大統領選挙後も多難のマーケット

2012/11/08

めっきり寒くなってきた。ちょうど1か月前の10月初旬の東京は最高気温が30℃だったが、今や最高気温が15℃くらいの日もあり、最低気温は1ケタである。10月は季節が一気に動く月であることを再認識させられる。

さて、10月のモデルポートフォリオのご報告である。10月のマーケットは米国市場が下落したのに対して、日本市場は底堅い動きとなった。

米国市場は5か月ぶりに下落に転じた。世界的金融緩和の流れを受けて10/5にNYダウは07/12/10以来4年10ヶ月ぶりの高値となる13610ドルをつけたものの、その後は世界経済の減速懸念に加え、3Qの米企業業績が軒並み減益決算・予想未達・下方修正が相次いだことから売られる展開となった。これまで株式市場の牽引役の象徴であったアップルもiPad小型版のリリース後は利益確定にて値を崩した。マーケットの攪乱要因である欧州債務問題については目立った懸念材料は出てこなかった。月末に上陸した大型ハリケーン「サンディ」によりNY証券取引所は2日間の売買停止という異例事態となったが、取引開始後は事故もなくスムーズな売買がおこなわれた。10月のダウは13096ドルで取引を終え341ドル下落し月間の騰落率は-2.5%。ナスダックは2977ドルとなり139ドル下落の-4.5%となった。

日本市場は底堅い動きとなった。10月中旬までは世界経済減速懸念や対ドル77円台、対ユーロ100円台の円高水準が嫌気され、月初は8800円レベルにあった日経平均は10/12には8534円まで売り込まれた。その後、日銀の追加的金融緩和への期待感および対ドル80円台、対ユーロ104円台まで進んだ円安を背景に買戻しが進み9000円台を回復。そして、日銀の追加的金融緩和の内容が明らかになると利益確定売りが増えた。2Qの決算発表は相次ぐ下方修正により今期の業績回復シナリオが崩れつつあり、業績悪化企業は売り込まれた。9月の反日デモは鎮静化したものの、自動車産業を筆頭に買い控えによる日本企業への悪影響はしばらく続きそうである。10月の日経平均は8928円で取引を終え先月末の8870円から58円上昇し月間騰落率は+0.3%となったのに対してTopixは-0.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+2.2%、マザーズ指数は+9.0%となり大型株をアウトパフォームした。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における10月のパフォーマンスは-0.3%となった。年初来は+3.0%(9月末+3.3%)、累計では+47.6%(9月末+48.0%)とわずかに後退した。保有株式のパフォーマンスは+0.39%とプラスであったものの、10月中旬における相場下落により先物のショートによるヘッジ戦略を開始したが、その後リバウンドに転じたため清算。実現損が-0.69%となりトータルではマイナスにて着地。ネットロング比率は9月末の34%から10月末には31%へと低下した。

11月6日に即日開票された米大統領選挙は事前予想通りオバマ大統領の再選となった。そして、これも予想通りの「円高、ドル安」の展開である。上下両院における「ねじれ」が続くことが確定し、減税の失効と歳出の強制削減が同時に起こる「財政の崖」への警戒感が強まり、11月7日の米国市場は312ドル安と1年ぶりの下げ幅を記録した。今後のマーケットの先行きを暗示するかのような象徴的な現象だ。

日本市場は「追加的金融緩和への期待と円高是正効果」によって比較的堅調な展開を続けていたが、円高へ逆戻りすれば従来通りの閉塞感漂う展開になる可能性が濃厚である。まだしばらくはボックス圏での展開だろう。日経平均の予想レンジは8600円~9100円。なかなか積極的な運用姿勢を取りづらい状況であるが、今年もあと2ヵ月を残すところとなり、さらなる運用資産の積み上げに注力したい。

太田忠投資評価研究所株式会社
太田忠の「勝者のゲーム」   太田忠投資評価研究所株式会社
機関投資家が敗者のゲームならば、個人投資家は「勝者のゲーム」をしよう!株式投資を資産増加に直結させ、個人投資家の資産運用力向上のためのサービスを提供する太田忠投資評価研究所の太田忠のコラム。

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