(8912:東証2部) エリアクエスト 成長を牽引するサブリース事業

2018/08/23

AreaQuest

今回のポイント
・18/6期は前期比14.2%の増収、同1.3%の営業増益。順調な顧客獲得を背景にサブリース事業の売上が増加する中、販売用不動産の売却が売上を押し上げたが、想定を上回る株主の増加で株主優待関連費用がかさみ利益を圧迫した。2017年12月末に5,536人だった株主数が2018年6月末には37,871人(当初見込み1万人)に増加したと言う。株主優待は18/6期末の対象株主への贈呈をもって終了する。今後の利益還元については、剰余金の配当を優先して実施していく考え。

・19/6期予想は前期比0.9%の増収、同16.0%の経常減益。販売用不動産の売却収入が減少するものの、契約の積み上げ効果によるサブリース事業の売上増で吸収する。ただ、営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善による販管費の増加が負担になる。配当は2円増配の年4円(上期末2円、期末2円)を予定している。

・清原社長は、以前から中期の展望を語る中で19/6期の減益見通しに言及していた。今回、その通りの発表がなされたが、「減益にしないぞ!」と言う清原社長の思いを秘めた業績予想である。販売用不動産の売却収入が織り込まれていないか、織り込まれていても極めて保守的と思われる。ある程度の残高を確保しているため、不動産市況が大きく崩れない限り、上振れ要因となると思われる。2%台半ばの魅力的な配当利回りにも注目したい。

会社概要
東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の駅前店舗を対象にしたサブリースやビル管理・メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)を中心に契約更新・契約管理(売買仲介を含む)等も手掛ける「ストック収入型ビジネス」と、テナント誘致等の「成功報酬型ビジネス」を展開。グループは、グループマネジメントが中心の同社の他、テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、ビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社。「エリアクエスト」と言う社名には、「地域に根差して(エリア)、不動産の価値を追求する(クエスト)」と言う思いが込められている。【代表者プロフィールと会社沿革】代表取締役社長を務める清原雅人氏は1967年2月2日生の50歳。予備校までを熊本で過ごし、一浪して明治大学法学部に入学。卒業後は野村證券に入社。大阪で4年、名古屋で3年、営業の腕を磨いた。1998年4月に友人と起業し、2000年1月に独立してエリアリンク(株)を設立(2001年3月に社名を(株)エリアクエストに変更)。2003年2月に(株)エリアクエストを東証マザーズに上場させ、2014年11月に本則市場(東証2部)での上場を果たした。現在、(株)エリアクエスト、(株)エリアクエスト店舗&オフィス、及び(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの代表取締役社長を務める。会社設立から上場後数年間はテナント誘致で業績を拡大させたが、需要一巡とリーマン・ショックによる景気悪化が重なり06/6期から4期連続の最終赤字。「業績の立て直しには、謙虚にビルオーナー等との信頼関係構築に取り組む事が必要」との認識の下、日常的に発生する設備の不具合・老朽化によるトラブルやテナント管理の問題への対応等、迅速かつ丁寧なアフターフォローに力を入れた。この取り組みが成果を上げ、管理物件やサブリース物件が増加し17/6期で6期連続の増収・増益。【特徴・強み 1都3県の駅前商業地においてテナント誘致に強いビル管理サービスを提供】

特徴1 ビル管理事業(サブリースを含む) 清掃業務は「顧客満足度No.1」を自負
特徴2 更新及び契約管理事業
(売買仲介を含む)
トラブルの未然防止と、トラブルが起きてしまった場合の迅速対応
特徴3 テナント誘致事業 ビル管理事業とのシナジー

