(6498:東証1部) キッツ 業績順調、11億円の営業増益に期待

2018/08/30

kitz

今回のポイント
・19/3期1Q(4-6月)は前年同期比11.8%の増収、同36.7%の営業増益となり、ほぼ計画に沿った着地。国内・アジアで伸びた半導体関連や国内建築設備向けを中心にバルブ事業が増収・増益をけん引した。
・上期及び通期の業績予想に変更はなく、通期で前期比6.0%の増収、同10.7%の営業増益予想。バルブ事業は売上高が過去最高を更新し、原材料費や物流費等の増加を吸収して収益性の改善も進む見込み。配当は2円増配の年19円を予定(上期末8円、期末11円)。
・通期予想に対する進捗率は、売上高24.8%(実績ベースの前年同期23.5%)、営業利益23.6%(同19.1%)、と順調。主力の国内建築設備向けは首都圏の再開発で需要が強い事に加え、折からの原材料高で理解が得やすい事もあり、改定価格が浸透しつつあるようだ。米中の貿易摩擦の影響や半導体製造装置向けのピークアウト懸念等、不安材料もあるが、通期で15億円程度の原価低減効果も見込まれるため、19/3期の利益計画の達成に不安は少ないと考える。
会社概要
バルブを中心とした流体制御機器の総合メーカー。バルブ事業では、国内トップ、世界でもトップ10に入る。バルブは、青銅、黄銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等、用途に応じて様々な素材が使われ、同社は素材からの一貫生産(鋳造から加工、組立、検査、梱包、出荷)を基本とする。国内外の子会社36社とグループを形成し、子会社を通して、バルブや水栓金具、ガス機器などの材料となる伸銅品の生産・販売(伸銅品でも国内上位のポジションにある)の他、ホテル事業等も手掛けている。【企業理念 -キッツは、創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指します-】「企業価値」とは「中長期的な株主価値」であり、「中長期的な株主価値」の向上には、顧客の信頼を得る事によって利益ある成長を持続していく必要がある、と言うのが同社の考え。そして、企業価値を向上させる事により、株主をはじめとして、顧客、社員、ビジネスパートナー、社会に対して様々な形で寄与し、豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えている。同社は、これらの思いを「キッツ宣言」に込め、更なる飛躍を目指している。

キッツ宣言
キッツは、
創造的かつ質の高い商品・サービスで
企業価値の持続的な向上を目指し、
ゆたかな社会づくりに貢献します。
KITZ’ Statement of Corporate MissionTo contribute to the global prosperity,KITZ is dedicated to continually enriching its corporate valueby offering originality and quality in all products and services.

行動指針(Action Guide)Do it KITZ Way・ Do it True(誠実・真実)・ Do it Now(スピード・タイムリー)・ Do it New(創造力・チャレンジ)Do it True人と人との関係で忘れてならないのが誠実に対応する心。また、表面的なものでなく物事の本質を追い求める心も必要。この基本を忘れる事なく企業活動を進めるための合言葉。Do it Now情報をいち早くキャッチし、迅速な意思決定と確実に実践していく躍動的な社員像を表現した言葉。Do it New変化に対応するために従来の発想から抜出して秘められた創造力を発揮し、新しい事にチャレンジする社員像を表現した言葉。【事業セグメントの概要】事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及びホテル・レストランの経営(ホテル事業)等のその他に分かれ、18/3期の売上構成比は、それぞれ78.8%、18.9%、2.3%。バルブ事業バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「流す」、「止める」、「流量を調整する」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は、鋳物からの一貫生産を特徴とし(日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得した)、住宅・ビル設備等の建築設備分野に使用され、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等の工業用ステンレス鋼製バルブと言った主力商品で高い国内シェアを有する。販売面では、国内は主要都市に展開する販売拠点ときめ細かい代理店網によって全国をカバーしており、海外は、インド、U.A.Eに駐在員事務所を置く他、中国、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、アメリカ、ブラジル、ドイツ、スペインに販売拠点を設置し、グローバルな販売ネットワークを構築している。生産では、国内工場の他、海外では中国、台湾、韓国、タイ、インド、ドイツ、スペイン、ブラジルに生産拠点を展開し、グローバルコスト及び最適地生産の実現に向けた生産ネットワークを構築している。伸銅品事業伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークス及び北東技研工業(株)の事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)及びその加工品を製造・販売している。その他子会社(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営(長野県諏訪市)が事業の中心。同ホテルは、諏訪湖畔の好立地を特徴とし、夕日に輝く展望風呂や大小の宴会場に加え、国際会議も開かれる大コンベンションホールを有する。

