AI相場は「FOMO」から「FEMO」へ、旺盛な需要は継続するか?
今週の株式市場ですが、日経平均が65,000円台を意識するところまで株価水準が切り上がったほか、米国株市場でも27日(水)の取引で主要株価3指数(NYダウ・S&P500・ナスダック総合)が揃って最高値を更新するなど、これまでのところ、相場の地合いは「上方向への目線」を強めている印象です。
こうした値動きの背景には、中東情勢の停戦および和平に向けた動きへの期待感によって、原油価格や金利(債券利回り)が下落し、株式市場の買い意欲につながったことや、相場の牽引役である半導体関連銘柄を中心としたAI相場が盛り上がりを見せていることなどが挙げられます。
一般的に、株価上昇の終盤戦では、「FOMO(Fear Of Missing Out:株高に乗り遅れる恐怖)」による買いによって、PERやテクニカル分析の面で過熱感や割高感が強まり、やがて天井をつけて下落して行きますが、足元の相場については、「フィジカルAI」や「エージェントAI」といったキーワードを軸にした、AI相場の新たなストーリーによって、旺盛なAI需要が継続し、まだまだ株価が上昇していけそうなムードが感じられます。
実際に、相場を牽引している銘柄は、売り上げや収益見通しの増加が見込まれているものが多く、PERもあまり上昇していないため、市場の一部では「FOMO」ならぬ、「FEMO(Fabulous Earnings Momentum(素晴らしき収益モメンタム)」相場という新たな造語も登場しています。「確かに急ピッチで株価は上昇しているが、需要拡大と業績成長を伴ったもの」というのが、強気の見方の根拠となっています。
例えば、「エージェントAI」の分野については、これまでの主流だった「人間が指示(プロンプト)を入力してそれに応えて動く」生成AIから、「AI自らが現状を分析し、計画を立て、ツールやアプリと連携して作業を完結させる」という自律性(Autonomy)が特徴となっています。AIの行動範囲が格段に広がるほか、労働力としての役割もそれだけ高度化していくことになります。
当然ながら、エージェントAIの進展や利用拡大に伴って、データの処理量がこれまで以上に増加していくことになります。米金融機関ゴールドマン・サックスの予測では、2026年から2030年にかけてトークン(AIが処理する文字・データの単位)の消費量は24倍に跳ね上がるとされており、順調に進めば、旺盛なAI需要は今後も続いて行くことになりそうです。
その一方で、様々なことを実行できるエージェントAIの普及は、あらゆる権限をAIに委ねることでもあるため、サイバー攻撃による不正送金や情報漏洩のリスクが懸念されているほか、AIが誤った判断や処理をしてしまう「ハルシネーション」などの課題も残っており、いかにミスを少なくできるかや、被害を出さないための安全を確保する仕組み、AIがもたらすゲームチェンジに対応し、社会を維持するための法整備なども必要になってくると思われます。
いずれにしても、これまでは「AIモデル自体の性能(賢さ)」を競うゲームが終焉し、AI相場の「第2章」に突入しつつある局面であることを抑えておく必要がありそうです。
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