ビル管理事業や更新及び契約管理事業は2003年3月に100%子会社化した(株)日本総合ビルメンテナンスがベースになっているが、ビル管理事業では、清掃を中心にした日常対応に留まらず、水回り、電気、空調、ガス、エレベーターといった設備面での臨時対応をこなし(問題が発生すれば、いち早く駆けつけて対応)、更新及び契約管理事業では、更新及び契約管理に加え、消防法上問題となる共用部分の不正使用といったビルオーナー等の貸主共通の悩み事にも対応する等、同社ならではのサービスが加えられている。一方、テナント誘致は同社にとって祖業であり、会社設立から3年1カ月でマザーズ上場を果たす原動力となった。独自に分類した63業種・約3,000社の店舗テナントをデータベース化し、このデータベースに基づき営業活動が行われている。また、物件毎に、ビル管理事業、更新及び契約管理事業、及びテナント誘致事業の各事業部門から担当者が選出され、各担当者は担当業務をこなすと共に、チームを組んでテナント誘致に取り組んでいる。【成長をけん引するサブリース事業】12/6期以降、サブリースに力を入れている。サブリースは空室で賃料収入がなくても、賃料をビルオーナー等に払わなければならないが、テナント誘致での強みを活かす事ができ、もとより、人の流れの多い1都3県の駅前商業地に物件を絞り込む事でリスク低減を図っている。また、サブリース物件の開拓に当たっては、地域特性や立地に応じて物件の用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりするリノベーションの提案も行っている。もともと同社がサブリースする物件は築年数が古い物件が多いため、リフォームはもとより、水回り、電気、空調、ガス等、躯体以外の設備の修繕が必要な物件が少なくない(物件によっては鉄骨を入れ床の補強を行った事もあった)。こうした費用は同社が負担するため、ビルオーナーは自ら負担する事なく、資産価値を高めると共に安定収益を享受できる。一方、同社は先行投資負担を織り込んだ収益性を試算した上で提案を行っているため、テナントが埋まれば先行投資を吸収して確実に利益を上げる事ができる。広告宣伝にもサブリース物件を活用オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件への広告看板設置を進めており、2018年1月21日現在、98箇所。同社の認知度の向上に寄与し、看板効果で問い合わせも増えている。広告看板は1箇所20万円程度の設置費用は必要だが、オーナーの同意を得てサブリース物件を含めた同社の管理物件に無料で設置させてもらっている。景気動向によっては店舗出店意欲の低下等が予想されるものの、サブリース収入等のストック収入を中心とした同社グループの利益に与える影響は少ない。19/6期は、販売用不動産の売却で17/6期及び18/6期と売上が押し上げられた反動で売上の伸びが鈍化するがサブリースの増加で吸収する。利益面では、17/6期に着手した営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善に向けた取り組みが本格化する。売上が前期比微増収にとどまる中で、販管費が増加するため減益となるが、販売用不動産の売却収益を除くベースでは増益基調を維持する。20/6期には前期比増収・増益に転じ、販売用不動産の売却収益が寄与した18/6期の利益水準を確保できる見込み。