2019年3月期第1四半期決算
前年同期比11.8%の増収、同36.7%の営業増益売上高は前年同期比11.8%増の327億52百万円。バルブ事業が同12.1%増の257億75百万円、伸銅品事業が同11.4%増の62億90百万円、その他が同5.0%増の6億86百万円。計画との比較では、イランの大型プロジェクトへの納入の一部が第2四半期に変更されたためバルブ事業の売上高が計画をわずかに下回ったものの、銅価上昇による販売価格の上昇で伸銅品事業の売上高が計画を上回った。海外売上高比率28.0%(前年同期27.3%)。営業利益は同36.7%増の26億47百万円。銅市況変動の影響で伸銅品事業の利益が同21.1%減少したものの、収益性の改善でバルブ事業の営業利益が同30.1%増と伸びた。為替差損が増加したものの(△46百万円→△1億09百万円)、四半期純利益は17億12百万円と同68.4%増加した。バルブ事業国内売上高は前年同期比9.9%増の167億86百万円。主力の建築設備向けが、前期及び5月の価格改定効果もあり、同7%増加した他、半導体製造装置向けが同35%増と伸びた。工業用バルブも、定修案件の他、既存プラントの保守・更新を中心に同14%増加したが、自治体の予算消化の遅れで水市場向けが同6%減少した。海外売上高は同16.2%増の89億89百万円。地域別では、アジア向けが同15%増、前期に底打ちし回復傾向にある米州が同22%増、設備投資の低迷が続いている欧州・その他も同13%増加した。アジアでは、韓国・中国の半導体製造装置向けが好調を維持する中、イランの大型プロジェクトへの納入が始まり中東向けが同2.5倍に拡大。半導体を除く中国も前年同期並みを維持した。一方、欧州は増加したものの、総じて回復感は弱いようだ。営業利益は前年同期と比べて7億96百万円増加した。内訳は、売上増(10.7億円)、原価低減(2.0億円)、為替(0.7億円)が増益要因となる一方、銅・ニッケル・亜鉛・スクラップ等の原材料市況(△2.0億円)や韓国のバタフライバルブメーカーであるCephasPipelinesCorp.(以下、Cephas社)の子会社化等による費用増(△3.4億円)が減益要因となった。伸銅品事業販売量がわずかに減少したものの、売価に影響を与える原材料相場の上昇に伴い販売価格が上昇し、売上高は62億90百万円と前年同期比11.4%増加した。一方、営業利益は、期初における原材料相場変動の影響もあり(4月に入り銅価格が上昇したが、4月初旬の製品価格は3月までの銅価格下落を反映した価格が続いた)、1億27百万円と同21.1%減少した。その他ホテル事業における国内の団体宿泊客の取込みが進み売上高が6億86百万円と前年同期比5.0%増加し、営業損失が18百万円と24百万円減少した。外部売上高の大半をホテル事業が占めるため、同事業の繁忙期である第2四半期がポイントになる。第1四半期末の総資産は前期末と比べて8億07百万円増の1,343億53百万円。借方では、イランの大型プロジェクト向けの他、業績が好調なキッツエスシーティー、新工場建設を前に在庫投資を行ったキッツメタルワークスを中心にたな卸資産が増加した他、積極的な設備投資により有形固定資産が増加し、韓国Cephas社の子会社化や基幹システム更新投資により無形固定資産も増加した。貸方では、有利子負債が増加した。自己資本比率56.5%(前期末57.1%)。