(2477:東証マザーズ) 手間いらず 宿泊施設新設に伴う需要取り込む

2018/09/13

temairazu

今回のポイント
 
・18/6期は前期比20.8%の増収、同45.0%の営業増益。宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行っているアプリケーションサービス事業の売上が同23.5%増と伸びた。システムやWebサイトの開発及びメンテナンスコストやエンジニアの増員及び営業管理の強化に伴い人件費が増加したものの、広告宣伝費等の減少で営業費用全体では減少。営業利益率が10.3ポイント改善した。配当は、1株当たり4.5円増配の期末配当14.5円を予定している(配当性向20.3%)。

・19/6期予想は前期比17.6%の増収、同17.1%の営業増益。インバウンド需要の増加で引き続き良好な事業環境が見込まれる中、契約の積み上げ効果と新規開拓でアプリケーションサービス事業の売上が増加する見込み。開発及び営業体制強化のための人材投資に加え、営業管理、教育、更にはリスク管理等での体制整備もあり、営業費用が増加するものの、売上の増加で吸収する。1株当たり14.5円の期末配当を予定している(予想配当性向17.9%)。

・6月の訪日外国人客数が過去最高を更新した。上半期累計では1,589万9千人と前年同期比15.6%増加し、年間で3,000万人突破は確実な情勢。日本政府は2020年に訪日外国人旅行者4000万人を目指しており、2019年以降も増勢が続く見込みだ。加えて、ビジネス需要や旅行需要の高まりもあり、ホテル・宿泊施設の開発投資が活況を呈している。業界紙によると、国内では2020年末までに約7万~8万室の新規供給が見込まれていると言う。実際、同社の足元の事業拡大をけん引しているのは新設の宿泊施設であり、同社は着実に新設に伴う需要を取り込めているようだ。

 
会社概要
 
宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU(手間いらず)」シリーズの開発・提供を中心に、比較サイトの運営を行っている。宿泊予約サイトコントローラーとは、複数のオンライン予約サイトの在庫・料金等の情報を一括管理するシステム。宿泊施設の予約業務を効率化する事で、販売チャネルの拡大を可能にすると共に運用コストの低減を実現する。
 
【事業内容】
事業は、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行うアプリケーションサービス事業と、比較サイトの運営を通して広告収入を得るインターネットメディア事業に分かれ、18/6期はアプリケーションサービス事業が売上高全体の94.9%を占めた(営業利益ベースで97.2%)。
 
アプリケーションサービス事業
ホテルや旅館等の宿泊施設を顧客とし、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行っている。予約サイトコントローラーとは、複数のオンライン予約サイトの情報を一括管理するシステムで、販売チャネルの拡大による収益の向上と宿泊施設の予約業務の効率化(運用コストの削減)を図る事ができる。同社が提供する「TEMAIRAZU」シリーズは、複数の宿泊予約サイトを操作一つで簡単に管理でき、スピーディーかつ自動更新のためオーバーブッキングを抑止できる。また、ASP型サービスのため、インターネットが接続できれば場所を選ばず、面倒な設定をする事なく利用が可能だ。
 
複数の宿泊予約サイトも操作一つで簡単管理
在庫や料金の管理を一括で行い、面倒な管理業務から解放。宿泊予約サイト管理の業務フローの統一化が管理コストの削減につながる。
 
スピーディー&自動更新でオーバーブッキング抑止
予約情報の取得間隔が短いため、素早い在庫調整が可能。急な予約が入った場合でも、一括で各宿泊予約サイトの部屋を手仕舞う事ができる。
 
