アベノミクスは成功するか

2013/03/04

・日本経済は、景気刺激と円安で回復色を強めよう。2013年はいい方向に向かう。その効果で、2014年4月からは消費税が引き上げられよう。しかし、その分物価は上がるので、成長率にはマイナスに響く。

・まずここ数年の間、日本の企業にとって重荷になっていた6つの制約、6重苦について考えてみる。第1の円高は、デフレ脱却に向けた金融緩和期待で、円安に方向転換した。リーマンショック前を100とすると、最近まで日本は30%円高になり、韓国ウォンは20%安くなった。対ドルに対して、50%の開きが出た。これでは戦えないと東芝の西田会長は嘆いていた。

・最近の円安、ウォン高で、この差は20%まで縮まった。円にもともと高くなる理由はなかった。欧米の不況でドル安、ユーロ安で相対的に円高となった。日産自動車のカルロス・ゴーンCEOは1ドル100円が妥当であるという。このレベルに戻って安定させることができるかどうかが最大のポイントである。

・日本の金融緩和はまだ動いていない。デフレ脱却に向けて、CPIのターゲットを1%から2%に上げると、政府と日銀は合意した。日本銀行の総裁が3月に交代する。ここからどう緩和するのか。日本企業は金が余っており、投資を拡大するとしても外部のファイナンスは基本的に必要ない。まずはETFなど株式市場に実際に今まで以上に資金を投入して、市場の活性化にもう一歩踏み込むことが求められる。これが本当にできるか。

・2つ目は、電力エネルギーについて、原子力発電所を実際に動かせるかどうかである。京セラを創業した稲盛会長は、太陽光発電を30年以上研究し、ビジネスにしてきたが、日本のエネルギー源としては当面全く不十分であるという。原子力発電なくして、日本の安定した電力供給は賄えない。今後2年の間に、原子力発電所をきちんと動かせるだけのリスクマネジメントができるかどうかが重要である。

・3つ目は、TTP(Trans-Pacific Partnership)である。日本は貿易立国であり、投資立国を目指している。不利だからといって、市場を閉ざすことはできない。誰にとって不利なのか。今の既得権益をもっている人々にとっては不利であるが、TPPに入ることによって有利になる人々もいる。

・利害を損得で計算すると、どんな数字でも出せる。自らに都合のよいシミュレーションはいくらでもできる。大事なことはビジョンとフィロソフィーをしっかりもって、国民に語ることである。日本の農業はあと10年もすれば本当に後継者がいなくなる。新しい農業を作る必要があり、そこにイノベーションの余地は大きい。農業をやりたい若者は大勢いる。道はあるのである。

・4つ目の環境問題にはどう対応するのか。京都議定書でCO2を6%削減すると宣言したが、その後、元首相が-25%を言いだし、国際公約とみなされた。とても無理だ。CO2には取り組んでいくが、もう少し現実的な対応が必要である。中国の大気汚染の改善に貢献するような提案をどしどし出していけばよい。日本にも汚染物質が飛んでくるので、手を打つ必要がある。中国の顔を立てながら、中国に成果を上げてもらう姿勢が大事だ。

・5つ目の法人税減税はどうか。日本の法人税は高い。給与を増やしたり、雇用を増やすと、それに見合って法人税を減税するというインセンティブが具体化しつつある。投資減税、R&D減税、人材開発減税などいろいろな手は打たれていこう。

・6つ目の規制緩和はどうか。労働市場をさらに自由化する必要がある。日本の20歳の若者は100万人。半分の50万人が大学に進学しているが、大学を出ても、20 %の10万人に仕事がない。アルバイトで暮らすフリーターになってしまう。これでは社会保障を支える人材にはなりえない。高校を卒業する50万人のうち、ここでも10万人以上に十分な仕事がない。先進国ではどこも同じような状況かもしれないが、事態は深刻である。雇用を作る会社がいい会社である。企業の活性化が何としても必要である。

・安倍首相は、これらの課題に手を打ち始めた。市場の期待は、ホップ・ステップ・ジャンプのうち、まだホップの域にあるといえよう。

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