(2483)翻訳センター 第四次中計の滑り出し良好 新たなビジネスモデルへ前進

2019/01/10

HC

今回のポイント

・19/3期第2四半期の売上高は前年同期比%16.6増の57億18百万円。主力の翻訳事業が堅調に推移したことに加え17年11月に子会社化した株式会社メディア総合研究所も増収に寄与。コンベンション事業も大幅増収。相対的に収益性の低いコンベンション事業の伸長、(株)メディア総研の連結により全体の粗利率は低下したが粗利額は同11.3%増加。販管費も増加したが、増収効果で吸収し、営業利益は同16.8%増の3億29百万円。売上、利益ともに予想を上回った。連結の粗利率は低下したが、単体(翻訳事業)の粗利率は制作工程における生産性向上により上昇しており、機械翻訳の導入など各種戦略が着実に進んでいる。・業績予想に変更は無い。19/3期の売上高は前期比13.0%増の120億円を計画。全セグメントで増収の予想。子会社(株)メディア総研がフル寄与する。主力の翻訳事業が2桁増収で粗利率も上昇。営業利益は12.2%増の9億円の予想。(株)メディア総研のコストも加わり販管費は同25.3%増加するが吸収する。売上高、営業利益ともに3期連続して過去最高を更新。配当は前期比6円/株増配の35.00円/株の予定で、5年連続の増配。予想配当性向は19.6%。

・スタートしたばかりの第四次中期経営計画だが、専属チームによる機械翻訳エンジン「Mirai Translator」の外販実績も出始めた。外販を起因とした人手翻訳の売上寄与までにはもう少し時間がかかるということだが、新たなビジネスモデルの構築に向けて確実に一歩を踏み出したと言えよう。また、単体の粗利率向上に見られるように社内における機械翻訳活用による生産性向上も進んでおり、規模の拡大と収益性の向上に向けた進捗を引き続き注目していきたい。一方、通期予想に対する進捗率は売上高47.7%、営業利益で36.6%とややスローだが、前年同期と同程度でありもともと下期に利益が出やすい収益構造であるため予想達成は十分可能と会社側は考えている。

会社概要

翻訳業界の国内最大手で初の上場企業。医薬、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務分野において、産業翻訳と呼ばれる技術文書やビジネス文書の翻訳を行う。語学力、専門性、文章力に優れた約4,200名の登録翻訳者を有する。高い品質と専門性、対応言語約80言語という幅広さが特徴。通訳も含めた言語サービスにおける事業領域の拡大を図る。機械翻訳を利用した新たなビジネスモデルの構築にも着手。

【1-1 沿革】

江戸時代から薬の町として有名な大阪・道修町(どしょうまち)で、医薬専門の翻訳サービスを提供するために設立された(株)メディカル翻訳センターが前身。その後、特許などへ翻訳業務の範囲を広げる過程で東京、大阪、名古屋に設立した数社を整理・統合して1997年8月に(株)翻訳センターとなる。2006年株式上場後、海外へも進出。

【1-2社長プロフィール】

二宮 俊一郎社長は1969年7月21日生まれ。
1997年4月同社入社、2004年6月取締役就任。2018年6月代表取締社長役に就任。機械翻訳の進化で大きく変動する翻訳業界においてビジネスモデルの転換でさらなる成長を目指す同社を牽引する。

【1-3企業理念・経営方針】

<経営ビジョン>
「すべての企業を世界につなぐ言葉のコンシェルジュ」

【1-4 市場環境】

翻訳ビジネスは大きく分けて、「産業翻訳」、「出版翻訳」、「映像翻訳」があるが、同社の中心的な事業は、企業や官公庁で発生する技術文書、ビジネス文書の翻訳のことを指す「産業翻訳」と言われる分野。
日常生活においては出版翻訳や映像翻訳を目にすることが多いが、約2,795億円といわれる日本の翻訳市場において、産業翻訳が占める割合は90%と圧倒的な大半を占めている。
一般社団法人日本翻訳連盟によると、国内には約2,000社の翻訳会社・事業者があるが、売上高76億円(翻訳セグメント、2018年3月期)の同社の以下は、10位で売上高数億円程度と、小規模事業者が大多数の業界となっている。