2018年6月期決算
前期比14.2%の増収、同3.9%の経常増益売上高は26億75百万円と前期比14.2%増加し修正予想を上回った。成功報酬型ビジネスの仲介関連事業が伸び悩んだものの、ストック収入型ビジネスであるサブリース事業の新規獲得が順調に推移する中、5億円程度の販売用不動産の売却が売上を押し上げた。営業利益は同1.3%増の4億26百万円。売上構成の変化による売上総利益率の低下を売上の増加で吸収して売上総利益が9億23百万円と同10.2%増加したものの、株主の急増で株主優待関連費用(51百万円を広告宣伝費として計上)が想定以上にかさみ利益を圧迫した。2017年12月末に5,536人だった株主数が2018年6月末には37,871人(当初見込み1万人)に増加したと言う。社債発行費の計上がなくなった事で営業外損益が改善した事に加え、税効果会計の影響もあり、当期純利益は2億68百万円と同5.2%増加した。1株当たり1円の期末配当を予定しており、上期末配当1円と合わせて年2円となる(配当性向16.7%)。株主優待は18/6期末の対象株主への贈呈をもって終了する。今後の利益還元については剰余金の配当を優先して実施していく考え。期末総資産は前期末と比べて2億40百万円増の34億67百万円。借方では、現預金や余資運用の投資有価証券が増加する一方、土地を中心に有形固定資産が減少した。貸方では、長期預り保証金や純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。自己資本比率15.9%(前期末18.0%)。*ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
2019年6月期業績予想
前期比0.9%の増収、同16.0%の経常減益売上高は前期比0.9%増の27億円。販売用不動産の売却収入が減少するものの、契約の積み上げ効果によるサブリース事業の売上増で吸収する。営業利益は同15.5%減の3億60百万円。利益率が高い販売用不動産の売却収入が減少する中、営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善で販管費が増加する。配当は、1株当たり上期末2円、期末2円年4円を予定しており、年2円の増配となる(予想配当性向42.9%)。
今後の注目点
清原社長は、以前から中期の展望を語る中で19/6期の減益見通しに言及していた。要因は、既に説明した通り、販売用不動産の売却がなくなる中での、営業部門や管理部門の強化(人員増強)と社員の処遇改善による販管費の増加である。今回、その通りの業績予想が発表されたが、「減益にしないぞ!」と言う清原社長の思いを秘めた業績予想である。業績予想は、販売用不動産の売却収入が織り込まれていないが、織り込まれているにしても、極めて保守的と思われる。しかし、ある程度の残高を確保しているため、売却収入は減少するかもしれないが、業績の上振れ要因になると思われる。景気動向によっては店舗出店意欲の低下等が予想されるものの、サブリース収入等のストック収入を中心とした同社グループの利益に与える影響は少ない。株主優待を廃止するが、株主数が少なければ緊急避難的措置として止むを得ないが、十分な株主数を確保できたのであれば、株主平等の原則から考えて自然な流れ。しかも、同社の場合、販管費の1割以上の増加要因(営業減益要因)になっており、短期間での制度変更に対する批判もあるだろうが、短期間での株主数の急増(6カ月間に5,536人から37,871人へ増加)に対する機動的な対応を評価したい。配当を年4円に増配して、株主に報いていく考えだ(2円の増配コストは、ほぼ株主優待関連費用に相当する)。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2017年11月17日基本的な考え方当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、その重点を株主利益向上に置き、コーポレート・ガバナンスの充実を図ることが重要な課題と認識しております。その一環といたしまして、意思決定の迅速化、経営の透明化等を意識しコンプライアンスの徹底等が機能する体制の構築に取り組んでまいります。<実施しない主な原則とその理由>【補充原則4-10-1】(独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合の諮問委員会の設置等の対応)当社は、独立社外取締役が取締役会の過半数に達しておりませんが、社外取締役による問題提起を含め建設的な議論・意見交換を尊ぶ気風の醸成を行っております。したがって、取締役会は、取締役の指名・報酬などの特に重要な事項の検討や決定に関して、その機能の独立性・客観性の確保及び説明責任は果たすことができる構成となっていると認識しております。<開示している主な原則>【原則1-4】(いわゆる政策保有株式)当社は、いわゆる政策保有株式については、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としており、現時点では、政策保有株式を保有しておりません。しかしながら、今後、事業戦略上の重要性等を目的として保有する場合があります。その場合は、毎年、取締役会で中長期的な経済合理性や将来の見通しを検討し、企業価値向上の効果等が乏しいと判断される銘柄については、売却を行ってまいります。議決権行使にあたっては、投資先企業の中長期的な企業価値、株主価値の向上につながる観点等から検討し、総合的に判断した上で適切に行使します。【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)当社は、持続的な成長と中長期的案企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的且つ建設的な対話が重要であると考え以下の体制の整備及び取り組みを行っております。・定時株主総会において、総会終了後に「株主懇親会」を開催し、株主から株主総会議案以外の質問も受け付け、代表取締役社長が適宜、回答するように努めている。・管理部を株主と対話する事務局とし、管轄する取締役を開示責任者とし、各部署連携に努め、迅速且つ的確な対応に尽力する。・代表取締役社長が説明を行うIR説明会を年2回以上開催し、中期事業計画も含め説明を行い、当社ホームページにおいて開示する。・重要な株主の意見等については毎月開催される取締役会へ報告を行い、取締役及び監査役との情報共有を図る。・株主及び投資家との対話にあたってはインサイダー情報を伝達しないことを方針とし、IR担当部署が適宜確認し、直接対話する者に対して指導を行う。
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