RCEPとDCEP

2020/11/16

昨日、アジア15カ国がRCEP(アールセップ、Regional Comprehensive Economic Partnership、地域包括的経済連携)に署名しました。9年越しの交渉で、中国を含む初めての広域貿易連携が成立しました。カバー範囲は、世界のGDPの3割とされますが、中国のGDPは10年以内に米国を抜いて世界一となる可能性が高いですから、世界シェアは今後さらに上昇するでしょう。

なかでも、金融関連で注目されるのは、デジタル貿易ルールです。デジタル情報を域内で自由に流通させることを求めるとともに、海外企業に対し、サーバーを国内に設置することを進出の条件とすること等が禁止されます。

昨年末以降、日本は米英と相次いで同様のデジタル貿易協定を締結していますが、今回は中国が加わっていることが大きなポイントです。例えば、現在は、中国支社の営業データを日本本社に送信するなど、重要データの国外持ち出しが制限されています。まだ詳細は不明ですが、RCEPでこれらが自由化されるかもしれません。

そうなれば、デジタル保護主義が強い中国に対し、日本など海外企業の自由度が広がるでしょう。しかし、中国から見たプラスも案外大きいように思います。

中国は、先月、デジタル人民元DCEP(Digital Currency Electronic Payment)の第二次の実証実験を行いました。国内の本格稼働はもう目の前でしょう。政府は当面国内利用のみとしていますが、通貨覇権を考える中国が、将来的にアジアの舞台を狙っても不思議はないでしょう。その時点では、デジタル貿易ルールは、中国にとっても確実にポジティブです。アジアで一気に中国商品と人民元のプレゼンスが増す可能性も否定できないのでは…と想像します。

RCEPにDCEP、図らずも韻を踏む二つの「CEP」が、China Economic Projectの略語にも見えてくる気がします。

マネックス証券株式会社
アナリスト夜話   マネックス証券株式会社
チーフ・アナリスト大槻 奈那が、金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信します。
当社は、本書の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想及び判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。当社は本書の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。本書の内容に関する一切の権利は当社にありますので、当社の事前の書面による了解なしに転用・複製・配布することはできません。内容に関するご質問・ご照会等にはお応え致しかねますので、あらかじめご容赦ください。

マネックス証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第165号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会

このページのトップへ