日本企業の活動のグローバル化が進むにつれて、翻訳ニーズは益々拡大するものと予想されている。

高速鉄道、プラント設備・装置技術、水道など日本企業による現地インフラ事業の受注拡大
新興国市場における日本の自動車産業の拡大
震災、洪水などの教訓からリスク分散に伴う生産拠点の多極化
企業経営者の多国籍化
所謂「クールジャパン」戦略に基づいた、コンテンツ、製品・サービスの輸出拡大や、来日誘致策の積極化

海外に目を向けてみると、アメリカの調査会社コモンセンスアドバイザリー社発表による2018年の世界の語学サービス会社の売上高ランキングにおいて、同社はアジア太平洋地域では2位にランクインされた。
同社レポートによると、世界の翻訳市場は日本市場の10倍以上にあたる巨大市場が形成されている。当然競争も激しい事は予想されるが、同社は事業拡大のため、新規領域への取組も開始しており、世界トップ10入りを目指している。

【1-5事業内容】

(1)概要
医薬、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務など、専門性の高い事業分野における産業翻訳を行っている。
産業翻訳の具体例としては、以下の様なものが挙げられる。

デジタル機器等における複数言語で書かれている取扱説明書
海外生産工場での機械の仕様書や現地従業員向けの作業マニュアル
現地会社で使う規程などの人事労務資料
日本国あるいは外国へ特許出願する際の特許明細書
日本国あるいは外国で医薬品の承認申請を取得するための資料
決算短信、株主総会招集通知などのディスクロージャー関連資料
企業間で発生する契約書などの法務資料

現在の顧客数は約4,600社。9割が法人顧客。
売上ベースで対応言語の80%が英語で、中国語5%、西・韓・独が数%と続くが、近年、東南アジア言語の翻訳依頼が増えている。
現在、約80言語に対応している。

(2)ビジネスモデル

翻訳作業は、同社に登録している約4,200名(2018年3月期)の翻訳者が行う。質の高い翻訳者をどれだけ確保できるかが事業拡大の上で大きなポイントとなる。
そのために、登録の際トライアルを実施し、語学力のみでなく、技術知識など専門性や文章力、スピードも評価して一定以上の能力を有した翻訳者のみと契約している。合格率は約14%ということだが、一次審査として書類審査も行っていることから、実際の合格率はもっと低く、狭き門となっている。
登録翻訳者の確保が重要な経営課題と認識しているが、実際のところは、翻訳者の数がボトルネックになった事はなく、安定的に仕事を発注できる同社の事業規模の大きさもあり、登録者数は順調に拡大している。
同社の売上原価のほぼ大半が登録翻訳者への支払報酬で、原則的に「対応言語 1ワードあるいは1文字」当たりの従量制となっている。
業務フローを示したのが以下の図だが、同社が安定的に利益を生み出すためには以下の2点が最も重要であり、そのために様々なシステムを導入している。

①翻訳者の選定

品質確保のためには、顧客から依頼された原稿の内容に適した翻訳者を言語、専門性、スピード、発注単価などを加味して選定しなければならない。
この選定でミスをすると、納品までの後工程に支障をきたし、収益低下につながる。

同社では基幹業務統合システムを使用し、常に適切な翻訳者選定が出来るような体制を構築している。案件の受注から納品、回収までを一括管理する同社カスタマイズの基幹業務システムで、販売管理だけでなく、登録者に関する専門分野、過去の実績、スケジュールなど、詳細なデータが蓄積されている。
コーディネータと呼ばれる社内の担当者が、このシステムに蓄積された登録者の専門分野、過去の実績、スケジュールなどのデータを用いて適切な翻訳者を選定する。これによりコーディネータの属人的な経験などに頼らずに適切な翻訳者の選定を行う事が出来る。なお、2015年7月に基幹業務統合システムを改修している。

②翻訳のスピードアップ及び品質チェック

顧客に納品する前に必要な校正作業は社内の校正スタッフ、ネイティブスタッフなど、専門スタッフが行っている。また、翻訳作業をより確実かつスピーディーに行えるよう、各種翻訳支援ツールを使用している。

翻訳支援ツールとは?

