中国の輸入関税引き上げから考える今後のインバウンド消費

2016/04/13
  1. 中国税関総署は48日から輸入品に課す関税の税率引き上げを実施しました。
  2. 爆発的な訪日客数と消費額双方の増加が続いたため、増勢が一服する可能性もあります。
  3. 多様なサービス需要を掘り起こし、インバウンド消費の底上げを図る段階に入ったと思われます。

中国国内での消費喚起が目的か

中国税関総署は、4月8日より、輸入品に課す関税の税率を引き上げました。大まかな枠組みは、関税の段階を4段階(10~50%)から3段階(15~60%)に簡素化し、基本的に1段階高い税率に引き上げるというものです。対象は食料、タバコ、衣料・身の回り品、耐久消費財など多岐にわたります。

訪日中国人の旅行消費額は大幅に増加してきました。中でも、買い物は全体の過半を占め、15年は前年比約2.6倍に膨らみました。しかし、四半期ベースでは15年7-9月期が最高で、10-12月期は前期比-32.2%と大幅に減少、中国からの訪日客数も16年2月時点で9カ月ぶりに前年同月比2倍(+100%)を割り込み、関税引き上げを待たず、ピークアウト感が出ています。今回の関税の税率引き上げは、消費を国内に引き戻し、減速気味の中国経済の活性化を図ろうという意図が見られ、いわゆる「爆買い」が一服する可能性もあります。

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「コト」と「文化」で需要底上げ

しかし、「爆買い」が持続的でないことは自明であり、インバウンド消費(非居住者の国内消費)は新たなステージに入っていると考えられます。それは買い物以外の需要の掘り起こしです。観光、飲食、娯楽などで質の高いサービスを楽しんでもらう「コト消費」は、有力な方策と思われます。対中の旅行収支(日本人の中国でのサービス消費-中国人の国内でのサービス消費)は、すでに14年以降黒字幅が着実に拡大していますが、今後は、旅行消費額の中でもウエイトの低い娯楽サービスなどでの拡大が期待されます。

また、これまでのインバウンド消費急拡大を通じた日本に対する認識の浸透を生かし、日本の質の高い商品、サービス、文化(サブカルチャーを含む)を楽しむ需要を海外で掘り起こすチャンスでもあります。したがって、中国の輸入関税引き上げを殊更悲観的に捉える必要はないと思われます。

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