DXがリード役になる企業変革

2020/02/25

・1月に、新春野村投資セミナーに参加した。その資料を改めて読んで、参考になりそうな点をいくつか取り上げたい。テーマは、「デジタル変革への次なる一手」であった。

・マーケット環境を見ると、コロナショックがさらに本格化するのか。人々が感染症を恐れて動かなければ、消費が停滞し、生産や物流が滞って、企業活動にも大きく影響する。

・一方、これが一過性ならば次の反発も期待できる。下がった局面は絶好の仕込み期であるという見方も有力である。よって、中長期的な視野で先行きを読んでおきたい。

・企業の成長を、セクターを超えて、横軸でリードしそうなテーマを考えると、DX(デジタルトランスフォーメーション)とSDGsが浮かぶ。ブームに流される必要はないが、中長期のトレンドを見誤るとチャンスを逃し、取り返しがつかない。

・米中貿易摩擦は、第1段階の合意をしたといっても、覇権争いはこれからも続く。製造業の景況感はこの半年悪化、停滞局面にある。このあたりが大底なのか、もう一段悪化するのかという点では、さらに悪化する公算もかなり高い。

・個人的には、今年11月の米国大統領選挙でトランプには引いてほしいが、そうはいかない。米国第一を旗印に、自らの支持者に徹底的にフォーカスした政策のみを先導してくる。対抗国には、独自の交渉術で、脅しつつ譲歩を引き出そうとする。その動きにマーケットはこれからも一喜一憂しよう。

・大幅な金融緩和は続けざるをえない。気候変動による自然災害は、従来にも増して悪い影響をもたらしそうである。今のところ、企業業績は大きく崩れていない。このあと堅調さを持続するのであれば、日経平均が25000円に向かうという見方も妥当であろう。

・しかし、そうすんなりとはいきそうにない。20000円から24000円のボックス相場が続くという慎重な展開を想定しておきたい。

・どの企業においても、ITシステムが、ミドル・バックからフロントの現場に出てきている。DXでいかにBM(ビジネスモデル)を変えられるか。

・その1つのシンボルが、ソフトバンクグループ(SBG)であろう。ここについていく必要はないが、少なくともその動きをフォローしておく必要はある。いつ躓くかという不安と懸念を内包しつつ、イノベーションを実践してきた会社である。

・また、SDGsに掲げられた社会的課題の解決を、①本当に自社のビジョンに組み込むことができるか、②その実行戦略が立てられるか、③それを見事に投資機会にできるか、④そこにイノベーションを持ち込んでいけるか。DXとの結びつきも強く求められよう。

・DXとは、既存のBMの効率化を超えて、新BMを確立するために自社に合ったデジタル技術を開発し、組み込むことである。日本は、企業の新陳代謝が遅いといわれる。新しい企業に変身していく力も弱い。大胆な変革を望まない風潮がマネジメントに根強くあるともいえる。

・そもそも新しいDXについて、企業の経営者は十分理解して、自らのこととして取り組んでいるのか。DXシステムのことがわからないとすると、それはROE経営がわからないのと同じように、経営者としては十分でない。

・日本全体の伝統的なICT投資の金額をみると、この20年間ほとんど伸びていない。年間15~20兆円の間で推移しており、DX推進のための人材投資も著しく不足している。

・次の10年で、1)バリューアップ投資を拡大し、2)人材を採用養成し、3)新しいBMへの転換を進めるならば、マクロでみたGDPを20%以上押し上げることもできる、という経産省の試算もある。

・IoTの活用による製造業のDX、ここでは5Gによるセンサー需要が大幅に拡大しよう。クラウドとともに、現場でのエッジコンピューティングが一段と重要になる。多品種少量生産によるマス・カスタマイゼーション型の付加価値創造が可能となる。こうなると、日本の製造業も存在感を示すことができよう。

・ネットとリアルの融合による小売りサービス業のDX、ここではネット事業とリアル店舗やサービス拠点との連携、結びつき(コネクティビティ)がカギとなろう。この両面が活きるプラットフォーム作りの争いが一段と激しくなろう。

・そのためには、情報の入手、モノ・コト・サービスの体験をシームレスにまわしてく必要がある。さらに、生産者・提供者にとっての価値創造以上に、ユーザー・カスタマーにとっての消費者価値をどれだけ高められるか。この顧客価値を十分高められるならば、提供者にとっての付加価値の取り分も高められるはずである。

・業態を超えて金融機能を追求するDX、ここでは伝統的金融機関は自ら変身しない限り、新興のフィンテック企業に根こそぎ領域を取られることになろう。銀行を介さない決済、API(データインターフェース)による決済のエコシステム提供、電子マネーの本格利用など、金融機関とテクノロジー企業の合従連衡が大いに進展しよう。

・DXを推進するには、そのガバナンスが問われる。攻めのDXガバナンスを強力に展開しないと、日本の多くの企業はさらに遅れをとってしまう。今の色あせたBM(ビジネスモデル)を、将来の輝けるBMに変革するには、将来のBMの構想が必要である。そのコアの1つにDXを明確に位置付けてほしい。投資家はそこに期待している。

・5Gも、供給者サイドのイノベーションだけでなく、利用者サイドの価値創造(消費者余剰の創出)にどれだけ貢献するか。この視点を重視して企業価値を評価したい。DXのインフラ企業、コアパーツ企業、独自サービス企業が台頭してくるので、大いに注目したい。

株式会社日本ベル投資研究所
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