(3194:東証1部) キリン堂HD 粗利率・粗利額双方上昇

2018/08/09

kirindo

今回のポイント
・2019年2月期第1四半期の売上高は前年同期比3.4%増の317億95百万円。既存店は客数減によりマイナスだったが新店が寄与した。小売事業においてヘルス&ビューティケア(HBC)商品の販売や、販促手法の見直しに注力したことなどから粗利率が上昇し、粗利額も増加。販管費も人件費、施設費を中心に増加したが吸収し、営業利益は同56.6%増の3億99百万円。売上は計画に対し若干の未達。四半期純利益が計画未達だったのは当初第2四半期(6-8月)に処理する予定だった減損損失を第1四半期に前倒しで計上したため。

・業績予想に変更は無い。2019年2月期の売上高は前期比3.8%増の1,315億円を計画。新規出店15店、退店10店を計画。営業利益は同33.2%増の25億80百万円の計画。第二次中期経営計画の柱となる重点課題(①既存店の活性化、②ヘルス&ビューティの強化、③作業システム改革、④調剤事業の拡大、⑤関西ドミナントの推進)に取り組み、国内営業基盤の拡大と営業利益率の改善を図る。配当は、同5円増の35.00円/株の予定。予想配当性向は26.8%。

・前期好調だった既存店売上高が4月、5月とマイナスに転じ第1四半期の既存店売上高は、2017年2月期第2四半期以来の減収となった。第2四半期に入り6月は0.9%増となったが、既存店マイナスの要因である客数が2018年2月から6月まで5カ月連続で前年割れとなっている点は気になるところだ。粗利率の回復を目指した販促施策の変更が功を奏し第1四半期の粗利率は前年同期比0.9ポイント上昇したが結果として客数減となった。客数と粗利率はトレードオフの関係になりやすい中、第2四半期以降の粗利率及び客数の動向に注目したい。また、通期計画に対する第1四半期実績の進捗率をみると、順調な進捗の売上高に対し、営業利益はややスローにも見える。こちらの推移も見守りたい。

