中国の譲歩は不可避だろう、
決着(6月頃か)までは市場不安定、その後好転へ

2019/05/15

【ストラテジーブレティン(224号)】

米中貿易戦争が山場を迎えた

トランプ政権は対中輸入額2500億ドルに対する25%関税に続き、中国がフリーライド(知的所有権の保護、技術移転強要の禁止、企業補助金の撤廃、外資差別の撤廃)を止めないなら、最大では全輸入品目5400億ドルに25%関税を課すことの準備を始めた。それは輸入業者の1350億ドルの負担増になり、米国年間消費の0.8%に相当する。それが2年にわたるとすれば年率0.4%の物価上昇要因となる。しかし多くは中国の輸出業者による輸出価格の引き下げ、人民元安、他国への生産移転などで吸収され、消費者への打撃はだいぶ軽減されよう。他方、米国の関税収入は同額(1350億ドル)増加し、それはそのまま貿易摩擦被害救済の原資となり得る。また米国からの対中輸出は1210億ドル(対GDP比0.6%)とわずかで、中国による関税引き上げの米国経済への影響は限定的と見られる。貿易摩擦に対応する金融緩和も期待できる。米中貿易戦争は米国にとって深刻な景気後退をもたらすほどのものではない。

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