従来の翻訳では、大量の原稿の重複箇所の表現統一を手作業で処理しており、業務の精度を高めるためには、多くの人手を投入するなど、効率的ではなかった。
この問題を解決するために、同社は各種翻訳支援ツールを活用している。これは、重複箇所の表現統一を機械的に処理するもので、ツール導入により翻訳作業に関わる人手を減らし、より速く正確に行うことが可能となった。

③今後の方向性

機械翻訳の精度が急速に向上する中、従来の翻訳アウトソーシングにとどまらず、ソリューションビジネスへの転換を進めて行く。詳細は、「参考1:今後の戦略~第四次中期経営計画~」を参照。

(3)事業セグメント

翻訳事業が売上の大半を占めるが、「すべての企業を世界につなぐ言葉のコンシェルジュ」として、翻訳者派遣、通訳、コンベンションなど幅広いフィールドで事業を展開している。
報告セグメントは、「翻訳事業」、「派遣事業」、「通訳事業」、「コンベンション事業」の4つ。この他、外国出願支援事業、語学教育事業を含む「その他」がある。
(従来報告セグメントとして開示していた「語学教育事業」は、量的な重要性が低下したため、2019年3月期第1四半期より報告セグメントから除外し「その他」としている。)

(2019年3月期第2四半期実績)

翻訳の対象により、医薬分野、工業・ローカライゼーション分野、特許分野、金融・法務分野で構成されている。

①医薬分野
主に、製薬会社を顧客とした新薬等医薬品開発段階での試験実施計画書、試験報告書、医薬品の市販後の副作用症例報告、学術論文、および、医薬品・医療機器類の導入や導出に伴う厚生労働省、米国FDA(食品医薬品局)などへの申請関連資料などの翻訳を行う。また、医療機器メーカーを顧客としたマニュアルの翻訳や化学品、農薬関連の翻訳も行っている。

②工業・ローカライゼーション分野
主に、自動車、電気機器、機械、半導体、情報通信関連の輸出・輸入メーカーを顧客とした、技術仕様書、規格書、取扱説明書、品質管理関連資料の翻訳、メディアコンテンツ類の翻訳も行っている。

③特許分野
主に、特許事務所および各種メーカーの知的財産関連部署を顧客とした、電気、電子、機械、自動車、半導体、情報通信、化学、医薬、バイオ分野における、外国出願ならびに日本出願などに伴う特許出願明細書や特許公報の翻訳を行っている。

④金融・法務分野
主に、銀行、証券会社、保険会社など金融機関、法律事務所を顧客とした、市場分析レポート、企業業績・財務分析関連資料、運用報告関連資料、人事関連資料、マーケティング関連資料、契約書、定款・約款などの翻訳、また、企業の管理系部署などを顧客とした、株主総会招集通知やアニュアルレポート、有価証券報告書などのディスクロージャー関連資料の翻訳、会社案内、法律関連文書、人事規程などの翻訳も行っている。

(株)アイ・エス・エスにおいて、顧客企業が機密保持上、社外に持ち出せない文書類などの翻訳業務を行う翻訳者派遣、ならびに、会議、商談、工場見学などの通訳業務を行う通訳者の派遣を行っている。

(株)アイ・エス・エスにおいて、大規模国際会議や企業内会議、商談、工場見学などの際の通訳を請負っている。

(株)アイ・エス・エスにおいて、国際会議・国内会議(学会・研究会)やセミナー・シンポジウム、各種展示会の企画・運営を行っている。大型案件の受注により知名度、ブランド力が向上。実績を重視する官公庁においては上場企業として財務基盤が強固である点も含め上位の評価を受けている。

(株)外国出願支援サービスにおいて外国出願用の特許明細書の作成業務や(株)メディア総合研究所においてITシステムの構築・導入・運用支援業務などを提供しているほか、(株)アイ・エス・エス・インスティテュートにおいて、通訳者・翻訳者養成のための語学教育を提供している。

【特徴と強み】

翻訳業界最大手で初の上場企業である同社は、以下の様な強みや特徴を有している。

◎専門性

医薬、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務の4分野において高い専門性を有している。
本業である翻訳に加えて、外国特許出願に際しての出願書類の作成やメディカルライティング(新薬申請資料の作成)を手掛けるなど、その業界に関する高い専門性と翻訳に付随した付加価値サービスを展開している。
近年様々な翻訳支援ツールや機械翻訳サービスが提供されるようになってきているが、同社でも専門性を維持しつつファイル管理や用語統一などを効率化する有効なツールとして積極的に導入を進めている。

◎総合力

2006年4月の株式上場時は翻訳事業のみの事業形態であったが、2012年9月に通訳業界で大きな実績をもつ(株)アイ・エス・エスを買収し、事業を拡大した。「すべての企業を世界につなぐ言葉のコンシェルジュ」という経営ビジョンのもと、コア事業である翻訳だけにとどまらず、通訳、人材サービス、コンベンション(国際会議企画・運営)、通訳者・翻訳者育成事業など、外国語ビジネスの総合サプライヤーとして体制を構築している。また、対応言語数が約80言語という幅広さ、前述の外国特許出願時におけるワンストップ・サービスなど、守備範囲の広さが大きな競争優位性に繋がっている。