会社概要
関西圏を地盤としてドラッグストア・保険調剤薬局を運営する(株)キリン堂を中心とした持株会社。医薬品等の卸売事業や医療・介護コンサルティング等も手掛ける子会社も有する。ドラッグストア事業では、近畿2府5県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、三重)を中心に、香川、徳島、石川においてドミナント戦略を進めており(特定地域内に集中出店することで経営効率を高めるとともに、地域内でのシェアを向上させ競争優位に立つ戦略)、関東1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)でも店舗展開をしている。グループ店舗数は366店舗(FC1店舗を含む)。連結子会社は、下記4社。持分法適用関連会社として中国で主に卸売を展開するBEAUNET CORPORATION LIMITEDがある。連結の従業員数は1,774名。(いずれも2018年5月31日現在)【同業他社比較】ドラッグストアを中心業態とする上場企業は、以下の14社が挙げられる。(売上規模順)※売上高、営業利益は今期会社側予想。単位は百万円。ROEは前期実績、単位は%。時価総額は7月20日終値ベース×7月20日時点直近の短信記載の発行済株式数(自己株式を含む)。単位は百万円、四捨五入。PER(予)・PBR(実)は7月20日終値ベース。単位は倍。 薬王堂は2019年2月期より連結決算開始のため前期比は非掲載。前回レポート作成時からは売上高でコスモス薬品が順位を上げた。時価総額では引き続きツルハHDがトップに立った。同社の順位に変化はない。2018年2月期のROEは利益率の上昇により過去6年で最も高い9.8%に上昇した。第2次中期経営計画では、2020年2月期10%以上を目標としており、今19年2月期も10.2%の計画である。
2019年2月期第1四半期決算概要
新店が寄与し増収。経費増を吸収し増益。売上高は前年同期比3.4%増の317億95百万円。既存店はマイナスだったが新店が寄与した。小売事業においてヘルス&ビューティケア(HBC)商品の販売や、販促施策の見直しに注力したことなどから粗利率が上昇し、粗利額も増加。販管費も人件費、施設費を中心に増加したが吸収し、営業利益は同56.6%増の3億99百万円。売上は計画に対し若干の未達。四半期純利益が計画未達だったのは当初第2四半期(6-8月)に処理する予定だった減損損失を第1四半期に前倒しで計上したため。◎出退店状況2019年2月期第1四半期の出店は8店舗、M&A等による増加が1店舗で、店舗数は9店舗増加した。退店は2店舗。2018年5月末のグループ店舗数はFC1店舗を含む366店舗となった◎既存店の状況2019年2月期第1四半期の既存店売上高は、前年同期比0.5%減となった。客単価は同3.1%増と堅調だったが、客数が同3.5%の減少となった。客数が減少した要因として、会社側は、粗利率引き上げのためのチラシの見直しなど販売促進活動におけるトライ・アンド・エラー、天候不順などによるシーズン商品の不振などを挙げており、6月以降の課題と認識している。◎PB商品売上高の動向全体の粗利率向上につなげるため、当期も引き続き、相対的に粗利率の高いPB商品の売上構成比率上昇に取り組んだ。高付加価値商品のリニューアル、新素材を取り入れた商品の開発、健康志向食品の強化、機能性表示食品の拡大など戦略的PB商品の開発および育成のほか、顧客視点の売場と接客の教育などに注力した。新規開発SKU数は148SKUで、うちHBC商品は44SKUであった。小売事業の商品売上高全体に占めるPB商品の比率は9.6%と前通期と変わらず、HBC商品売上高に占めるPB商品売上高の比率は10.7%と、前通期の10.5%から若干ながら上昇した。HBC商品の販売や販促施策の見直しに注力したことなどから小売事業の粗利率は前期比0.9ポイント上昇した。販促施策の見直しを行ったため販売費が減少した。◎調剤事業について調剤薬局、調剤薬局併設型ドラッグストア計4店舗を新たに出店したほか、M&Aで調剤薬局1店舗を取得、2店舗を閉店した結果、2018年5月末の処方せん取扱店舗数は3店舗増の81店舗となった。処方せん応需枚数は前年同期比13.9%増の27.5万枚、調剤売上高は同16.9%増の31億30百万円となった。2018年4月の調剤報酬・薬価改定の影響により処方せん単価は5.7%の低下。予想および業界平均7.5%減よりも小さかった。現預金、たな卸資産等の増加により、流動資産は前期末比34億27百万円増加。固定資産は無形固定資産の増加等で同1億51百万円増加し、資産合計は同35億78百万円増加の529億59百万円となった。一方、長期有利子負債の増加などにより、負債合計は同34億46百万円増加の390億60百万円となった。純資産は同1億32百万円増加の138億99百万円。この結果、自己資本比率は前期末より1.6ポイント低下の26.2%となった。
2019年2月期業績予想
