6月の雇用統計について~年後半の金融政策への影響は?

2017/07/10
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+22.2万人と高水準、労働参加増加で失業率は4.4%と上昇しました。
  2. 年率+2%成長が続くと予想される中、雇用者数は、幅を狭めつつも増勢が維持されると思われます。
  3. 賃金は依然抑制気味であり、金融政策は緩和縮小を続ける一方で、慎重さも残ると見込まれます。

完全雇用に近付きながらも増勢維持へ

7日に米労働省が発表した6月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+22.2万人、2カ月ぶりに20万の大台を回復し、堅調な雇用増加が示されました。一方、失業率は4.4%と、前月比+0.1ポイントでした。新たに職探しを始めた人が増え、雇用者数が増加したと同時に失業者数も増加した(前月比+11.6万人)ためです。

非農業部門雇用者数の増加幅は、17年前半は月平均+18万人と、前年同期と同水準でした。年前半というくくりでは2年連続で+20万人を下回ったものの、すでに完全雇用に近いと言われながら、増加幅としては十分な規模といえます。17、18年は年率で+2%程度の成長が予想され、より完全雇用に近付きながらも、雇用は経済成長に沿った増勢が維持されると思われます。

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金融緩和縮小の方向性は変わらないが・・・

民間企業の時間当たり平均賃金(以下、単に賃金)は前年同月比+2.5%と、前月比で0.1ポイント上昇しました。ただし、16年12月の直近ピーク(同+2.9%)と比べると、勢いがそがれており、インフレ率も足元はやや鈍化しています。

高い求人数を背景に米雇用市場は需給がひっ迫しており、賃金加速によるインフレ率押し上げが期待されています。ただし、最近は、企業は求人を増やしつつも、無理に高い賃金で雇わない傾向も出てきました。労働需給ひっ迫をよそに賃金の伸びが抑制されている面も見られます。金融当局は利上げに加え、米連邦準備銀行の総資産圧縮を始めつつあり、量的金融緩和からの脱却を模索しています。しかし、こうした雇用情勢も含め、景気への影響も慎重に見極める姿勢は崩さないと思われます。

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