「先食い株高」に代償はつきものか?

2019/07/26

今週の国内株市場は参議院選挙という政治イベントを通過して迎えたわけですが、日経平均はこれまでのところ株価水準の戻りをうかがう展開となっています。先週末に見せた株価の乱高下はひとまず落ち着きを見せている格好です。

 

そもそも、先週18日(木)の大幅下落の要因として、前日の米国株市場が利下げ期待の後退観測で下落していたことや、政治イベント(参議院選挙)や企業決算の見極めによる様子見、為替の円高、米中摩擦の長期化懸念などが挙げられています。

 

ただし、これらは新たに登場した材料ではありませんし、想定外の特別な動きがあった訳でもありません。また、これまでの株価の反応としては、「一段安でスタートした後にもみ合いの小動きが続く」というパターンが多く、取引時間中も下げ幅を拡大するという展開はあまり見られなかった光景です。そして、翌19日(金)の取引も、自律反発期待以外にコレといった材料がない中で上値を伸ばし、当日の高値圏を維持して終えています。

 

この2日間にわたる荒い値動きに対して「何だか良く分からない」という印象ですが、「突如として株価が大きく動く展開が発生したこと」そのものを捉える方が重要で、近いうちに相場に方向感が出てくるかもしれないことを意識しておく必要が出てきたのかもしれません。そんな中で来週は注目の米FOMCが予定されています。

 

米国株市場は主要株価指数が最高値圏での推移が続いていますが、これまでの株価上昇は世界景気の減速が警戒される中、米中摩擦改善や米FRBによる利下げの期待と後退を繰り返すことで描かれてきました。同じ材料によって押し上げられた株価はいわば金相場による「先食い株高」と見ることができ、株価が大きく動くとすれば下方向の可能性が高いと考えるため、注意が必要です。さらに上昇して行くにはそろそろ新たな材料が欲しいところです。

 

もちろん、今後の利下げ期待が継続することで上値を目指す展開もあり得ますが、予防的な利下げは「かなり疲れているのにドリンク剤を飲んで無理して元気を絞り出している」状況とも言え、いざ体調を崩してしまった際には、もうドリンク剤では効かない身体になっています。金融相場が一服し、株価が調整に入ったときの下落幅が大きなものになる可能性が高くなりそうなことは想定しておく必要があるかもしれません。

 

 

 

 

楽天証券株式会社
楽天証券経済研究所 土信田 雅之が、マクロの視点で国内外の市況を解説。着目すべきチャートの動きや経済イベントなど、さまざまな観点からマーケットを分析いたします。
本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。
銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。

商号等:楽天証券株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者
加入協会:
  日本証券業協会
  一般社団法人金融先物取引業協会
  日本商品先物取引協会
  一般社団法人第二種金融商品取引業協会
  一般社団法人日本投資顧問業協会

このページのトップへ