今期を初年度とする第四次中期経営計画において、2021年3月期「ROE15%以上」を目標として掲げている。
2018年3月期のROEは17年3月期に比べ上昇した。関係会社清算益14百万円を特別利益に計上したこともあるが、売上高経常利益率も前期に比べ0.8ポイント改善しており、上記目標実現に向けた収益性向上の基盤作りは進んでいるようだ。

2019年3月期第2四半期決算概要
増収増益。売上、利益ともに予想を上回る。

売上高は前年同期比16.6%増の57億18百万円。主力の翻訳事業が堅調に推移したことに加え、17年11月に子会社化した(株)メディア総合研究所も増収に寄与。コンベンション事業も大幅増収。相対的に収益性の低いコンベンション事業の伸長、(株)メディア総研の連結により全体の粗利率は低下したが粗利額は同11.3%増加。販管費も増加したが、増収効果で吸収し、営業利益は同16.8%増の3億29百万円。売上、利益ともに予想を上回った。
連結の粗利率は低下したが、単体(翻訳事業)の粗利率は制作工程における生産性向上により上昇しており、機械翻訳の導入など各種戦略が着実に進んでいる。

①翻訳事業

増収増益

<医薬>

外資製薬会社からの受注が安定的に推移した。

<工業・ローカライゼーション>

情報通信関連企業との取引拡大に加え、(株)メディア総合研究所が寄与した。

<特許>

特許事務所からの受注が好調に推移した。

<金融・法務>

企業の管理系部署との取引が順調に推移した。

②派遣事業

増収増益
ITサービス関連企業、金融関連企業、医薬品関連企業からの求人が好調に推移した。

③通訳事業

増収増益
医薬品関連企業、金融関連企業などからの受注が順調に推移していることに加え、外資大手IT企業との取引を開始した。

④コンベンション事業

増収・営業損失
「第8回太平洋・島サミット」や「武器貿易条約第4回締約国会議」などの国際会議案件や「第29回日本心エコー図学会学術集会」などの医学会案件等の受託・運営は堅調だったが、実績作りで低採算での受託もあり減益。

⑤その他

増収減益
外国への特許出願に伴う明細書の作成や出願手続きを行う(株)外国出願支援サービスが好調に推移した。

売上債権の減少などで流動資産は前期末比82百万円の減少。(株)メディア総合研究所の子会社化による無形固定資産(のれん)の増加などで固定資産は同1億27百万円増加し、資産合計は同44百万円増加の57億85百万円。仕入債務の減少などで負債合計は同91百万円減少の17億9百万円。利益剰余金の増加などで純資産は同1億36百万円増加の40億75百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末の68.6%から70.4%へ1.8ポイント上昇した。

税金等調整前当期純利益の増加など営業CFのプラス幅は拡大した。
無形固定資産取得による支出の増加に伴い投資CFはマイナスに転じた。フリーCFはほぼ変わらず。
財務CFもほぼ変わらず。キャッシュポジションは低下した。

2019年3月期業績予想
業績予想に変更無し。増収増益、3期連続で過去最高更新へ

業績予想に変更は無い。売上高は前期比13.0%増の120億円を計画。全セグメントで増収の予想。(株)メディア総研がフル寄与する。主力の翻訳事業が2桁増収で粗利率も上昇。
営業利益は12.2%増の9億円の予想。(株)メディア総研のコストも加わり販管費は同25.3%増加するが吸収し、売上高、利益ともに3期連続して過去最高更新へ。
配当は前期比6円/株増配の35.00円/株の予定で、5年連続の増配。予想配当性向は19.6%。

①翻訳事業

AI・ICTなどの最先端技術を積極的に取り込み、翻訳制作の生産性向上、社内業務プロセスの効率化に取り組む。
また引き続き、医薬、工業・ローカライゼーション、特許、金融・法務の主要4分野における分野特化戦略を推し進め、専門性を強化し、シェア拡大を図る。

*医薬分野
主要ターゲットであるメガ・ファーマへの深耕を図り、開発関連文書の受注拡大を推進する。

*工業・ローカライゼーション分野
自動車、電機・機械、エネルギー、情報通信・ITの4つの専門領域を主軸とし、各種ツールやソフトウェアを積極活用して差別化を進める。

