メキシコの金融政策(8月)~今後のスタンスと市場展望

2020/08/14
  1. 政策金利は0.5%引き下げの4.5%でした。低インフレと根強い景気先行き不透明感に対応しました。
  2. 状況次第で追加緩和も辞さない姿勢は変わらないものの、利下げ余地は狭まってきた感があります。
  3. 本格的な景気回復を期待できる状況ではなく、低金利長期化の観測からペソは当面もみ合いそうです。

接近する政策金利とインフレ率

メキシコ銀行(以下、中銀)は8月13日に定例理事会を実施し、政策金利の翌日物金利を5%から4.5%に引き下げました(10会合連続)。低インフレが続いていること、新型コロナウイルスの感染が収束せず、ほとんどのサービス業が、全国で普段の半分以下の水準に活動を制限されており(特に娯楽、観光関連は多くが再開不可)、景気の先行きが不透明なことに対応しました。

7月のCPI(総合)は前年同月比+3.62%(コアは同+3.85%)と、このところ上昇しています。サービスが低迷する一方、食料、衣料品、家庭用品といった生活必需品が高くなっています。中銀は、財政政策とも連携しながら、インフレ目標達成に向けて政策判断するとしていますが、不透明感の強い状況が続けば一段の追加緩和を辞さない構えは変わりません。メキシコは実質金利(政策金利-インフレ率)が高く、利下げ余地がありました。しかし、相次ぐ利下げで実質金利は1%を割り込み、さすがに利下げ余地は狭まってきた感があります。

景況感は回復しているが・・・

メキシコ政府は「新感染症危険情報(4段階に色分け〔危険な順に赤、橙、黄、緑〕)」によって経済活動の再開レベルを指導しています。現在は全ての州が赤、橙です(7月末現在)。企業の景況感はリバウンドし、景気は回復方向ですが、中小サービス業者には依然として非常に厳しい環境です。

メキシコペソ(以下、ペソ)相場は、6月上旬に戻り高値を付けた後、やや調整して現在はもみ合っています。世界的に経済活動の再開が広がっていることは、外需拡大を通じて景気にはプラスですが、先行きの見えにくい国内情勢の中で、低金利の長期化が見込まれています。こうした状況の中、ペソ相場は当面、やや神経質で方向感のない展開となりそうです。

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