(5162:JASDAQ) 朝日ラバー 医療・衛生用ゴム事業の回復に注目

2018/08/23

asahirubber

今回のポイント
・19/3期第1四半期は前年同期比8.8%の増収、同17.6%の経常増益。ASA COLOR LED、自動車用精密ゴム製品、RFIDタグ用ゴム製品などの受注が好調に推移した工業用ゴム事業において、売上高とセグメント利益が増加した。一方、新旧製品の入れ替えの影響が残り、医療・衛生用ゴム事業は、売上高とセグメント利益が減少した。・19/3期の会社計画は、前期比3.4%の増収、同6.4%の経常増益の期初予想から修正なし。売上面では、前期大幅に増加した車載・照明製品の受注は横ばいを計画しているもののRFIDタグ用ゴム製品等の受注が大幅に増加する見込み。利益面では、生産場所移管完了と製造部門の効率化推進で利益率が改善する計画。1株当たり配当も、17/3期から4円増配となった18/3期と同額(上期末10円、期末10円)の20円の期初予想を据え置き。

・工業用ゴム事業の拡大が続く一方で、医療・衛生用ゴム事業では、前連結会計年度に行われた採血用・薬液混注用ゴム栓の新旧製品の入れ替えによる影響が残り、売上高の減少が継続している。こうした中、新たに投入した製品の受注が好調に推移するなど徐々に回復傾向が強まってきている。採血用・薬液混注用ゴム栓の新製品の市場への普及が進行し、どの時期から医療・衛生用ゴム事業が増収増益基調に転じてくるのか注目される。

