上昇一服感の日経平均は押し目買いの好機か否か?

2019/11/15

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は23,000円台をキープしているほか、12日(火)の終値で年初来高値を更新したものの、売りに押される場面も多く、もみ合いの印象が強くなっています。

 

日経平均は8月下旬を底に反発して9月半ばにいったん戻り高値をつけ、10月あたまにかけて調整を迎えた後、直近まで株価を上昇させてきました。確かに、2カ月ちょっとのあいだに3,000円以上も株価水準を切り上げてきたことを踏まえると、さすがにそろそろ上昇が一服してもおかしくはないタイミングではあります。

 

あらためて最近までの株価上昇の背景を整理してみると、「米中関係」、「景気&企業業績の底打ち・回復」、「金融緩和」の3つに対する期待感です。これらは買い材料として十分でありますが、買い材料としての本質的な評価と、最近まで演じている株高の評価とのバランスがとれているかと言えば、やや株高に前のめりになっている面があるのは否めません。

 

先週の日経平均23,000円台乗せのきっかけとなった米中関係については、その後に米国側が「第一段階の合意」を否定する姿勢を見せるなど、状況は相変わらずフラフラしていますし、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和(利下げと隠れQE[量的緩和])にしても、株高時に行っていますので、通常の金融政策のセオリーからすると異例です。また、世界景気についても、半導体の売上高やOECD(経済協力開発機構)景気先行指数、中国の経済指標などから底打ちの兆しが見えつつありますが、その後の回復力が弱いまま低迷が続いてしまうことも考えられます。

 

そのため、リクツにこだわってしまうと「もうそろそろ天井だろう」という意識が働きやすくなります。実際に、こうした意識はさほど積み上らない裁定買い残や、異常なまでのダブルインバース型ETFの信用買い残の増加などの形になって表れています。つまり、日経平均はあまり過熱感が伴わないまま上昇してきたことになりますので、これらは需給的に買い支え材料として機能する可能性があります。

 

となってくると、少なくとも余程の悪材料が出ない限りは相場が下がりくい状況と言えます。今から相場に乗るのはかなり勇気がいるかと思いますが、買いにくい相場ほど意外と続いてしまうものでもありますし、今後、株価が下落に転じるとしても、その前に「もう一花咲かせる」可能性は高そうなので、当面は強気で良いかと思います。むしろ、難しいのはこれから買うことではなく、手仕舞いのタイミングと下がり始めた時に買いを入れる判断になりそうです。

 

 

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