システムエグゼ(548A)29年3月期に売上高153億円、営業利益10億円をめざす中期経営計画を公表
特定業種に特化した業務知識と開発力を持つ独立系情報サービス会社
29年3月期に売上高153億円、営業利益10億円をめざす中期経営計画を公表
業種:情報・通信業
アナリスト:髙木伸行
◆ 独立系システムインテグレーター
システムエグゼ(以下、同社)グループは、同社及びオフショア開発を行う連結子会社SYSTEMEXE VIETNAMにより構成されている。基幹業務システムをはじめとする情報システムの企画や設計、構築、保守・運用まで一気通貫でのサービス提供、自社開発製品の販売・導入支援などのシステムインテグレーション事業を行っている。
同社グループ、は特定の資本グループに属さない独立系のシステムインテグレーターであることから、顧客の課題に対して最適なハードウェアやソフトウェアを組み合わせて提案することが可能である。エンドユーザーとの直接取引が主で、26/3期の連結売上高に占める直接取引(顧客企業の情報系子会社との取引を含む)の割合は9割と高い。
アプリ受託開発、データ関連、インフラ、クラウドといった領域の技術を保有していることを強みとしている。アプリケーション部分に加えて、サーバーやネットワークといったITインフラ、クラウド基盤の構築やクラウドサービスの提供、データベースやデータ分析基盤の構築など、システム構築に必要な要素をワンストップで提供できる体制を整えている。
◆ 特定業種に強み
同社グループは、不動産業、保険業、製造業、サービス業といった特定業種に強みを持ち、各業種の有力企業と継続して取引している(図表1)。このため、ノウハウや業務知見を蓄積し易く、顧客との信頼関係も強固になる傾向がある。
26/3期の顧客業種別の売上高構成比は、不動産業22.9%、製造業18.9%、保険業12.3%、サービス業他45.9%であった(図表1)。特に売上高の多い相手先としては三井不動産(8801 東証プライム)と出光興産(5019 東証プライム)が開示されており、三井不動産向けは26/3期の売上高の14.7%(25/3期は17.2%)、出光興産向けは25/3期は売上割合が1割未満のため、開示されていなかったが、26/3期は11.0%を占めた。
要求水準の高い顧客からの新規開発案件に加えて、運用保守や運用保守からの派生開発案件といった継続型の案件による収益(ストック収益)も安定的に推移している。26/3期のストック収益の売上高に占める割合は48.9%であった。
◆ 26年3月期実績
26/3期は、売上高12,411百万円(前期比6.9%増)、営業利益803百万円(同24.5%増)、経常利益805百万円(同24.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益605百万円(同25.5%増)となった。新規上場時に公表された計画に対する達成率は売上高101.6%、営業利益106.2%、経常利益105.5%、親会社株主に帰属する当期純利益111.6%であった(図表2)。
売上高については、顧客業種別とストック・フロー別の動向が開示されている。業種別では不動産業向け及び保険業向けが各々、前期比7.3%減、11.4%減となった一方、製造業向けが出光興産向けの拡大により同20.1%増となり、サービス業他向けも公共案件を始め大規模案件を複数受注したことから同17.1%増となった(図表1)。ストック売上高は同1.1%減となり、フロー売上高はアライアンスパートナーによる提案企画の効果で新規大型案件を複数獲得したことから同15.9%増となった。
売上総利益率は前期比2.3%ポイント改善した。受注単価の改善に加え、同社独自の日本、ベトナムの技術者、及び双方の橋渡し役となるブリッジエンジニアが一丸となりプロジェクトを推進するオフショア開発BotDev(ボットデヴ、Borderless OneTeam Developmentの略)の活用、独自の開発標準体系(ExecTORA:エグゼクトラ)による不採算案件の発生抑制といった取り組みが功を奏したものと推測される。売上総利益率の改善により、上場費用の増加、人材採用・教育に関する費用の増加、オフィス移転費用などによる販売費及び一般管理費の増加を吸収した。
26/3期の1株当たり配当金については、当初計画の34.00円から37.60円へと引き上げられた。
◆ 27年3月期会社計画
同社は27/3期について、売上高13,391百万円(前期比7.9%増)、営業利益851百万円(同6.0%増)、経常利益857百万円(同6.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益598百万円(同1.2%減)を計画している。
後述する中期経営計画の基本戦略に基づく各施策を遂行してゆくとしている。親会社株主に帰属する当期純利益を前期比1.2%減としているのは、26/3期に賃上げ促進税制により法人税負担が軽減された恩恵が無くなることを織り込んだためである。
1株当たり配当金については44.48円(配当性向40%)とする計画である。同社は、新規上場時において、連結配当性向40%以上、連結ベースの株主資本配当率注について3.5%以上とすることを早期に実現したいとしていたが、今期の配当計画はその株主還元方針に則ったものである。
◆ 中期経営計画2026-2028
同社は、3期間を対象とする中期経営計画を策定し、毎期ローリング方式により見直しを行っている。現行の中期経営計画においては29/3期に売上高153億円(26/3期を起点に年率7.2%成長)、営業利益10億円(同7.6%成長)、営業利益率6.5%(26/3期6.5%)を目標としている。
基本戦略として、①顧客ビジネス成長への貢献による売上拡大、②事業変革による収益モデルの転換、③長期成長基盤の構築を掲げている。
① 顧客ビジネス成長への貢献による売上拡大
顧客企業を、各業界のトップ企業を中心とした約10社を「主要顧客」、主要顧客に準ずる約20社を「戦略顧客」と定め、主要顧客については顧客のDX推進に貢献を通してビジネス共創を目指し、戦略顧客に対してはモダナイソリューションによる顧客ビジネスの変革に貢献してゆくとしている。また、その他の既存顧客や新規顧客に対しては、アライアンスパートナーとの連携を活用したいとしている。
② 事業変革による収益モデルの転換
1)オフショア開発推進によるリソース安定確保と収益性の向上同社独自の開発手法BotDevを活用するとともに、ベトナム国内での幹部社員育成、ブリッジエンジニアの採用・育成により体制整備をさらに進め、生産性の向上を目指す考えである。
2)AI活用による開発手法の標準化、サービスの高度化による収益性向上生成AIの活用によるシステム開発手法の標準化といった開発基盤の刷新と生成AIを利用した製品機能拡張、サービス化により収益性を図る考えである。
③ 長期成長基盤の構築
組織力・技術力の強化、人材育成、個々の能力が最大限発揮できる環境整備、ガバナンスの強化による健全経営の推進、経済・市場環境の変化や自然災害に対するリスクマネジメントに取り組むとしている。
◆ 新規上場時の調達資金の使途
新規上場時に調達した手取金486百万円の使途については、業務変革による収益モデルの転換、長期成長基盤の構築に向けて、開発標準基盤の刷新(AI化)、AI新サービスの開発、先端技術の研究開発(R&D)といった開発投資を挙げている。また、同社は、開発部門の人員拡大を目標に掲げており、開発力強化を含め成長戦略を実施する上で不可欠となるハイクラス人材の採用・育成に充当する予定である(図表3)