*特許分野
企業の知的財産関連部署の開拓と拡販を図る。

*金融・法務分野
企業の管理関連部署からの受注拡大を図り、顧客企業内におけるシェア向上を図る。

②派遣事業

企業内での多様な需要を満たす通訳者・翻訳者の確保を最優先に、製薬企業、情報通信関連企業、金融関連企業での業績拡大を目指す。

③通訳事業

製薬・金融・情報通信業界における売上拡大に加え、IR通訳業務のさらなる拡大を目指す。関西圏・中部圏における営業強化にも取り組む。

④コンベンション事業

官公庁や学会・財団が主催する国際会議や学術会議に積極的に対応するとともに、一般企業のイベントニーズ獲得も目指す。

⑤その他の事業

(株)外国出願支援サービスや(株)アイ・エス・エス・インスティテュートの特長を生かしたサービス展開を推進する。

第四次中期経営計画の進捗
(1)機械翻訳の戦略的活用

18年7月、同社が資本参加している(株)みらい翻訳に新たにNTTコミュニケーションズ(株)が資本参加した。
(株)みらい翻訳は極めて高度な機械翻訳技術をベースとしたAI搭載の機械翻訳エンジンを開発しており、国内有数の機械翻訳開発会社で、これまでに同社の他、(株)NTTドコモ、パナソニック(株)、シストラン(翻訳ソフトウェア業界最大手)が資本参加しているが今回新たに資本参加したNTTコミュニケーションズ(株)は国内大企業とのコネクションも強く、(株)みらい翻訳の機会翻訳エンジン販売に向け強力なパートナーが1社加わった。

(2)言語資産の活用:機械翻訳活用による生産性向上

同社では翻訳の品質と生産性向上のため翻訳工程における機械翻訳の導入に取り組んできたが、今回、医薬モデルの社内用機械翻訳エンジンが完成した。
日常会話を含めた汎用の機械翻訳に関しては世界的大手IT企業のエンジンが優れているが、専門用語の使用頻度の高い領域特化の場合、同社が持つ膨大な翻訳データを機械翻訳エンジンに再学習させると極めて精度の高い翻訳が行えるということで、今後は他分野モデルへの展開も進めていく。

(3)ソリューション提案力の強化:機械翻訳を活用したビジネスモデル

(株)みらい翻訳の機械翻訳エンジンを活用した新たなビジネスモデルの構築についての具体的な取り組みは以下のとおりである。

資本参加した(株)みらい翻訳の人工知能(AI)を用いた機械翻訳エンジン「Mirai Translater」を顧客企業に外販する。
機械翻訳エンジンの精度向上には豊富な翻訳データが不可欠だが、手間及びコスト面から自社のみでは翻訳データを収集することが難しい顧客に対し、同社の人手翻訳を利用してもらい、同社が機械翻訳で使用できるように翻訳データを加工・管理することで顧客専用の翻訳データの蓄積を支援する。
外販した機械翻訳エンジンに蓄積した顧客専用の翻訳データを学習させることで機械翻訳を最適化(カスタマイズ)し、翻訳精度を向上させる。
機械翻訳エンジンの成長に必要な翻訳データの蓄積を支援する同社の役割は顧客企業にとってなくてはならないものとなる。
この循環を構築し、顧客の関係性を一層強固なものとし、顧客内シェアの拡大を図る。
単に翻訳の成果物だけではなく、成果物を使った機械翻訳エンジンのカスタマイズという他社には真似のできない特徴を武器に翻訳業務の効率化を提案するコンサルティング企業への転換を目指す。

18年4月、社内に専属チームを設置し機械翻訳エンジン「Mirai Translater」の外販を開始した。

(4)経営基盤の整備:社内業務の効率化

業務プロセスの中でも制作管理(見積もり、受注、翻訳者選定、納品)を担うコーディネータの社内業務の自動化、効率化に向け、来期からの運用開始を見据えて社内システムの開発に着手した。

