまで活況を呈していたAI相場が、米半導体企業のブロードコム決算をきっかけに一服する動きとなったことをはじめ、強い結果となった米5月雇用統計によって米国の金融政策の利上げ観測が高まり、米10年債利回りなどの金利が上昇したこと、米国の大型IPO(新規株式公開)を控えた流動性の引き締め(投資家がIPO銘柄を購入するために、保有している資産を売却してキャッシュを確保する動き)、そして、中東情勢に対する楽観的な見方が後退したことなどが相場の軟調地合いにつながっていると思われます。
それでも、値動きが荒い割に相場が崩れずに済んでいるのは、旺盛なAI需要を背景にした強気の見通しが継続していることや、足元で不安が高まっている中東情勢についても、結局は停戦および和平に向かって動いているという見方が依然として優勢であること、受け皿となる銘柄の存在(バリュー株)など、足元の軟調な相場展開を「むしろ好機」とする買いが入っていることがその理由として考えられます。
とはいえ、中東情勢に対する楽観期待は、「停戦合意が間近」と報じられてから1カ月以上の時間が経過しても目立った進展はなく、今週10日(水)に公表された米5月の消費者物価指数の結果も予想通りだったことで、米国株市場の初期反応は限定的でしたが、結果自体は前年比で上昇していることに変わりはなく、物価上昇の高止まりや金利上昇への警戒感は燻り続けています。
一般的に、金利の上昇は景気を抑制する働きがあるほか、理論株価の計算(割引モデル)の面でも、割引率の上昇につながって許容できるPER(株価収益倍率)を引き下げる効果があるなど、株式市場にとってネガティブな材料となります。10日(水)時点の米10年債利回りは4.5%台となっていますが、ここ2~3年の動きを見ると、米10年債の利回りがこの4.5%水準を超えてくると、米国株市場の上値が重たくなる傾向があります。
また、旺盛なAI需要への期待についても、確かに、「エージェントAI」や「フィジカルAI」などをキーワードに、AIがもたらす技術革新や領域拡大によって、これまで以上に爆増するデータを処理するのに必要な投資やインフラ設備へのニーズは続くことが見込まれるため、現実的なシナリオとして、今後も相場を支えることになりそうですが、すでに、AI投資はこれまでの間にかなりの規模で行われています。実際に、ハイパースケーラー(マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォームズ)の決算を見ると、4社合計の投資キャッシュフローの金額が、営業キャッシュフローの規模に迫りつつあり、本業で稼いだ資金のほとんどを投資に振り向けている状況です。
直近でもメタ・プラットフォームズの新株発行など、資金調達(ファイナンス)のニュースが報じられており、「需要があっても、それに応えてさらに投資を続ける体力があるか?」が今後問われてくることになりそうです。したがって、AI相場は続いても、「曲がり角」を迎えつつある可能性があり、その中身を見極めて行く必要がありそうです。
銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。
商号等:楽天証券株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者
加入協会:
日本証券業協会
一般社団法人金融先物取引業協会
日本商品先物取引協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
一般社団法人資産運用業協会

