日中「相互ETF」上場は株式市場を支えるか?

2019/06/28

今週の国内株市場ですが、これまでのところ、弱含みの展開が続いています。日経平均は節目の21,000円台の水準が意識され、東証1部の売買代金も2兆円割れの低調な日が目立っています。週末開催のG20大阪サミットのタイミングで行われる米中首脳会談を前に様子見姿勢が強まっている印象です。

 

そんな中、今週25日(火)に日中両国の株式市場でそれぞれの株価指数などを対象とするETFが上場しました。具体的には、日本株市場(東証)で中国株ETF2銘柄が上場し、中国株市場(上海証券取引所)では、日経平均やTOPIXなどに連動する日本株ETF4銘柄上場したのですが、これは4月に合意された「日中ETFコネクティビティ」に基づいて実施された格好です。

 

東証では以前から中国株を対象とするETFが上場しており、すでに日本の投資家は取引が可能となっていますが、中国の個人投資家は海外資産への投資がかなり制限されているため、今回の上海市場での日本株ETF上場によって、海外株式への投資機会が提供されることになります。日本の株式市場にとっても、ETFを通じた中国個人投資家のマネー流入が相場を支える材料のひとつになるものとして期待されています。

 

上場初日だった25日(火)の東証では、中国株ETF2銘柄の売買代金が合計でも1,000万円に届かず、盛り上がりはイマイチでしたが、一方の上海証券取引所では、日本株ETF4銘柄の売買代金が合計で約36,600万元となったようです。日本円に換算すると大体57憶円ぐらいですので、スタートとしてはまずまずだったと言えます。

 

とはいえ、現在の中国でのETF市場はまだ小さく、日本株を支える材料となるにはまだまだ時間が掛かりそうです。ちなみに、25日(火)の上海証券取引所全体の売買代金は2,450億元でしたので、先ほどの日本株ETF4銘柄の売買代金(3.66億元)のシェアは約0.15%です。

 

もっとも、中国国内では「ETFによって資生堂など、有名な日本企業の株に投資できる」、「日本企業はROE(自己資本利益率)が中国企業に比べて高いものが多く、株価水準も割安」といった感じで報じられており、意外と前向きです。日中両国の関係が政治・外交面でこじれてしまうといった展開がなければ、今後も継続的に日本株ETFへの投資が増える可能性は十分にありそうです。

 

 

 

 

 

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