イランの大型プロジェクトの納期変更等によるたな卸資産の増加や税金費用の増加等で営業CFが9億58百万円のマイナスとなった。投資CFについては、韓国Cephas社の子会社化や基幹システム更新投資に加え、長坂工場の水素ステーション建設、子会社の設備投資等が要因。財務CFは、配当金の支払いや有利子負債の返済が要因である。(4)トピックス  「ACHEMA 2018」に出展2018年6月、3年に1度開催される世界最大のケミカル分野の総合展示会「ACHEMA(アヘマ:国際化学・環境保護・バイオテクノロジー展) 2018」に出展した。会場となった「メッセフランクフルト」には、欧州を中心に世界各国から約14万人が来場した。同社は、欧州のグループ会社(3社)と共同で出展し、ブースには、Perrrin GmbH(ドイツ)が開発・販売準備中の「超低温トップエントリーバルブ」の他、グループ各社の製品を「Oil&Gas、化学、石油精製・石油化学、クリーンエネルギー、汎用」の5つの分野のカテゴリーに分けて展示し、多彩な製品群とグループシナジーをPRした。
2019年3月期業績予想
前期比6.0%の増収、同10.7%の営業増益予想バルブ事業、伸銅品事業共に売上の増加を見込んでいる。バルブ事業は、国内での建築設備向けや半導体製造装置向けの好調に加え、海外での北米やアセアンの回復も見込まれ、売上高が過去最高を更新する見込み。利益面では、バルブ事業の収益性改善が進む見込み。一方、銅市況の影響を受ける伸銅品事業は慎重に見ている。設備投資は105億円を計画しており、減価償却費は50億円を織り込んだ。バルブ事業国内では、主力の建築設備向けが首都圏再開発関連の納入がピークを迎える(営業面では東京五輪需要の刈り取りにシフトしていく)。工業用バルブ市場は、既設プラントの保守・更新中心に堅調な推移が見込まれる。原材料の他、部品・副資材及び物流費用の高騰を踏まえて5月に価格改定を行っており、下期以降、価格改定効果が本格的に現れてくる見込み。半導体市場は受注に一服感はあるものの、引き続き好調が続くと見ている(現在、フル生産の状態)。海外は、欧州での苦戦が続くが、半導体製造装置向けを中心に中国・韓国の好調が続く他、米州やアセアンが回復傾向にある。韓国は買収したCephas社とのシナジーも追及していく。利益面では、減価償却費の増加、M&Aや海外子会社の設立に伴う経費増等が見込まれるが、売上の増加と原価低減で吸収して収益性の改善が進む見込み。伸銅品事業銅価格の前提は80万円/トン(前期銅建値平均価格76万円/トン)。需要については、黄銅棒の国内需要が前期より若干減少するとみているが、生産量を維持しシェアアップを図る考え。利益面では、総額53億円の大型設備投資に伴う減価償却費の増加や労務費の増加等で減益が見込まれる。生産性向上によるコストダウンと高付加価値品の拡販等で、どれだけカバーできるかがポイント。その他ホテル事業は、客室(10階・11階)のリニューアルによる顧客満足度向上、Web予約の受注強化、国内団体の受注強化等の施策による売上増と利益確保を見込んでいる。(4)自己株式の取得2018年7月30日開催の取締役会において、自己株式取得を決議した。自己株式の取得は、資本効率の向上及び経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の実施並びに株主への一層の利益還元を目的としている。

