ピアラ<7044> 「KPI保証」を武器に「ECマーケティングコミットカンパニー」を標榜

2018/12/19

「ビューティ&ヘルス」領域にフォーカスしたEC支援事業を展開
「KPI保証」を武器に「ECマーケティングコミットカンパニー」を標榜

業種: サービス業
アナリスト: 前田 吉弘

◆ ビューティ&ヘルス及び食品に特化したEC支援事業を展開
ピアラ(以下、同社)は、EC注1を運営するクライアントに対して、新規顧客獲得から顧客育成までの各課題への対応を支援する「EC支援事業」を展開している。また、主に化粧品や健康食品等の「ビューティ&ヘルス及び食品」領域をターゲット市場としている。

同社は、「全ての行動がWINの世界を創る」という経営理念のもと、「Smart Marketing for Your Life(あなたの生活をマーケティングでより素敵に便利に)」をビジョンとしている。EC利用者が、「より良い商品に出会い、購買を楽しむこと自体に価値を見出し、顧客満足度を最大化する」ことをミッションに据え、事業を通じて「ECトランスフォーメーション注2」を推進している。

同社グループの売上高は、「ECマーケティングテック注3」と「広告マーケティング」、「その他」のサービス別に区分され、同社グループは同社及び連結子会社3社により構成されている(図表1)。

◆ 「KPI保証」型を特色とするECマーケティングテック
「ECマーケティングテック」は、独自開発のソリューションである「RESULTシリーズ」を利用した「KPI注4保証」型の総合支援サービスである。ECを運営するクライアントに対し、広告代理や顧客育成支援、その他通販に関わるマーケティング支援等のサービスを主にマーケティング予算配分の最適化を通じて提供している(図表2)。

「RESULTシリーズ」の核となる「RESULT MASTER」は、同社が手掛けた600社以上のマーケティング支援におけるノウハウやデータの蓄積を基にしたビューティ&ヘルス及び食品領域特化型のDMP注5(過去の事例に基づく選好情報、属性等)とAI注6を搭載したマーケティングツールである。また、「KPI保証」とは、新規顧客にクライアントの商品を購入してもらうためにかかる新規顧客獲得単価(クライアントにとってのコスト)や既存顧客に定期購入や新商材の購入等をしてもらうための顧客育成単価(同)を同社が保証することである。

「KPI保証」型のサービスについて、新規顧客獲得を例にしてみると、①まず、クライアントと交渉の上、新規顧客獲得単価をKPIとして決定、②次に、同社が「RESULT MASTER」からの情報等により、ディスプレイ広告(Webサイトやアプリ上の広告枠に表示)や検索連動型広告(Googleなどの検索エンジンに入力されたキーワードに連動して表示)、SNS広告(Facebook等のタイムライン上に表示)、動画広告(YouTube等の視聴を利用)、DM(ダイレクトメール)といった媒体・手法に対する予算配分を最適化し出稿、③最後に、その結果として新規顧客がクライアントの商品を購入した場合(コンバージョンが発生した場合)、「購入した新規顧客数✕新規顧客獲得単価」を請求という流れとなる(図表3)。

◆ 手数料型サービスがメインの広告マーケティング
広告マーケティングは「RESULTシリーズ」を利用せず、クライアントのダイレクトマーケティング注7における課題に合わせて、通常の媒体から地方紙、エリア限定誌等のニッチな媒体まで多様かつ最適な手法を提案することでEC支援を行っている。具体的には、①独自媒体(同社独自の取扱広告枠)を含む広告枠の販売、②テレマーケティング、③DM配布、④リアルイベントの企画・運営、⑤WEB動画の作成、⑥バズマーケティング注8、⑦海外からの依頼等を同社の各分野におけるスペシャリストが、媒体社や外部協力会社とのリレーションのもとで行っている(図表4、図表5)。

広告マーケティングでは、成果に関係なく一定額の報酬(手数料)をクライアントに負担してもらう、いわゆる手数料型のサービス提供がメインとなっている。同社は、EC支援事業において、手数料型から、クライアントの課題や予算を元に設定したKPIの成果に応じて報酬を得る「KPI保証」型へとビジネスモデルの移行を進めている。

こうしたこともあって、広告マーケティングの売上高は引き続き増加傾向にあるものの、売上高構成比でみると、16/12期の34.1%から、17/12期は30.7%、18/12期第3四半期累計期間には24.8%と、期を追って低下している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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