ヌーラボ<5033> 既存顧客へのID管理ツールの販売による成長加速を目指す

2022/07/05

プロジェクト管理ツール等のクラウドサービス事業を展開
既存顧客へのID管理ツールの販売による成長加速を目指す

業種: 情報・通信業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ プロジェクト管理ツールを中心としたクラウドサービス事業
ヌーラボ(以下、同社)グループは、同社及び連結子会社3社で構成され、企業向けに、プロジェクト管理ツール「Backlog」、ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、ビジネスチャットツール「Typetalk」、ID管理ツール「Nulab Pass」の4種類のサービスを提供している。22/3期における売上構成比は、「Backlog」が94.0%、「Cacoo」が4.9%、「Typetalk」が0.7%、「Nulab Pass」が0.4%である(図表1)。

◆ プロジェクト管理ツール「Backlog」
同社の中核サービスであるプロジェクト管理ツール「Backlog」は、チームで協力しながら作業を進めるためのコラボレーション型プロジェクト管理ツールであり、主にSaaS 注1 型で提供している。用途としては、大規模なソフトウエ ア開発から保守運用、デジタルマーケティングキャンペーンの管理、ウェブ サイトの制作まで多岐にわたる。一般的なオフィスワークのタスク管理やカス タマーサポートの課題管理にも採用されている。

「Backlog」は業務ごとにプロジェクト注2 を作成することが可能であり、プロジェクト管理に必要な基本機能を提供している(図表2)。また、プログラムのソースコード等をプロジェクトに紐付けて管理するバージョン管理システムやモバイルアプリの提供、API 注3 の提供を始めとする拡張性を備えている。さらに、「Backlog」は契約主体以外の社外メンバーもひとつの契約スペースでプロジェクト進行が可能である。契約主体は、権限付与によって権限管理・情報管理を行う事が可能である。

「Backlog」は業務ごとにプロジェクト注2 を作成することが可能であり、プロジェクト管理に必要な基本機能を提供している(図表2)。また、プログラムのソースコード等をプロジェクトに紐付けて管理するバージョン管理システムやモバイルアプリの提供、API 注3 の提供を始めとする拡張性を備えている。さらに、「Backlog」は契約主体以外の社外メンバーもひとつの契約スペースでプロジェクト進行が可能である。契約主体は、権限付与によって権限管理・情報管理を行う事が可能である。

同社は顧客が「Backlog」を使用する期間にわたって月次使用料を受け取る。月次使用料は、55,000 円、21,780 円、12,980 円、2,640 円の4 プランが基本となっている。2,640 円以外のプランではユーザー数及びプロジェクト数の上限は無いが、ストレージ容量に応じて料金が異なる。導入費用は原則として受け取らない。

21/3 期末の「Backlog」の有料契約数は11,534 件である。同社によると、「Backlog」の導入先の業種・職種は比較的分散しているが、業種ではシステム開発やWeb サービス、広告マーケティング、職種ではエンジニアやプロ ダクトマネジャー、事務等が多い。

◆ ビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」
ビジュアルコラボレーションツールの「Cacoo」は、プロジェクトのアイデアやウェブサイトのレイアウト、作業計画等をオンライン上で簡単に作成し、チーム内に共有できるウェブサービスである。ワイヤーフレーム注4、フローチャート、組織図、マインドマップ、オフィスレイアウトまで、豊富なテンプレートや図形を元にあらゆる図が作成できる。

同社は10 年9 月に「Cacoo」をリリースし、21/3 期末の有料契約数は5,963 件である。

◆ ビジュアルチャットツール「Typetalk」
「Typetalk」は、様々なチームの会話を実現するビジネスチャットツールである。他のチャットツールと異なる特徴として、「Typetalk」独自の「まとめ機能」、「ライン返信機能」や「いいね機能」を備えており、これらの機能がチームのコミュニケーションをより楽しく、より円滑となるように設計されている。プロジェクト管理ツール「Backlog」との連携性が高い点も特徴である。

同社は14 年2 月に「Typetalk」をリリースし、21/3 期末の有料契約数は156 件である。

◆ ID 管理ツール「Nulab Pass」
「Nulab Pass」は、同社グループが提供するサービスのアクセス管理を強化したい組織や、利用する社員のアカウントを一元管理したい管理者に向けた、セキュリティとガバナンス強化のためのサービスである。「Nulab Pass」は不正なアクセスを防ぐために推奨されている「SAML 注5 認証方式によるSSO(シングルサインオン)注6」、「監査ログ注7」を提供し、システム運用時のセキュリティリスクを軽減する。

同社は20 年8 月に「Nulab Pass」をリリースし、21/3 期末の有料契約数は11 件である。

収益モデルとして、同社は顧客企業よりユーザー数に応じた月額使用料を受け取る。月額使用料は1 ユーザー当たり230 円から330 円程度であり、ユーザー数が増えるほど、1 ユーザー当たりの使用料は安くなる。

◆ サービスの提供体制
22 年4 月末時点で146 名の同社グループの従業員の配置は、開発が約6 割、マーケティング・営業が約2 割、カスタマーサポートが約1 割、コーポレートが約1 割である。米国及びシンガポール、オランダに子会社があり、各拠点で現地顧客向けのマーケティング活動を展開しており、米国及びオランダではサービス開発も行っている。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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