EduLab<4427> テスト運営・受託事業を展開

2019/01/10

教育測定技術とAIを活用した次世代教育向けe-Testing/e-Learning事業及び
テスト運営・受託事業を展開

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木伸行

◆ 英語などの能力検査の試験開発などを提供
EduLab(エデュラボ、以下、同社)グループは、教育分野における能力測定技術の研究開発及びその成果であるテスト法の実践を通じて、英語その他の能力検査の試験開発、実施、分析、教育サービス等を提供している。公益財団法人日本英語検定協会注1(以下、英検協会)等の公的試験実施団体、文部科学省、地方公共団体等の公的機関、一般企業、教育関連企業、学校法人などを顧客としている。

同社グループは純粋持株会社である同社と連結子会社5社並びに非連結子会社7社で構成されている(10月末現在)。「教育を科学する」をキーワードにラーニングサイエンスとEdTech注2を活用し、e-Testing/e-Learning事業とテスト運営・受託事業の2つの事業を展開している(図表1)。

◆ e-Testing/e-Learning事業
英検協会を主な顧客として、教育機関、民間企業や個人向けに教育サービスを提供している。主たるサービスは英検協会及び教育デジタルソリューションズ(東京都千代田区)とで提供する「英ナビ・スタディギア」、英検協会から実施・運営を委託されている「英検Jr.」、上智大学、英検協会と共同開発し、英検協会と共同で運営している英語能力テスト「TEAP CBT注3」、企業・学校向けに販売する英語能力判定テストの「CASEC注4」等である。また、英検4-5級スピーキングシステム等のテストシステムを提供しライセンス収入等を得ている。

英ナビ・スタディギアは全体の売上高の36.5%(18/9期)を占める同社の主力サービスで、英検の受験者を始めとする英語学習者を支援するインターネット上のサービスである。22,000以上の学校や塾が参加し、40万人以上が継続的に学習している。

英検Jr.は英検協会が提供する学校や塾を主要顧客とした英語の教育・テストプログラムで、ペーパー版とオンライン版で提供されている。

TEAP CBTは主に高校3年生を対象とした大学入試を実施する大学などの教育機関での採用を想定している。10月19日現在で上智大学の他27校の私立大学の入学試験で採用されている。

CASECは、テスト受験者の試験項目に対する回答を自動的に分析することによってテストの難易度に関わらずテスト受験者の能力を正確に測定することができる、IRT(項目応答理論)とCAT(コンピューター適応型)の技術を用いた世界初のテストである。英検協会との共同開発である。

同社は純粋持株会社であるため、これらのサービスを連結子会社である教育測定研究所が、国内において提供している。また、シンガポールのEdutech Lab AP Private Limited、米国ワシントン州のEdutech Lab, Inc.の両連結子会社がソフトウェア、コンテンツの開発を行っている。

◆ テスト運営・受託事業
テストの問題作成、システム構築、管理、運営、採点等に関する受託事業で印刷、配送も含めテストの実施・運営に必要なすべての機能またはその一部を提供している。教育測定研究所が当事業を行っている。発注者は公的機関の場合が多く、入札制によることが多い。このため、入札の結果によっては受託できないこともあり、売上高の変動が大きいのが特徴である。

◆ ビジネスモデル
持株会社である同社が設立された15年頃までの同社のビジネスモデルは納品後の事業リスクは負わない受託型で、収益化の手段としては受託開発費の受け取りとその後の保守・運用料の受け取りというものであった。受託案件が増加すれば売上高が伸びるという比較的シンプルな収益モデルであった。

15年頃より、ビジネスモデルを転換し、事業リスクをとり、顧客(主に英検協会)とともに成長する形に変化してきている。顧客とはパートナー関係となり、収益化についてもライセンスフィーを受け取るというプロフィットシェア型に移行している。このため、業績は受験人数、取引団体数、利用月数などと連動する傾向にある。

>>続きはこちら(1.21 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