業績予想に変更無し。増収・増益予想業績予想に変更は無い。売上高は前期比3.8%増の1,315億円を計画。新規出店15店、退店10店を計画。営業利益は同33.2%増の25億80百万円の計画。第二次中期経営計画の柱となる重点課題(①既存店の活性化、②ヘルス&ビューティの強化、③作業システム改革、④調剤事業の拡大、⑤関西ドミナントの推進)に取り組み、国内営業基盤の拡大と営業利益率の改善を図る。ROEに関しては、中計の目標である「10%以上」となる10.2%を目指す。配当は、同5円増の35.00円/株の予定。予想配当性向は26.8%。 (2)2019年2月期の重点課題3か年の第2次中期経営計画の2期目となる2019年2月期の重点課題と取り組みは以下の通り。(1)第2次中期経営計画について(位置づけ、テーマ、課題)(数値目標:連結)(2)重点課題と進捗重点課題 ①既存店の活性化重要な既存店活性化策である売場改装を、2018年2月期は35店舗で実施した結果、食品の取り扱いを強化したことから客数、客単価はそれぞれ3.1%、1.0%増加し、売上高は全既存店増収率3.2%を上回る4.3%となった。2019年2月期は前期を上回る45店舗の改装を予定している。ポイントカード会員の拡大のために「会員向け販促の推進」を実施した結果、既存店月間平均において、2018年2月末時点で会員客数が前年比3.4%増加。2019年2月期からは、自社電子マネー付きポイントカード「KiRiCa」を導入して、さらなる利便性とサービスの向上に努める。また、既存店による地域の未病対策サポートの一環として、健康フェアやセミナーを実施している。2018年2月期には、店舗での健康フェアを144回、健康セミナー・介護セミナー等を22回、健康イベント(HANSHIN健康メッセ)を1回実施した。今期も内容を充実させて健康提案を発信していく。重点課題 ②ヘルス&ビューティの強化同社は「PB商品の機能性表示の取得」に注力しており、2017年11月に商品名「EPA&DHA」で機能性表示を取得した。取得後の売上高は前年比で31%増加している。2018年2月期のHBCのPB商品売上高構成比は前年比0.8ポイント低下の10.5%であったことを受けて、機能性表示取得の追加、健康志向食材PB商品開発、新素材を取り入れたPB商品開発などにより、2019年2月期には11.2%にまで引き上げる。また、顧客視点のPB商品開発・販売にも取り組んでおり、2018年1月にキリン堂PB「アインシアオーシェリー」についてのグループインタビューを実施し、顧客の要望を吸い上げた。新規の顧客に対してはトライアルセットの継続販売とラインナップの追加などで対応。既に購入経験のある顧客に対しては、継続購入特典、ビューティスタッフと相談しやすい環境整備に取り組んでいる。重点課題 ③作業システム改革新POSレジの導入により作業時間を短縮し、確保した時間を接客に使い、顧客関係性強化を図る。また、パートナー社員(パート・アルバイト社員)の登録販売者の資格取得を推進するほか、評価制度も導入しパートナー社員を含めた全社員で顧客サービスの向上を推進する。 重点課題 ④調剤事業の拡大調剤併設型ドラッグストアのフォーマットを確立させ、かかりつけ薬剤師の育成と在宅支援の取り組みを強化する。2019年2月期には処方せん取り扱い店舗を8店増の86店舗とする。調剤売上高は前期比0.7%増の117億56百万円を計画している。重点課題 ⑤関西ドミナントの推進2019年2月期は、ドラッグストア11店舗(うち調剤薬局併設4店舗)、調剤薬局3店舗、M&A1店舗の合計15店舗を出店し、閉店は10店舗の予定。
今後の注目点
前期好調だった既存店売上高が4月、5月とマイナスに転じ第1四半期の既存店売上高は、2017年2月期第2四半期以来の減収となった。第2四半期に入り6月は0.9%増となったが、既存店マイナスの要因である客数が2月から6月まで5カ月連続で前年割れとなっている点は気になるところだ。粗利率の回復を目指してチラシによる日替わり商品の紹介をやめるなどの施策が功を奏し第1四半期の粗利率は前年同期比0.9ポイント上昇したが結果として客足は遠のいてしまっている。客数と粗利率はトレードオフ関係になりやすい中、第2四半期以降の粗利率及び客数の動向を注目したい。また、通期計画に対する第1四半期実績の進捗率をみると、順調な進捗の売上高に対し、営業利益はややスローにも見える。こちらの推移も見守りたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書最終更新日:2018年5月28日に提出している。<基本的な考え方>当社は、コーポレート・ガバナンスの充実が求められる中、企業価値の最大化を図るために、経営判断の迅速化及び経営チェック機能の充実を目指すとともに、株主をはじめとする全てのステークホルダーからの信頼を得るべく、コンプライアンスの徹底及び経営活動の透明性の向上に努めております。また、このような経営を推進するため、当社グループ全社員がとるべき行動の指針として「自主行動基準」を制定いたしており、同自主行動基準を、当社グループ全社員が着実に遵守・実行することにより、企業理念に根ざした社会的責任を果たすよう努めていく所存であります。
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