会社概要
小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や明るさを調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社ARI INTERNATIONAL CORP.、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、10年7月に設立した工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び12年1月に設立した工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。 【事業内容と主要製品】事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」やLED照明・各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、18/3期の売上構成比は、それぞれ84.5%、15.5%。 今後は、RFIDタグ向け新製品、マイクロTAS製品などの新製品の販売拡大が期待される。・ASA COLOR LEDASA COLOR LEDとは、LEDの光と色のばらつきを解消する商品。青色LEDに蛍光体を配合したシリコーン製キャップを被せることで、自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。ASA COLOR LED・医療用ゴム製品点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用さる。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。プレフィルドシリンンジ向けガスケットのイメージ・RFIDタグ用ゴム製品RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のIC タグを提供。RFIDタグ用ゴム製品イメージ【コア技術と事業領域】オープンイノベーションで事業領域深耕につながる研究を加速する・色と光のコントロール技術シリコーンゴムに着色剤や蛍光体を配合し、様々な色と光を出すことのできる色調管理技術を有し、ばらつきを調整し、顧客が望む細かい色調を実現。また、透明なシリコーン樹脂を材料とし、耐熱性、対紫外線性に優れ、集光・拡散といったレンズ機能を実現。ASA COLOR LEDなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、自動車内装、照明分野とコア技術を応用したスイッチ分野の拡大を図る方針。・表面改質及びマイクロ加工技術接着剤を使わずに、ゴムとゴムや金属、樹脂を接着させる分子接着・接合技術を有する。接着させる表面を改質処理し、化学反応で結合。これにより、有害な溶剤の廃棄処理が不要となり、耐熱性、耐水性もクリア。耐水性、耐候性に優れており、RFIDタグ用ゴム製品やマイクロ流体デバイスでこの技術が生かされている。また、数十ミクロンから数ミクロン単位の表面加工を行うマイクロ加工技術を確立。医療用ゴム製品である薬液混注ゴム栓の薬液注入口の形成と薬液漏れの防止や、充電して使用できる二次電池の内圧管理にもこのマイクロ加工技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、高性能製品や新たな分野を開拓する方針。・素材変性技術ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができる。更に、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることも可能。卓球ラケット用ラバーなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、医療分野を支える製品を提供する方針。
中期経営計画
同社は、中期経営計画を策定するにあたり、中期三カ年を二回分の6年後、2020年を見据え、ビジョン(目指す姿)を「AR-2020 VISION」として定めている。後半の2017年4月から2020年3月までの二期目の三ヵ年計画を「V-2計画」とし、存在する市場に対して“魅力ある提案“をするために、素材力とサービスを磨き鍛え、多くの安心した製品を安定的に届けるためコア技術を磨いて育てていく方針。AR-2020VISION・技術革新を基盤に、新しい価値を創造し続ける企業になる。・現在の仕事に慢心せず、常に変革を求め、経営環境の変化に応じ継続的に磨きをかける。・人財こそが、事業運営の要とし、人材の育成を行う。このビジョンの実現に向けて、最初のステージである15/3期~17/3期の中期経営計画(V-1計画)を作成。中期経営方針として、①既存事業の質・量の持続的成長、②新市場・新分野への事業展開、③2020年に向けた事業基盤の強化と整備と定め、最終年度である17/3期に数値目標である、売上高80億円、営業利益8億円の達成を目指す内容としていた。しかし、同社は、ライフサイエンス分野のマイクロ流体デバイス製品について、最終年度の連結売上高目標を12.5 億円としていたものの売上比率を高く設定していた主力案件の受注が大幅に少なくなる見込みとなったことや、他の開発案件の量産開始も遅れる見込みとなったことにより、2016年2月23日に第11次中期経営計画(V-1計画)の見直しを発表した。V-1計画(第12次三ヵ年中期経営計画)の策定同社は、2018年3月期を初年度とする三ヵ年の「V-2計画(第12次三カ年中期経営計画)」(2017年4月~2020年3月)を策定した。 中期経営方針 として「AR-2020VISIONに通ずる質的成長を求めて広く社会に貢献する」を掲げ、中期経営戦略 として、①ゴム技術・コア技術・製品力を成長させる、②経営基盤を磨き成長を加速すると定め、最終年度である20/3期に数値目標である、連結売上高70~80億円、連結営業利益率8%以上を目指す。先行きの不確定要因を考慮し、売上高目標は範囲を持って設定、質的成長を目指すため利益指標は率の成長を着実に目指す方針。また、最終年度目標は環境の変化などを考慮し、随時見直しをかける方針。(1)事業分野の再編従来、自動車、医療、ライフサイエンス、その他の4事業分野であったものを、車載・照明、医療・ライフサイエンス、その他の3事業分野へ変更する。これは、①照明全般に視点を広げて市場を見出し、新たな付加価値で市場創造を図る、②医療事業とライフサイエンス事業を融合することで、医療機器分野・診断医療分野などに対する経験を生かして、事業に対する総合力を強化する、③ゴム技術を生かした機構部品を創造することを目指すものである。(2)事業分野別の戦略車載・照明(主要製品:ASA COLOR LED、透明部材、反射材料)17/3期の連結売上高実績27.4億円に対し、20/3期の売上高は30~35億円を計画。当社のコア技術のひとつである色と光のコントロール技術を駆使したASA COLOR LEDなど、他社に真似のできない独自製品で市場と顧客の要望に応えることに加え、培った技術を照明全般に視点を広げて市場を見出していく。 医療、ライフサイエンス(主要製品:採血用・薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット、マイクロ流体デバイス)17/3期の連結売上高実績12億円に対し、20/3期の売上高は13~15億円を計画。医療現場での衛生管理や医療事故の防止などに役立つディスポーザブルのゴム製品と診断医療や解析分野に貢献するマイクロ流体デバイスの開発を進める。 その他(主要製品:RFIDタグ用ゴム製品、自動車向けスイッチ用ラバー、卓球ラケット用ラバー)17/3期の連結売上高実績25.7億円に対し、20/3期の売上高は27~30億円を計画。ゴムの可能性を追求し、独自のコア技術と複合化させたこれまでにない付加価値を持つ機構製品を提供する。その他、経営基盤を磨き成長を加速するために、拠点地域をつなぐ製品企画と連結販売を行う体制を構築する他、健康経営を軸に経営基盤を整備する
