五輪メダル獲得数はその国や地域の経済力を映し出す鏡?

2012/08/20

第30回夏季五輪ロンドン大会は12日、17日間の祭典に幕を下ろした。日本のメダル総数38個は、04年アテネ五輪の37個を上回り史上最多。メダルの内訳は金7個、銀14個、銅17個。メダル総数では第6位だが、金メダル数では目標の15個を大きく下回り11位に留まった。 

ロイターでは、シェフィールド・ハラム大学のサイモン・シブリ教授が言う「五輪の国別市場シェア」をヒントに、1896年のアテネ五輪までさかのぼって国別メダル獲得数を調査(旧ソ連の分はロシアとしてカウント)。大まかに116年の五輪の歴史は4つの時代に分けられるという。 

<第1時代~20世紀前半は当時の世界情勢と同様、五輪でも「西欧支配」> 

BRICSのうち五輪に常時参加していたのはインドと南アフリカだけというのが理由 

<第2時代~第2次世界大戦後の30年間はソ連のスポーツ大国化がBRICSのG7追い上げに寄与> 

中国が五輪には長く不参加だったため、1980年のモスクワ五輪までBRICSのメダル獲得数の95%以上をソ連が占める 

<第3時代~米国とソ連のボイコット合戦により80年代は混乱の時代> 

米ソ2強のボイコット合戦で80年モスクワ五輪ではソ連が金メダルの39%、84年ロサンゼルス五輪では米国が同37%を占有 

<第4時代~最近20年間はG7とBRICSが初めて正面から対抗した時代> 

旧ソ連崩壊後、再びロシアとして参加するようになり、中国は84年のロサンゼルス大会で復帰 

冷戦時代には米国と旧ソ連が競い合っていた夏季五輪の国別の金メダル獲得数。だが、近年はそれが米国と中国の競争に置き換わり、04年アテネ五輪では米国が1位だったが、08年北京五輪では開催国メリットで中国が首位に躍り出ている。

こうしたメダル獲得競争の変化は、米国の衰退と中国の経済発展を映し出すが、G7(日本、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア)対BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)に置き換えても同様な傾向が浮かび上がってくる。

まだG7はBRICSを勝るもののその差は縮小。96年アトランタ五輪ではG7金メダル占有率38%、BRICS同17%と2倍以上の拡きがあったが、08年北京五輪では、G732%に対しBRICS同26%と肉薄。五輪での成績はその国や地域の経済力を映し出す鏡のようにも見える。ちなみに、今ロンドン大会では37%対23%と再び拡大しているが、やはりBRICS経済圏の低迷という経済的理由が原因なのか?

今大会の日本のメダル獲得の特徴は、①史上初や何十年振り、約半世紀振りなどの「冠」の付くメダル獲得が目立つ、②団体競技でのメダル獲得が多い、③女性アスリートのメダル獲得が増加、など。また、メダル総数と金メダル数のランキングの違いにも表れているが、④「期待された人」がメダルを逃し、「期待していなかった人」がメダルを獲得した。

更に、これは他国にはあまり見られない日本だけの特徴だが、金メダル占有率がメダル総数占有率を下回る傾向がある。これは、何が何でも1位を勝ち取るという他国のような「貪欲さ」とは異なり、1位でなくても2位や3位でも良しとする日本人の「奥ゆかしさ」からくるものか?それとも最後の「詰め」の甘さなのか?いずれにしても「勝つことよりも参加することに意義がある」というオリンピック精神の一つには則っているのだが。

4年間賢明に鍛えたアスリートたちが金メダルを競う姿は観る人々に感動を与えるが、こんな興ざめするニュースを米CNNが報じている。

各メダルの原材料の割合とコストを調べたところ、金メダルのコストは650ドル(金1%、銀93%、銅6%)、銀メダルは335ドル(銀94%、銅6%)、銅メダル5ドル(ほぼ銅100%)。これが本当なら、アスリートたちが目指した金メダルは本物の金でコーティングされた銀メダルということになってしまうが。これも「結果」ではなく、それに至るまでの「努力」の過程が重要というオリンピック精神ということで許されてしまうものなのだろうか?

コラム   

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