取得対象株式の種類 普通株式
取得し得る株式の総数 上限2,000,000 株(自己株式を除く発行済株式総数に対する割合 2.05%)
株式の取得価額の総額 2,000 百万円(上限)
取得期間 2018年8月6日~2018年12月20日

 

今後の注目点
通期予想に対する進捗率は、売上高24.8%(実績ベースの前年同期23.5%)、営業利益23.6%(同19.1%)、経常利益23.2%(同19.3%)、当期純利益24.1%(同15.6%)、と順調。主力の建築設備向けは首都圏の再開発で需要が強い事に加え、原材料高で理解が得やすい事もあり、改定価格が浸透しつつあるようだ。もちろん手放しで楽観はできない。同社は米国向けのバルブの一部を中国で製造しているため米中の貿易摩擦の行方は気になるところ。半導体製造装置向けも、これまでは装置メーカーの品不足に対する予防的な発注が含まれているようで、足元の受注には一服感もある。もっとも、19/3期は約15億円の原価低減効果も見込まれており、11億円弱の営業増益を見込む利益計画の達成に不安は少ないと考える。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2018年06月26日基本的な考え方当社は、創造的かつ質の高い商品・サービスの提供により持続的に企業価値の向上を図ることを企業理念に掲げ、社会的に責任ある企業として、株主の皆様を始め、全てのステークホルダーに配慮した経営の実現に努めることとしています。また、コーポレート・ガバナンスの基軸は、「コンプライアンス」と「企業統治」であることを認識し、様々な施策を講じて、「コンプライアンスの強化による経営の健全化」と「企業競争力強化促進による経営の効率化」を図ることとしています。<実施しない原則とその理由>当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則をすべて実施しています。<開示している主な原則>8.株主との建設的な対話に関する方針(原則5-1) 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには、経営の受託者としての説明責任を自覚し、株主・投資家等のステークホルダーに対し、適時・適切な情報開示を行い、経営の公正と透明性を維持することが重要であると認識しています。 また、必要とされる情報を継続的に提供するとともに、外部者の視点による意見や要望を経営改善に活用するためのIR活動が重要であると考えています。そのため、当社は、経営戦略や経営計画に対する株主の理解を得られるよう、株主との建設的な対話を推進するため、代表取締役やIR担当執行役員を中心とするIR体制を整備し、以下の施策を実施しています。1)当社は、IR担当執行役員を選任しています。 株主からの面談申し込みがあった場合は、原則としてIR部門長が対応していますが、面談の趣旨及び所有株式数などに応じて、代表取締役またはIR担当執行役員が対応することとしています。2)当社は、IR担当執行役員を中心に、必要に応じて、IR部門、経営企画部門、経理部門、総務人事部門及び法務部門等による会議を開催するなど、有機的な連携を図っています。3)当社は、機関投資家及びアナリストを対象とし、四半期毎に決算説明会を実施しています。また、毎年計画的に個人投資家への会社説明会を開催しています。なお、これらの会社説明会においては、代表取締役またはIR担当執行役員が説明を行っています。さらに、決算短信及び有価証券報告書等の決算情報のほか、経営情報、株式・株主総会の情報及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書等のIR情報を当社ホームページに掲載し、情報開示を行っています。4)当社は、機関投資家・アナリストとの対話において把握された意見をIR部門から代表取締役及びIR担当執行役員に定期的に報告し、必要に応じて、代表取締役がその内容を取締役会及び経営会議に報告することとしています。5)当社は、経理担当執行役員を情報取扱責任者としており、機関投資家・アナリストとの対話に際して開示する情報の内容について、事前に経理担当執行役員、IR部門及び経営企画部門が協議するなど、インサイダー情報の管理に留意しています。6)当社は、毎年③月末及び9月末時点における株主名簿から、実質株主の状況調査を実施し、IR活動に活用しています。7)当社は、長期経営計画及び中期経営計画を策定し、売上高、営業利益、経常利益、海外売上高比率、有利子負債残高、自己資本比率及び自己資本当期純利益率(ROE)等の目標値を当社ホームページ等で開示するとともに、決算説明会等を通じ、目標達成に向けた具体的な施策を説明しています。 また、中期経営計画は、業績、社会情勢及び経済情勢等を踏まえ、適宜見直しを行っており、変更が生じた際は、変更の背景や内容について、株主総会や決算説明会等で説明を行っています。
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