アースインフィニティ<7692> 関西地方を中心に自社社員による訪問販売を特徴とする

2020/10/22

小規模工場・飲食店・店舗などへ電気とガスを小売販売
関西地方を中心に自社社員による訪問販売を特徴とする

業種: 小売業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ 小売電気事業を主に展開
アースインフィニティ(以下、同社)は、電気及びガスの小売を行う「エネルギー事業」、電子ブレーカーの販売を行う「電子機器事業」を展開している。20/7期の売上構成比は、エネルギー事業が93.0%、電子機器事業が7.0%である(図表1)。エネルギー事業は、小売電気とガス小売の2つの事業で構成されている。小売電気がエネルギー事業の売上高の9割以上を占めている。

◆ エネルギー事業
同社は15年3月に特定規模電気事業者の届出、電力小売が全面自由化された16年4月に小売電気事業者の登録を行い、小売電気に参入した。

同社は、電力の需給管理を仲介業者に委託し、民間の発電所から調達した電力及び一般社団法人日本卸電力取引所(以下、JEPX)との間で行う市場取引により調達した電力を、一般送配電事業者が所有する送配電網を使用して、沖縄県を除く日本全国の顧客に供給している。同社によると、19/7 期の電力の調達の約7 割(18/7 期は36.5%)が市場取引からである。

同社のターゲット顧客は、電力消費量が、大規模工場や大型ビル等の大口需要家と一般家庭との中間にあたる、小規模工場、店舗、飲食店などの中間層(以下、中間層)である。特に、個人オーナーや店長が契約を決済できる工場や店舗が対象である。決済者が需要先とは別の本社であったり、稟議などが必要な大型チェーンには注力していないようである。また、同社は、官公庁の入札案件に参加し、契約を獲得している。同社によると、20/7 期末の電気の契約件数は24,451 件であり、小売電気における売上高の9 割以上が、中間層向けであり、残りが官公庁である。

顧客の獲得経路は、同社従業員による訪問販売が大半であり、残りは主に代理店による訪問販売である。同社従業員は、中間層に対して1 件1 件飛び込みで訪問し、対面で商品説明を行った上で、契約を獲得している。同社および代理店は、電話による営業やアポ取りは行っていない。以前は、代理店による電話営業が行われていたが、代理店の電話営業に対するクレームが同社に多く寄せられた事を受け、19 年1 月以降、代理店に対して電話営業を禁止している。

同社によると、同社従業員による訪問営業では、営業社員1 人当たり1 日2 件程度の契約獲得が目標となっており、1 日数十件の飛び込み営業を行っているようである。同社では訪問営業の生産性を高めるため、同社の本社がある大阪市を中心とした関西地方において、顧客密度の高い都市を中心に、営業活動を行っている。

同社の電気料金プランは中間層に特化したものになっている。特に、月間の電気使用量が301kWh 以上の顧客に対しては、関西電力を始めとした旧一般電力事業者の料金プランと比較して、低い料金を提供できるケースが多いようである。契約期間は1 年間で自動更新条項がついているが、契約期間中の解約に対する違約金は無い。

ガス小売は、都市ガスの需要家に対してガスの供給を行う事業である。同社は、19 年6 月にガス小売事業の登録を行い、19 年10 月にガス小売に参入した。民間のガス会社から調達したガスを、同社と電力需給契約を締結している顧客へ販売したり、小売電気の営業を行う際に電力とのセット販売を行っている。20/7 期末のガス契約数は1,423 件である。

◆ 電子機器事業
電子機器事業は、主に中小企業を対象とする電子ブレーカー(コンピューター内蔵ブレーカー)の販売・設置によるエネルギーコスト削減の提案及びコンサルティングを行う事業である。電子ブレーカーは、同社の特許技術に基づき、協力会社で製品を製造し、同社が販売・設置を行うファブレス(工場を持たない)メーカーとして事業を展開している。

同社の電子ブレーカーは、低圧(契約電力50kW 未満)の電力需要家に対して、メインブレーカーの容量によって基本料金を決める主開閉器契約において、JIS 規格の範囲内で最大まで電気を使用できるよう、あらかじめプログラムされているため、契約容量(kW)を引き下げることで電気料金を削減することを可能にしている。多くの需要家は、所有している設備の容量(kW) の総計によって基本料金が決まる負荷設備契約を締結しており、多数の設備を持つ需要家では、設備の稼働状況に関わらず、基本料金が使用料金よりも高くなっているケースが多い。このような需要家は、契約形式を負荷設備契約から主開閉器契約に変更し、同社の電子ブレーカーを導入することで、基本料金を削減することができる。主な顧客は中小工場のようである。

同社は、ブレーカーの販売に伴うリースの事務代行やクレジット取次から、設置工事に伴う電力会社への申請代行業務まで行うこと、また、取引契約を交わしている販売店へ卸販売することにより、収益を獲得している。

顧客の獲得経路は、顧客を1 件1 件訪問し、顧客と顔を合わせて提案し、申込を得ている。現在は、リース契約期間が終了する既存顧客に対して、過去に導入された電子ブレーカーと同等の機能を持った新しい電子ブレーカーに入れ替える販売を中心に行っている。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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