Fast Fitness Japan<7092> 21年3月期は新型コロナウイルス禍の影響を受けるが競争優位性は不変

2020/12/28

24時間フィットネスクラブ「エニタイムフィットネス」を運営
21年3月期は新型コロナウイルス禍の影響を受けるが競争優位性は不変

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 米国発祥の「Anytime Fitness(エニタイムフィットネス)」の日本におけるマスター・フランチャイジー
Fast Fitness Japan(以下、同社)は、米国のフィットネスクラブチェーンである「Anytime Fitness(エニタイムフィットネス)」の日本におけるマスター・フランチャイジーとして事業展開をしている。10年10月に国内1号店をオープンして以降着実に店舗数を増やしていき、24時間フィットネスクラブでは国内最多の店舗を有している。

同社は、国内においてサブ・フランチャイズを許諾する権利を有し、サブ・フランチャイジー(以下、FC)と契約を締結して店舗網を拡大してきた。連結子会社のAFJプロジェクトもサブ・フランチャイジーの1社として店舗を運営している(以下、連結子会社が運営する店舗は直営店、連結子会社以外が運営する店舗はFC店)。

同社は、フィットネスクラブ運営事業の単一セグメントだが、売上は、直営店運営を通じた店舗売上、FC店からの収入となるFC売上、その他営業の収入の3つの区分に分類される(図表1)。全体の売上高の約半分が店舗売上となっている。

◆ 「エニタイムフィットネス」
「エニタイムフィットネス」は、02年に米国のミネアポリスでスタートしたフィットネスクラブで、20年9月末時点で、世界28の国・地域に約4,800店舗(うち2,000店舗以上が米国とカナダ以外)で展開されている。

◆ 店舗数の推移
同社は10年6月より日本におけるマスター・フランチャイジーとなり、国内におけるサブ・フランチャイズを許諾する権利を得た後、10年10月に最初の直営店を、11年5月に最初のFC店をオープンした。以降、店舗数を増やし、20年9月末時点で国内829店舗(直営店149店舗、FC店680店舗店)、全店舗数に対する直営店の比率は18.0%となっている(図表2)。

店舗は全国47都道府県に展開している。地域別には、北海道10店舗、東北36店舗、関東370店舗、中部103店舗、関西173店舗、中国32店舗、四国14店舗、九州・沖縄91店舗である。

◆ 利用者視点で見た「エニタイムフィットネス」
「エニタイムフィットネス」は、主要ターゲット顧客層である低~中年齢層の男性の利便性に沿った特徴を有している。具体的には、(1)24時間年中無休、(2)マシンジム特化、(3)低価格、(4)世界全店利用可能といった特徴が挙げられる。

24時間年中無休を実現するため、夜間は無人営業となる。無人営業を可能にするため、独自開発の入館管理システム・セキュリティーシステムの導入に加え、総合警備保障(2331東証一部)との包括契約で利用者の安全を守る工夫がなされている。

夜間の無人営業による人件費等の削減や、マシンジム特化による設備費や維持費の削減によって利用料金の低価格化が実現されており、特に総合型のフィットネスクラブに対する価格優位性を生み出している。

また、世界全店を追加料金なしに利用可能という仕組みは、出張や転勤が多い利用者にとっての利便性を高めている。

◆ FC視点で見た「エニタイムフィットネス」
「エニタイムフィットネス」は、直営店及びFC店の両方で店舗数を増やしており、FCの獲得及びFCによる出店加速が成長には欠かせない。FCにとっての「エニタイムフィットネス」の特徴としては、以下の点が挙げられる。

(1) 70~150坪程度の比較的小規模店舗であるため、出店可能な立地が多い
(2) 小規模店舗でかつ、大規模施設が不要のため、初期投資及びランニングコストが他のフィットネスクラブに比べて低く抑えられる
(3) 夜間は無人営業のため、人件費が抑制できる
(4) 1店舗ごとのロイヤリティが定額、固定であるため、損益分岐点売上高を超える会員を集めた時の利益が大きくなる

これらの特徴から、同社とFCがともに成長するという構図となりやすく、1FC当たり店舗数は12/3期は約1店舗だったが、20/3期は5店舗を超える水準にまで増加している。

◆ 収益モデル
同社の売上高の多くを占めるのは店舗売上とFC売上である。店舗売上は直営店の運営によるもので、利用者からの会費収入とサービス提供・商品販売による売上で構成され、直営店の利用者数に連動する。一方、FC売上はFCからのロイヤリティと、FCへの商品や備品の販売による売上で構成され、FC店の店舗数に連動する。

費用面では、米国のAnytime Fitness, LLCへのロイヤリティ等のほか、Anytime Fitness, LLC と提携しているProvision Security Solutions, LLCに対するセキュリティ関連商品等の購入時の支払いが発生する。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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