インターネット接続できる環境があればOK!
インターネット経由での使用のため、施設・本部等場所を問わず管理可能。専用サーバでの情報管理のため、故障等による急なPCの買い替えでも同じアカウントで利用できる。
自社宿泊予約システム、海外宿泊予約サイト、ホールセラー(法人向け卸売)のシステム等の各種Webサービス、PMS(予約から客室管理、請求までを処理する宿泊施設の基幹システム)、リアルエージェント(店舗展開する旅行会社)の予約システム、更にはCRS(航空会社系のコンピュータ予約システム)等、多様なチャネルからの集客機能の強化を目的にシステム連携を積極的に進めており、インバウンドの集客にも有効なシステムとなっている。
 
宿泊予約サイトコントローラーとは、複数のオンライン予約サイトの情報を一括管理するサービス。販売チャネルの拡大による収益の向上と宿泊施設の予約業務の効率化による運用コスト削減に寄与する。
(同社資料より)
 
2015年にブランドを「TEMAIRAZU」に改め、現在、「TEMAIRAZU」シリーズとして、インテリジェントな機能を搭載したシステムである「手間いらず.NET2」及び「TEMAIRAZU YIELD」をラインナップしている。「TEMAIRAZU YIELD」は、従来からの機能に加え、需要予測に基づく客室単価の値上・割引機能や販売先の制限等で収益の最大化に寄与するイールドマネジメント機能をフルに搭載しており、「手間いらず.NET2」は一部の最新機能を省く事で価格を抑えた。両システム共に、在庫・料金等の情報を一括管理する利便性だけでなく、稼働率と平均客室単価の向上が可能で、開発に当たって労働コストの削減もより意識された。月額の固定料金と利用件数に応じた従量制の料金体系をとっている。
 
インターネットメディア事業
比較サイト「比較.com」を中心とした広告媒体の運営を行っている。広告主のウェブサイトへユーザーを誘導し、成約件数に応じた手数料収入を得る「顧客誘導サービス」と保険や引越しの各種見積もり・資料請求等に応じた手数料収入を得る「情報配信サービス」のアフィリエイト広告を中心に、バナー、テキスト、記事コンテンツ等の広告業務を行っているが、広告に依存した事業構造から脱却するべく、事業構造の見直しを進めている。
 
【沿革】
 
2002年、オンライン宿泊予約サイトが出現して間もない頃、インストール型アプリケーション予約サイトコントローラー「手間いらず!」は誕生した。2010年6月に予約サイトコントローラーをASP化した事でAPI連携も可能になり使い勝手が劇的に向上。国内の宿泊予約サイトはもちろん、自社宿泊予約システムや海外宿泊予約サイト・ホールセラーとの連携が進んだ事に加え、PMSとの連携やリアルエージェントとの予約情報の連携もできるようになった。更に、CRSとの連携も可能となり、インバウンド集客にも有効なシステムとなった。
現場ニーズに応えるべく様々な機能追加や改善を行い、2015年に新生「TEMAIRAZU」としてリニューアル。2016年7月には、自動で料金調整やサイト掲載の手仕舞いを行うインテリジェント機能を搭載した「TEMAIRAZU YIELD」と搭載する新機能を絞り込む事で価格を抑えた「手間いらず.NET2」を発売。2017年10月、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZUシリーズ」の更なる認知度・ブランド力の向上と効果的な事業展開を図るべく、手間いらず株式会社に商号を変更した。
 
 
2018年6月期決算
 
 
前期比20.8%の増収、同45.0%の営業増益
売上高は前期比20.8%増の11億11百万円。事業の再構築を進めているインターネットメディア事業の売上が同13.9%減少したものの、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの開発・提供を行っているアプリケーションサービス事業の売上が同23.5%増と伸びた。

営業利益は同45.0%増の6億91百万円。システムやWebサイト開発に伴い外注費を中心に売上原価が増加したものの、売上の増加で吸収して売上総利益は10億14百万円と同21.4%増加した。一方、販管費は、開発・営業・管理の強化に伴う人員増で人件費が増加したものの、広告宣伝費等の減少で、3億23百万円と同9.9%減少した。

配当は、1株当たり4.5円増配の期末配当14.5円を予定している(配当性向20.3%)。
 
 
 
