株価はしばらく戻り基調を描きそうだが、「落とし穴」に注意

2022/04/22

今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、週初の18日(月)に見せた下落から持ち直す動きが目立ち、20日(水)の取引で節目の27,000円台を回復してきました。21日(木)も続伸スタートとなっています。

こうした株価反発の動きについて、国内要因としては為替市場の円安進行を受けた輸出関連企業(自動車など)の物色はじめ、大型連休を前にした、ヒト・モノ・カネの流れが活発化することへの期待などが考えらえます。

また、国外要因としては、新型コロナウイルスによる中国上海の都市封鎖(ロックダウン)の一部緩和の動きをはじめ、これまで主にネガティブ要因として働いてきた米金利の上昇が、単なるインフレ警戒だけでなく、利ザヤ改善による金融株への買い材料となったり、米国の景況感も、経済指標や決算を見る限りでは思っていたほど悪化しておらず、ある程度の警戒感の織り込みはひとまず一巡したというムードなどが考えらえます。

この他にも、米国の確定申告の期限(18日)を超えたことによる需給要因による買い期待も挙げられます。例年の米株市場では、確定申告の時期が終わるまでは、納税資金を確保するために株が売られ、終了後に買い戻しが入りやすいと言われています。さらに、テクニカル分析的にも25日・75日移動平均線の上抜けを試す状況となっており、相場はしばらく戻り基調を描いていきそうです。

そして、「どこまで株価が上昇できるか?」のカギを握るのは、これから本格化していく国内企業決算の動向次第になります。ただ、国内企業は業績見通しを慎重に見積もるところが多いほか、円安進行や原材料価格の高騰による業績への影響を企業がどう捉えているのかを見極める必要があり、それが思わぬ「落とし穴」となるかもしれません。

とりわけ、「ゼロコロナ政策」を実施している中国の影響が焦点になりそうです。先ほど、上海の都市封鎖の緩和について触れましたが、さらなる緩和が進めば、株式市場の初期反応として上昇の追い風となることが想定されます。

ただし、都市封鎖が行われている中国の港湾都市の沖合では、多くのコンテナ船が積み降ろしできずに待機せざるを得ないという事態が発生しており、中国にモノが運べない、中国からモノが届かないという物流の滞りが懸念されています。仮に、早期に都市封鎖が解除されても、溜まっている通関手続きを処理するのに時間が掛かることを踏まえると、ゼロコロナ政策の影響は業績の下押し圧力として大きな影響を及ぼす可能性があります。

このほか、次回の米FOMCの日程(5月3日~4日)が、日本株市場が大型連休中というスケジュール感のため、FOMC前に積極的な上値追いを仕掛けにくいことや、連休前に利益確定の動きも出てくることも考えられ、足元の戻り基調の賞味期限は思ったよりも短くなる展開には注意が必要かもしれません。

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