アーバネットコーポレーション(3242)増加を続ける事業用地の取得

2016/03/15

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投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:B to B)を主軸事業とするアーバネットコーポレーションでは、厳しい市場環境にもかかわらず、事業用地の取得が順調な増加を続けており、中期的な将来に向けての売上高の動向を示唆する仕掛販売用不動産の残高が右肩上がりの推移を示している。同社は、事業用地の取得を決済し、開発を経て資金回収に至るまでに2年強を要することや主たる販売先であるマンション販売会社などとの売買契約の進捗に鑑みて、2015年6月期の実績を開示(2015年8月6日)した段階において、2016年6月期に対する会社予想において売上高16,000百万円を見込んでいることを明らかにしたと同時に、2017年6月期に対して売上高20,000百万円規模を示唆していた。現状に至る経緯においては、2016年6月期に対して売上高17,000百万円と、物件の売却価格がやや上振れて推移してきたことに加えて、マンション販売会社への売却を予定していた物件が国内法人に売却されることになり、売却のタイミングも前倒しされることから、会社予想が増額修正されている。一方、第2四半期累計期間においては、仕掛販売用不動産の残高が更なる拡大(2015年6月期末:8,689百万円から2016年6月期第2四半期末:11,280百万円へと29.8%増)を示しており、2017年6月期から2018年6月期に向けても増収が続く方向性が明らかになりつつある。また、直近の開示(2016年3月10日)においては、主軸事業である投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:B to B)に向けての事業用地に加えて、アパートや戸建て住宅の開発・直接販売(小売:B to C)への関与を深めていくことを目的として、狭小用地の取得にも注力していくことが明らかにされている。

2016年6月期第2四半期累計期間は、売上高7,859百万円(前年同期比62.7%増)、営業利益914百万円(同84.1%増)、営業利益率11.6%(同1.4%ポイント上昇)での着地となった。また、売上総利益1,521百万円(同68.2%増)、販売管理費606百万円(同48.7%増)である。売上高に対する比率では、それぞれ、19.4%(同0.6%ポイント上昇)、7.7%(同0.7%ポイント低下)である。即ち、販売管理費が大幅に増加しているものの、それ以上に及んで売上高及び売上総利益が増加したため、大幅増益が達成されている。事業内容別では、主軸事業である投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:B to B)が展開されている不動産開発販売で売上高6,321百万円(同33.4%増)、不動産仕入販売で売上高1,482百万円、その他で売上高55百万円(同38.9%減)である。前年同期に売上高の計上がなかった不動産仕入販売では、他社物件の買取再販に関して、1棟での買取販売を含む総計31戸の売却による売上高が計上されている。その結果、不動産仕入販売で、売上高構成比18.9%となった。ただし、同社としての大幅な増益に寄与したのは、基本的に、不動産開発販売での従来からの売却先であるマンション販売会社及び海外法人に対する自社で開発した物件の売却における増加である。2015年6月期からの継続物件2棟を含む投資用ワンルームマンション8棟の戸別決済並びに1棟販売により総計288戸を売却したとのことである。これに含まれる海外法人への売却としては、アジールコート上野稲荷町(29戸)の1棟販売が挙げられている。超低金利政策や相続税課税強化を受けて、物件への需要が高止まりしていることに加えて、利回りの基礎となる賃料が若干ではあるが上昇傾向を示していることもあり、物件の売却価格が想定以上に堅調に推移したとのことである。また、販売管理費が大幅に増加している主因としては、優秀な人材の確保・拡充に向けての費用が増加していること、より広い本社オフィスへの移転に伴い賃料が増加していることが挙げられている。

2016年6月期に対する会社予想(2016年3月10日に修正済み)においては、売上高17,000百万円(前年比42.7%増)、営業利益1,920百万円(同16.2%増)、営業利益率11.3%(同2.6%ポイント低下)が見込まれている。当初の会社予想との比較では、売上高で1,000百万円(6.3%)、営業利益で160百万円(9.1%)の増額修正が行われている。年間配当金予定に関しても、14.0円から15.0円(配当性向36.7%)へと増額修正が行われている。第2四半期累計期間における業績推移が会社予想に対してやや上振れていたことに加えて、2017年6月期における売却が予定されていた物件の一部が、2016年6月期末までに売却されることとなったため、同社は、2016年6月期に対する会社予想を増額修正したとのことである。

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