 
アプリケーションサービス事業
客室稼働率の向上(宿泊施設の販売機会増)を支援するべく、引き続きシステム連携(接続)に取り組んだ。キーワードは、「アジアからのインバウンド需要への対応」、「特徴ある予約サイト・サービスとの連携」、及び「小規模宿泊施設・民泊向けサービスとの連携」。

「アジアからのインバウンド需要への対応」では、アジアに強みを持つ日本ワールドエンタープライズ(JWE)株式会社(東京都豊島区)の海外旅行代理店向け宿泊予約システム、韓国ホールセラーHANATOURJAPANの宿泊予約システム「JAPANTOMARU」、日本の旅館に重点を置いた韓国の宿泊予約サイト「HOTELONSEN.com」、台湾の民泊仲介最大手「AsiaYo」等と連携を開始した。

「特徴ある予約サイト・サービスとの連携」では、熊本の宿泊施設に特化した「おるとくまもと」(株式会社くまもとDMC)、バス+宿泊のダイナミックパッケージ予約「LIMON」(神姫バスツアーズ株式会社)、宿泊施設向けAIとオペレーター双方によるコールセンター機能「triplaチャットボットサービス」(tripla株式会社)、更には商品の発注を担うシステム連携としてケーキの総合宅配サイト「cake.jp」(株式会社FLASHPARK)と接続した。

「小規模宿泊施設・民泊向けサービスとの連携」では、小規模施設向け宿泊管理システムへの対応として、株式会社アルメックス(東京都港区)の「innto」、株式会社タップ(東京都江東区)の「accommod」、株式会社SQUEEZE(東京都港区)の「suitebook」、民泊市場への対応として、民泊仲介世界最大手の「Airbnb」、台湾の民泊仲介最大手「AsiaYo」等の予約サイト、民泊対応ホテルシステム「mister suite」(株式会社SQUEEZE)、ホテル運営向け民泊導入サービス「m2m Hotels」(matsuri technologies株式会社)といった民泊向けサービスと接続した。

営業活動では、17/6期の大阪営業所開設に続き、九州・沖縄地区の営業拠点として福岡営業所を開設した。また、2018年2月に開催された国際ホテル・レストラン・ショーをはじめ、各地で行われた展示会への出展、セミナーやカンファレンスへの参加等、プロモーションを積極的に行い認知度の向上に取り組んだ。
 
 
※日本政府観光局の推計によると、6月の訪日外国人客数は前年同月比15.3%増の270万5千人。このうち、中国が前年同月比29.6%増の76万1千人、韓国が同6.5%増の60万6千人、台湾が同5.4%増の45万7千人、香港が同1.8%増の20万6千人、と東アジア市場が全体の75%を占めた。また、東南アジアも、タイ同42.2%増、マレーシア同21.5%増、インドネシア同46.4%増、ベトナム同34.9%増等、前年同月比で大幅に伸びた。
 
 
インターネットメディア事業
比較サイト「比較.com」においては、広告出稿の最適化、サービスの統廃合、更にはコンテンツの再構築等、構造改革を進め、前期比減収ながら、利益は増加した。
 
 
期末総資産は前期末と比べて4億82百万円増の30億87百万円。前期(2億88百万円)を大幅に上回る5億10百万円のフリーCFを確保した事と好決算を反映して、現預金と純資産が増加した。自己資本比率92.2%(前期末94.1%)。
 
 
ROE・ROAの推移
 
 
2019年6月期業績予想
 
 
前期比17.6%の増収、同17.1%の営業増益予想
売上高は前期比17.6%増の13億07百万円。基本性能部分の改修や機能の更なる充実、予約サイトやシステムなど連携先の増加による宿泊施設の販売機会の増加、更には営業体制の強化や積極的なプロモーションの効果もあり、アプリケーションサービス事業の売上が増加するものの、抜本的な事業構造の見直しを進めているインターネットメディア事業の売上が競争激化で減少する見込み。

