(6537:東証マザーズ) WASHハウス 計画下回るも今後の出店に期待
今回のポイント |
・18年12月期第2四半期の売上高は前年同期比6.9%減の13億42百万円。FC新規出店数は35店舗と前年同期を10店舗下回った。売上総利益も同9.7%減少。販管費は同横這いの4億60百万円にとどまったが吸収できず営業利益は14百万円の損失に転じた。FC出店数が計画を下回ったため、売上、利益ともに計画未達となった。
・通期業績予想に変更は無い。FC出店数が前年同期を下回ったため第2四半期累計で減収・損失となり、加えて、既存エリアの深耕拡大と新規エリアの開拓が十分に進んでいないため新規出店数は計画を13店舗下回ったが、同社の売上高及び利益は、第4四半期(10-12月)に集中する傾向があるため、現段階では、業績予想への影響はないと判断している。 ・同社コインランドリーの出店は例年第4四半期(10-12月)に集中するという季節的な傾向がある。これは、衣替えおよび年末年始の需要に合わせて出店することにより、新規店舗の早期立ち上がり・投資回収を図るFCオーナーおよび同社営業の意向が働くことに起因するもので、この結果、売上、利益とも第4四半期が他の四半期と比較して大幅に大きくなる。今期においてもこの傾向に変わりはなく11月および12月に出店が集中すると見込んでいる。第4四半期までを視野に入れつつ、引き続き今後の出店状況、中でも大量出店を計画している関東エリアの進捗を注目したい。児玉社長によればコインランドリーに対する関心が大きく高まる中でも、遊休地活用やサイドビジネスではなく、「売上の上がる場所への出店」、「本部とオーナーが共栄」といった独自のビジネスモデルを展開しているのは同社だけということだ。また一時話題となったコンビニエンスストア主導によるコインランドリー併設も実際はうまく稼働していないようだ。強固な競争優位性をベースに持続的な成長を追求する同社の事業展開を注視していきたい。 |
会社概要 |
コインランドリー業界のグローバルスタンダードの創造を目指し、FCを中心にコインランドリー店舗を展開。
全店舗一括管理運営方式によるクオリティ統一化という今までにない新たなFCビジネスの仕組みを創り出し、FC本部と加盟店の共栄を実現。ストック型の安定した収益構造なども大きな強み。 大阪、東京への進出を契機に全国展開を本格化へ。将来は海外展開も視野に入れている。 2018年6月末現在、1都1府16県に528店舗(FC500店舗、直営28店舗)を出店。 【1-1 沿革】 事業規模拡大のためにはFC展開が適しているが、FC本部と加盟店との対立というFCビジネスの問題点解決のために24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポートなどからなる「全店舗一括管理運営方式」をいち早く導入しFC加盟店の負担を大きく低減。働く女性の増加に伴うニーズの拡大も追い風となりビジネスは順調に成長していった。 創業の地、宮崎県を含む九州地区中心から、出店エリアを順次拡大し、2015年12月大阪、2016年7月には東京へも進出。 【1-2 経営理念など】 【1-3 市場環境】 ◎成長を支えるもの また、これら外部要因に加えて同社を始めとする事業者がユーザーの利便性を考慮した様々なサービスを提供していることも「利用者の拡大 → 店舗の増大」というサイクルに繋がっている。 ◎プレーヤー 【1-4 事業内容】 ① FC事業 FC加盟店開拓に関しては、テレフォンアポインターが取ったアポイント先に営業担当者が訪問するという分業制を採用している。この分業制により営業担当者は新規開拓電話の心理的負担から解放され、より積極的な営業活動に専念することができる。また、シミュレーション算出や契約書作成等の作業も営業担当から切り離し、「動く作業」に専念できる環境を提供している。 長年にわたり蓄積してきた「営業担当者の経験年数とFC店舗開発実績」の相関関係データを基に毎期の新規開店計画を立てている。 ② 店舗管理事業 同社は店舗の「安心・安全・清潔」を維持する為に、 FCオーナーは店舗管理業務から解放されるため、初期投資コストさえ負担できれば複数の店舗を保有し、収益拡大と共に地域分散による収益変動リスクを低減することが容易である。 ③ 直営事業その他 2.店舗展開 【1-5 特長と強み】 一般的なFC事業では、FC本部と加盟店の間に対立が生じやすいという問題が指摘されている。 これに対し同社では、「全店舗一括管理運営方式」を導入し、 これに加え、同社は月商100万円以上となる物件を基準としているため、地域の人口、年齢分布、収入状況などについてきめ細かい市場調査を実施し、優良物件を開拓するノウハウが蓄積されている。 ②明るく清潔な店舗。使いやすさにも配慮。 