FM 今週のポイント(5月9日)

2016/05/09

 
*連休の谷間で薄商いの中、日経平均株価は6日続落となりました。日銀が追加緩和を見送ったこと(米国を意識して出来なかった?)に加え、米国財務相が日本を為替操作監視対象国にしたことから円高基調が継続(3日には一時105 円台、連休後半は107 円台で大きな円高にはならず)、主力株に押し目買いが入らないことが背景です。目先的には週末の雇用統計待ちですが(非農業部門雇用者数増加が予想の20 万人を大きく下回れば円高進行の懸念があった。結果は16 万人と大幅に下振れ。)、中長期を展望しても円安転換は難しい情勢です。共和党の大統領候補に指名されることが確実になったトランプ氏のこれまでの言動を総合するとドル安政策を推進する可能性が高いと思われます(ここでは為替政策に限定:トランプ大統領には世界の金融・株式マーケットはネガティブ反応を示すと思われるが)。もちろん、トランプ大統領誕生の可能性は未だ高くないかもしれませんが(不支持率でクリントン氏とトランプ氏は拮抗⇒トランプ大統領誕生の可能性は徐々に高まっている?)、マーケットは大統領選に向けて徐々にトランプリスクを織り込みに行くと思われます。現状においても米国がドル高是正の姿勢を鮮明にしていることも円先高観につながっています。

*安倍首相の欧州歴訪でも財政出動で英独との考え方の差異を確認した格好です⇒伊勢志摩サミットで金融政策プラス財政政策のパッケージで世界経済浮揚を謳いあげることが出来るかは不透明です⇒日本の財政出動、消費増税の延期等の経済対策策定も遅れる可能性があります。

*当面は無政策、円高を前提にした投資スタンスを維持したほうが良さそうです。週末の相場を見ても、東証マザーズの4.23%高をはじめ、東証スモール、JQ、東証2部と小型株指数が軒並み上昇した反面、大型株指数はマイナスに沈んでいます。グロース、バリューで切り分けてもTOPIX グロースが上昇した反面、TOPIX バリューは下落しています。当面は小型グロース系が優位な展開が続くものと思われます。もちろん消費増税延期が決定した場合、また想定外の要因で円高に歯止めがかかれば大型バリューの強烈なリバーサルが想定されますが、当面はリバーサルを想定した投資戦略ではパフォーマンスを高めることが出来ないと考えます。

*今週はトヨタ自動車が業績発表を行います(11 日)⇒マーケットが注目する2017 年3月期の予想は5期ぶりの営業減益となりそうです。注目される為替前提(ドル円)は105 円が見込まれます⇒6000 億円程度の営業減益要因です。一時は3兆円を超えたアナリストの営業利益予想も円高基調とともに切り下がり、現状では2兆円割れの想定もあります(熊本地震の影響もあり一段と慎重なガイダンスになる)。ある程度は織り込み済みのためトヨタショックは回避できそうですが、トヨタの一段の慎重ガイダンスはマーケット参加者の業績懸念(特に円高による業績悪化)を大きくさせるとともに中小型グロース志向を高めることになると思います。当面は中小型グロース戦略維持です。

 

いちよしアセットマネジメント株式会社
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