金利上昇とPER低下の関係

2026/05/22

今週の株式市場ですが、日経平均が先週からの下落基調が続き、20日(水)の取引終了時点で5日続落、そして節目の株価水準である6万台も下回る軟調な展開が続いていましたが、翌21日(木)には大きく反発する動きを見せ、ひとまずホッと胸をなでおろす印象となっています。

直近までの株式市場が軟調となっていた背景としては、中東情勢で大きな進展が見られずに、原油価格が高止まりしていたことや、日米の金利(債券利回り)の上昇が目立っていたこと、そして、注目の米エヌビディア決算を控えた様子見などが挙げられますが、とりわけ株式市場が意識していたのは金利の上昇でした。実際に、今週の日米の債券市場の動向を見ると、国内の10年債利回りが一時2.8%に達し、29年ぶりの高水準を記録したほか、米10年債利回りも4.67%まで上昇する場面がありました。

こうした中、20日(水)の米国株市場と、21日(木)の国内株市場が反発したのは、トランプ米大統領が米国とイランの交渉について、「最終段階にある」と述べたことがきっかけとなり、中東情勢への不安が後退し、原油価格や債券利回りなどが低下したことが主因となっています。また、日本時間21日(木)の朝に発表された米エヌビディア決算でも、売上高や利益が市場予想を上回ったほか、自社株買いを発表するなど、出てきた数字が良好だったことも、直近まで売られていたAI・半導体関連銘柄への買い戻しにつながったと思われます。

「結局は中東情勢に左右される」という状況に変わりがありませんが、2月末に始まった米国とイランの衝突から、まもなく3カ月が経とうとする状況の中で金利が上昇基調を辿っていることは気掛かりです。例えば、米10年債利回りは中東情勢が緊迫化する前の2月27日時点では、3.93%、国内10年債利回りは2.12%でしたので、現在ではそれぞれ0.5%以上も上昇しています。中東情勢の緊迫継続による原油高の影響や、旺盛なAI投資需要がもたらす部品価格の上昇などがもたらすインフレへの警戒が根強いことを意味していると思われます。

さらに、一般的には、金利の上昇は「マルチプル・コントラクション」と呼ばれる、PER(株価収益倍率)の縮小を招き、株式市場にとってネガティブに働くことが多いとされています。

その単純な理由としては、金利(利回り)が上昇すると、債券市場の魅力が高まり、場合によっては株式市場の「益回り」との差が縮小することにあります。そうなると、「リスク資産の株式よりも、安全資産とされる債券に投資をしたら良いのでは?」という見方も出てきます。株式の益回りはPERの逆数(1÷PER×100)で計算できるため、株式市場が債券市場よりも魅力的なリスクプレミアムを維持するには、PERを下げる、つまり株価が下がりやすくなることになります。

そして、ちょっと複雑な理由としては、金利上昇によって理論株価における「割引率」が引き上げられることも挙げられます。詳細な説明は省きますが、簡単に言えば「企業が将来にわたって生み出すであろう利益や配当を現在の価値に引き直して足し合わせたものが今の株価になる」という考え方です。割引率は、安全資産の国債の利回りに、リスクをとるのに見合ったプレミアムを加えたものですので、債券(国債)の利回り上昇が直接的に割引率の上昇につながり、その結果として株価が下がるという構図です。

いずれにしても、金利の上昇が株価の上値を抑える場面が増えているため、6月の日米金融政策イベントに向けて不安定な相場展開が続くことになりそうです。

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