以前は「家事の手抜き」の一つにも数えられたコインランドリーの利用だが、女性就労率の増加や高層マンションの普及、ライフワークの変化などから、自宅の洗濯機よりも一度に大量にかつ洗濯・乾燥の時間を短縮できるコインランドリーへの関心が高まっており、特に健康志向の高まりのなかで、ダニやアレルギー対策として布団やじゅうたんなどの大物洗いの利用が注目されている。 こうしたなかで同社は、以下のような設備を備え消費者ニーズに対応している。 さらに全ての店舗において管理カメラで24時間店舗をモニターで管理しているほか、本社から遠隔操作でランドリー機器をコントロールできる IoT型ランドリー機器を導入するなど、無人店舗でありながら、有人店舗であるようなリアルタイムのサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用することのできる仕組みを構築している。 加えて、使用している洗剤の成分表示や乾燥機の温度表示を明示することで、安心して消費者が利用できるよう配慮しているほか、清潔な店舗を維持するため乾燥機のフィルター清掃や洗濯機の消毒など店舗の清掃を毎日行っている。 ③ストック型の安定した収益構造 同社のFC店舗数は2016年12月末で361店舗だったので、2017年12月期の店舗管理売上高は、2016年12月期以前からの継続店舗からの売上高(361店舗×13万円×12か月=563百万円)に、2017年12月期中に開店した新規店舗105店舗からの売上高(店舗ごと開店時期により売上高は異なる。)を合計したものとなる。 続いて、2018年12月期においては、2016年12月期以前からの継続店舗からの売上高563百万円に2017年12月期の新規店舗からの売上高(105店舗×13万円×12か月=164百万円)を加え、さらに2018年12月期中に開店した新規店舗133店舗(計画)からの売上高を合計したものとなる。 このように、店舗管理事業売上高は、その期以前からの継続店舗からの売上高をベースに、その期中の新規店舗からの売上高がオンされるという形で、期を追うごとに着実にストックが積み上がっていく。 ④業界健全化に向けた取り組み 例えば、コインランドリーは乾燥機で大量のガスを使用するため安全性の観点から排気ダクトの材質や取り付け方などが消防法や建築基準法などで詳細に規定されているが、実態は違法な設置が多く見られるという。 1950年に施行されたクリーニング業法は、国民の公衆衛生を保護する観点から下記の様な規定を設けている。 同法の趣旨や運用を要約すると意味するところは以下の通りとなる。 こうした法律があるにもかかわらず、保健所からの指導を逃れるために、店内にカウンターを設けて、その中に洗濯機を設置し、「この洗濯機で洗濯しています。」と説明しながらも、実際にはその洗濯機を使わず、カウンターから外に出てクリーニング所として届け出ていないコインランドリー機器でユーザーの洗濯物を預かって洗濯したり、手たたみサービスを行なったりしているケースも見られるという。 こうした状況に対し児玉社長は、コインランドリーの利用を普及促進させるためには、自社においては「安心・安全・清潔」なコインランドリー作り等に取り組むと共に、業界の健全化を進めることが不可欠と考え、一般社団法人全国コインランドリー管理業協会を2003年12月に設立した。 同協会は、法令等に準拠した設備と衛生管理についての運営基準を定め、現時点では同社の直営店及びFCオーナーの加盟店が店舗単位で加入しており、業界の健全化と一般消費者への啓蒙活動(コインランドリー利用の有用性告知など)を担っている。 |
2018年12月期第2四半期決算概要 |
![]() 減収減益 売上高は前年同期比6.9%減の13億42百万円。FC新規出店数は35店舗と前年同期を10店舗下回った。 売上総利益も同9.7%減少。販管費は同横這いの4億60百万円にとどまったが吸収できず営業利益は14百万円の損失に転じた。 FC出店数が計画を下回ったため、売上、利益ともに計画未達となった。 ① FC事業 ② 店舗管理事業 ③ 直営事業その他 現預金の減少等で流動資産は前期末に比べ4億64百万円減少。投資その他の資産の増加で固定資産は同93百万円増加。資産合計は同3億70百万円減少し36億68百万円となった。 フリーCFは前年同期とほぼ変わらず。キャッシュポジションは上昇した。 |
2018年12月期業績予想 |
![]() ![]() 業績予想に変更無し。2桁の増収増益予想 売上高は前期比18.9%増の40億11百万円の予想。前期に引き続き新エリアへの出店も含め全国展開を着実に進めていく。 (2)出店計画 (3)今後の事業展開 ②その他関連事業・周辺事業 (貸金業) (都市型店舗の開発など) |
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<参考:コーポレートガバナンスについて> |
![]() ◎コーポレートガバナンス報告書 最終更新日:2018年4月5日 <実施しない主な原則とその理由> |

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