今後の注目点
スタートしたばかりの第四次中期経営計画だが、専属チームによる機械翻訳エンジン「Mirai Translator」の外販実績も出始めたということで、外販を起因とした人手翻訳の売上寄与までにはもう少し時間がかかるということだが、新たなビジネスモデルの構築に向けて確実に一歩を踏み出したと言えよう。
加えて、単体の粗利率向上に見られるように社内における機械翻訳活用による生産性向上も進んでおり、規模の拡大と収益性の向上に向けた進捗を引き続き注目していきたい。
通期予想に対する進捗率は売上高47.7%、営業利益で36.6%とややスローだが、前年同期と同程度でありもともと下期に利益が出やすい収益構造であるため予想達成は十分可能と会社側は考えている。
<参考1:今後の戦略~第四次中期経営計画~>
(1)第四次中期経営計画について

企業のグローバル展開が加速し、外国語ビジネスのニーズ拡大が見込まれる中、第三次中期経営計画の成果と課題を踏まえ、2019年3月期から2021年3月期までの3 ヵ年における中期経営計画を策定した。

第四次中計の中心となるのが「機械翻訳の活用」だ。
専門性の高い産業翻訳においては、「機械翻訳によるアウトプットの洗練度は低く、利用には値しない。」というのが従来の認識であったが、機械翻訳技術の進歩は目覚ましく、制作工程、顧客の内製化進展など、同社を含めた翻訳会社にとって大きな変化をもたらすことを見据えた上で、基本方針に掲げているように、ビジネスモデルの転換によってさらなる成長を目指すのが第四次中期経営計画のメインテーマである。

②重点施策の具体的な取り組み
◎ソリューション提案力の強化:機械翻訳を活用した新たなビジネスモデルの構築

企業のグローバル展開が加速する環境において、一段と顧客満足度の高いサービスを提供するため、専門特化サービスの集合体としての強み・価値を訴求しながら、各種ツール・ソフトウェアを活用した翻訳業務の効率化を提案する。

具体的な取り組みは以下のとおりである。

資本参加した(株)みらい翻訳の人工知能(AI)を用いた機械翻訳エンジンを顧客企業に外販。
手間及びコスト面から自社のみでは翻訳データを収集することが難しい顧客に対し、人手翻訳により機械翻訳の成長に必要な翻訳データの蓄積を支援。
外販した機械翻訳に翻訳データを学習させることで機械翻訳を最適化(カスタマイズ)し、翻訳精度を向上させる。
この循環を構築して顧客との関係性を一層強固なものとし、顧客内シェアの拡大を図る。

単に翻訳の成果物だけではなく、機械翻訳のカスタマイズという他社には真似のできない特徴を武器に、翻訳業務の効率化を提案するコンサルティング企業への転換を目指す。

◎言語資産の活用:機械翻訳活用による生産性向上

翻訳文の品質安定と生産効率の向上を図るため、翻訳支援ツールや機械翻訳を積極的に活用し、言語資産を効果的に運用する環境を整備する。以前より同社では翻訳工程の一部に翻訳支援ツールを取り入れてきたが、機械翻訳の精度が著しく向上するに伴い、機械翻訳エンジンの精度が高いとされる分野・文書において翻訳の精度および制作の作業効率が向上したという。こうした結果を受け、翻訳支援ツールや機械翻訳を積極的に導入し、品質と生産性の双方を向上させる。

◎経営基盤の整備:社内業務の効率化

ICTを活用しながら業務プロセスの標準化と自動化を推進し、引き続き社内業務の効率化に取り組む。
特に、業務プロセスの中でも制作管理を担うコーディネータの社内業務を自動化、効率化するシステムを導入する。また、ツール、ソフトウェアを効果的に活用するため、人材の育成と組織機構の最適化を図る。

③業績目標

上記3つの重点施策を着実に遂行し、更なる成長と収益性の改善を追求する。

<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2018年6月28日

<基本的な考え方>
当社ではコーポレート・ガバナンスの重要性を踏まえ、「コンプライアンス重視」を基本的な経営方針のひとつとして位置付けております。コンプライアンス体制を整備・確立するために、グループ企業行動規範を定め、コンプライアンス担当役員を長とした委員会を組織しております。これにより、社内のリスク管理体制の整備に努めるとともに、翻訳業界のリーディング・カンパニーに求められる社会的責任を果たしていきたいと考えております。
当社におけるコーポレート・ガバナンスについては、取締役会が経営方針等の最重要事項に関する意思決定機関および監督機関としての機能を担い、3名の社外監査役から成る監査役会が経営の透明性の向上および監視機関としての機能を担っております。また、取締役会の監督機能の一層の強化および適切な意思決定を図ることを目的として社外取締役1名を選任しております。

<実施状況>
JASDAQ上場企業として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をいずれも遵守している。

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