2019年3月期第1四半期決算
前年同期比8.8%の増収、同17.6%の経常増益売上高は、前年同期比8.8%増の19億73百万円。売上面では、工業用ゴム事業の売上高が同13.4%増加。自動車内装照明向けのシリコーンゴムキャップ付きLED「ASA COLOR LED」の受注が海外市場向けに好調に推移した他、自動車用精密ゴム製品の受注も堅調に推移した。加えて、認証・認識ビジネスに対応するRFIDタグ用ゴム製品の受注も好調に推移した。一方、医療・衛生用ゴム事業の売上高は同13.0%の減少となった。採血用・薬液混注用ゴム栓は、前連結会計年度に行われた新旧製品の入れ替えによる影響で売上高が減少しているものの、新たに投入した製品の受注が好調に推移するなど回復感がでている。営業利益は、前年同期比14.7%増の1億66百万円。好調な売上高を反映し工業用ゴム事業のセグメント利益は、同45.1%の増益となった一方、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は売上の減少と製品構成等の変化により同47.2%減少した。売上高営業利益率は、8.6%と同0.5ポイント上昇。前期に実施した生産場所の移管完了と製造部門の効率化推進が寄与し、売上総利益率は、26.3%と同0.2.ポイント上昇。原価低減活動の継続等により売上高対販管費率も同0.3ポイント低下した。経常利益は、前年同期比17.6%増の1億79百万円。営業外収益で為替差益5百万円(前期は195千円)を計上したことなどから経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。その他、特別利益で補助金収入7百万円を計上したものの、特別損失で固定資産圧縮損7百万円を計上した。19/3期第1四半期(4-6月)は、前四半期(1-3月)と比較し売上高が若干下回ったものの、過去の四半期と比較し売上高と営業利益ともに高水準となった。※15/3Qと4Qは、取締役2名逝去による役員退職慰労引当金繰入額等の特殊要因が影響。国内売上は前年同期比13.8%増加、海外売上はアジアの減少が影響し同10.8%減少した。18年6月末の総資産は18年3月末比45百万円減の104億63百万円。長期借入金の返済と未払法人税等の支払いにより現預金が減少したことが主な減少要因となった。18年6月末の自己資本比率は、41.6%と前期末から0.4ポイント高まった。19/3期第1四半期連結累計期間の営業利益は、上期(第2四半期連結累計期間)の会社計画に対して、50%前後の進捗率となっており、会社計画の達成に向けて順調に推移している。
2019年3月期業績予想
前期比3.4%の増収、同6.4%の経常増益予想第1四半期を終え、19/3期の会社計画は、前期比3.4%の増収の77億89百万円、同6.4%の経常増益の6億27百万円から修正なし。売上面では、採血用・薬液混注用ゴム栓の機種変更の影響による医療・衛生用ゴム事業の減少を、RFIDタグ用ゴム製品の受注増加による工業用ゴム事業の拡大でカバーし過去最高を更新する見込み。利益面でも、売上増加による利益増加により過去最高を更新する計画。また、前期に実施した生産場所の移管完了と製造部門の効率化推進が寄与し利益率が改善する。売上総利益率は、前期比0.8ポイント上昇の26.6%、売上高対販管費率は、同0.2ポイント上昇の18.5%の会社前提。この結果、営業利益は、前期比12.6%増益の6億32百万円となる計画。売上高営業利益率は、前期比0.7ポイント上昇の8.1%の予想と1年前倒しで中期経営計画である営業利益率目標8.0%を達成する見込み。1株当たり配当も、17/3期から4円増配となった18/3期と同額(上期末10円、期末10円)の20円の予定を据え置き。車載・照明分野では、車載・照明製品の受注は横ばいとなるも蛍光体応用製品の受注が増加する見込み。医療・ライフサイエンス分野では、採血用・薬液混注用ゴム栓が機種変更の影響で減少する予想。一方、その他分野では、RFIDタグ用ゴム製品の受注が増加する計画となっている。今期の設備投資計画6億70百万円の事業分野別内訳は、車載・照明分野2億02百万円、医療・ライフサイエンス分野68百万円、その他分野3億18百万円、研究開発費等83百万円。受注が好調なASA COLOR LEDの増産対応投資を実施する他、R&D子会社の朝日FR研究所でも開発投資を計画。また、法人別では、同社5億円72百万円、東莞朝日精密橡膠制品83百万円、朝日FR研究所17百万円等が大きなもの。第12次三ヵ年中期経営計画(V-2計画)どおり、同社グループ各社において弾性無限への挑戦を推進し、ゴム技術・コア技術・製品力の成長に投資する。
今後の注目点
第1四半期決算において、工業用ゴム事業の売上高が順調に拡大していることが確認された。主力の自動車内装照明向けのシリコーンゴムキャップ付きLED「ASA COLOR LED」に加え、自動車用精密ゴム製品の受注も堅調に推移した他、認証・認識ビジネスに対応するRFIDタグ用ゴム製品の受注も好調に推移した。一方で、医療・衛生用ゴム事業は、前連結会計年度に行われた採血用・薬液混注用ゴム栓の新旧製品の入れ替えによる影響が残り、売上高の減少が継続している。こうした中、採血用・薬液混注用ゴム栓は新たに投入した製品の受注が好調に推移するなど徐々に回復感が出てきている。採血用・薬液混注用ゴム栓の新製品の市場への普及が進行し、どの時期から医療・衛生用ゴム事業が増収増益基調に転じてくるのか注目される。また、海外事業では、前年同期比で北米の売上高の伸びが高くなっている。今後拡大が期待されるRFIDタグ用ゴム製品の受注が好調に推移したことがその背景にあるものと思われる。こうした一方で、アジアの売上高が前年同期比で減少していることは若干気がかりである。北米の販売好調は続くのか、アジアの販売は増加に転じてくるのか、続く第2四半期の海外事業の売上高の動向が注目される。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書最終更新日:2018年6月29日「当社は、JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。
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