営業利益は同17.1%増の8億10百万円。開発や営業体制強化のための人材投資に加え、営業管理、教育、更にはリスク管理等での体制整備もあり、営業費用が増加するものの、売上の増加で吸収する。セグメント別では、アプリケーションサービス事業の利益が同18.9%増の7億99百万円、インターネットメディア事業の利益が同46.7%減の10百万円。

配当は、1株当たり14.5円の期末配当を予定している(予想配当性向17.9%)。
 
(2)19/6期の施策
アプリケーションサービス事業において、「インバウンド需要への対応」、「プロモーション強化」、「営業体制強化」、及び「TEMAIRAZUの機能強化」に取り組むと共に、インターネットメディア事業において、サービスの統廃合やコンテンツの再構築等、比較サイト「比較.com」の事業構造改革を継続する。

「インバウンド需要への対応」では、宿泊施設の販売機会を増やすべく予約サイトやシステム等との連携を加速させる。「プロモーション強化」では、国内各地で開催される展示会への出展やセミナー・カンファレンスへの参加等を積極的に行い認知度の向上に努める。「営業体制強化」では、東京、大阪、福岡の各拠点において営業人員を増やし、活動地域を広めると共に地域に根差したきめ細かな営業活動を行い、新規契約及びバージョンアップの獲得につなげる。また、「TEMAIRAZUの機能強化」では、ユーザーの利便性向上を念頭に「TEMAIRAZU」の基本性能部分の改修や機能の更なる充実を図る。
 
 
今後の注目点
6月の訪日外国人客数が過去最高を更新した。上半期累計では1,589万9千人と前年同期比15.6%増加し、年間で3,000万人突破は確実な情勢(2017年は2,869万人)。日本政府は2020年に訪日外国人旅行者4000万人を目指しており、2019年以降も増勢が続く見込み。加えて、ビジネス需要や旅行需要の高まりもあり、ホテル・宿泊施設の開発投資が活況を呈している。業界紙によると、国内では20年末までに約7万~8万室の新規供給が見込まれていると言う。施設数の増加は、宿泊予約サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズの需要に反映され、施設数の増加による競争激化も「TEMAIRAZU」シリーズの需要につながる。実際、同社の足元の事業拡大をけん引しているのは新設の宿泊施設であり、同社は着実に新設に伴う需要を取り込めているようだ。東京五輪後を気にされる方もいるだろうが、仮に集客が難しくなれば、予約サイト等とワールドワイドにシステム連携している「TEMAIRAZU」シリーズの魅力が高まる。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書        更新日:2018年4月2日
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、企業価値を継続的に高めていくために不可欠な経営統治機能と位置づけており、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び充実に努めております。また、迅速かつ適切なディスクロージャー(情報開示)の実施と、意思決定における透明性及び公平性を確保することがバランスのとれた経営判断につながり、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させるうえで重要であると考えております。

当社におけるコーポレート・ガバナンスは、取締役会の適時適切な意思決定により、各取締役がその担当職務の執行を迅速に行える体制を整えております。また、当社は少人数小規模組織ではあるものの、社内規程や業務マニュアルを制定し、その規程等に従って業務活動を行っております。これらの経営上の意思決定や業務活動については、定期的な監査役監査および内部監査により内部統制を働かせております。

また、当社ではコーポレート・ガバナンスを経営統治機能と位置づけており、企業価値を継続的に高めていくための不可欠な機能であるとの認識に基づき、コーポレート・ガバナンス体制の強化および充実に努めております。また、株主に対する説明責任を果たすべく、迅速かつ適切な情報開示の実施と意思決定における透明性および公平性を確保した経営を行って参ります。さらに、健全な倫理観に基づくコンプライアンス体制を徹底し、株主、投資家および事業パートナーをはじめとするステークホルダー(利害関係者)の信頼を得て、事業展開を行って参ります。
 
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。
 

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