アイ・グリッド・ソリューションズ(603A)自社投資とアライアンス先、電力需要家の投資でオンサイトソーラーの拡大目指す
商業施設等の屋上に設置した太陽光発電のオンサイトソーラーでGX を推進
自社投資とアライアンス先、電力需要家の投資でオンサイトソーラーの拡大目指す
業種:電気・ガス業
アナリスト:鎌田良彦
◆ 商業施設等の屋上に設置したオンサイトソーラーでGXを推進
アイ・グリッド・ソリューションズ(以下、同社)は、「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」をビジョンに掲げ、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の太陽光発電の導入拡大を通じ、脱炭素と経済成長の両立を目指す「グリーントランスフォーメーション(以下、GX)」の推進に取り組んでいる。
同社の事業セグメントは、GXソリューション事業とエナジートレーディング事業の2つからなる。
GXソリューション事業は、電力の需要家である商業施設や物流施設等の屋上に、当該施設の電力需要の一部を賄うことを目的に太陽光発電設備(以下、オンサイトソーラー)を設置し、脱炭素と電力コストの削減を実現する事業である。同社は発電した電力の長期契約による販売に加え、オンサイトソーラーの開発、電力の需給管理等の運営業務、保守・メンテナンス等を行っている。26年3月末のオンサイトソーラーの累計開発施設数は1,461施設、累計開発容量は390MWとなっている。
エナジートレーディング事業では、法人、家庭向けに電力の小売り事業を行っている。GXソリューション事業のオンサイトソーラーで発電された電力で消費しきれなかった余剰電力や、他の電力会社や日本卸電力取引所(以下、JEPX)から調達した電力を販売している。
25/6期の売上高構成比は、GXソリューション事業が38.0%、エナジートレーディング事業が62.0%であった。足元ではオンサイトソーラーの拡大に経営資源を重点的に投入しており、GXソリューション事業の売上高構成比が上昇している(図表1)。
◆ GXソリューション事業
GXソリューション事業では、オンサイトソーラーの所有者によって、①同社が設備を所有し、電力の需要家と契約期間20年を基本とするPPA注1を締結して電力を販売する「PPAサービス」、②アライアンスパートナーが設備を所有し、電力の需要家とPPAを締結してアライアンスパートナーが電力を販売する「アライアンスソリューション」、③電力の需要家が設備を所有する「インテグレーションサービス」の3つのスキームがある。
1)PPAサービス
PPAサービスは、17年6月に開始した同社の主力サービスで、同社がオンサイトソーラーや付随する蓄電池等への投資を行って保有し、電力需要家は初期投資ゼロで、基本20年の長期に亘り、同社から太陽光発電電力を購入する。同社は電力の販売収入に加え、設備の運用、保守・メンテナンス(以下、O&M収入)等の固定収入を得る。
PPAサービスは長期に亘って安定的な収入を得ることができる一方で、設置数の拡大に伴い同社の資産が拡大し、資金調達が必要になる。
2)アライアンスソリューション
アライアンスソリューションは、23年2月に開始したスキームで、設備投資と設備の保有は、アライアンスパートナーが単独で行うか、同社が少額出資するアライアンスパートナーとのジョイントベンチャー(以下、JV)が行う。同社はアライアンスパートナーやJVから発電設備の開発に伴う売上を一括で受け取り、その後は、定期的にO&M収入を得る。同社は自社で設備を保有することなく、オンサイトソーラーを拡大し、管理するオンサイトソーラーから余剰電力を買い取ることにより、同社が活用できる電力量を増やすことができる。
アライアンスパートナーとしては、JA三井リース(東京都中央区)、農林中央金庫(東京都千代田区)、栃木銀行(8550東証プライム)、ちゅうぎんフィナンシャルグループ(5832東証プライム)傘下のちゅうぎんエナジー、鈴与商事(静岡市清水区)、東急不動産ホールディングス(3289東証プライム)傘下の東急不動産、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306東証プライム)傘下の三菱UFJ信託銀行等がある。主要販売先として開示されているTLC VPP合同会社は、東急不動産と同社のJVである(図表2)。
3)インテグレーションサービス
インテグレーションサービスでは、電力の需要家がオンサイトソーラーや蓄電池、EV充電器等の設備投資を行って保有し、施設で使用する電力の一部を賄う。同社は設備導入時にオンサイトソーラーや蓄電池の機器調達や開発管理に伴う収益を一括で得、その後はO&Mや余剰電力の買取サービス等を提供する
◆ エナジートレーディング事業
エネジートレーディング事業は、特別高圧、高圧、低圧の全ての電圧区分で法人や家庭に電力を販売する電力小売事業である。GXソリューション事業でのオンサイトソーラーの施設数増加に伴い、施設から生まれる余剰電力の販売量が拡大し、電源調達面の強みになっている。
25年7月からは、GXソリューション事業で生み出された余剰電力を、地域内の他施設に長期契約で提供する電力シェアリングサービスである「循環型電力」のサービスを開始した。これにより、オンサイトソーラーが設置できない施設でも太陽光発電電力の長期購入が可能になった。

