(8130:東証1部,名証1部) サンゲツ Goodrich社の子会社化のシナジー効果注目

2018/02/21

sangetsu

今回のポイント
・18/3期第3四半期の売上高は前年同期比17.2%増の1,155億円。インテリア事業、エクステリア事業が増収だったほか、前期買収したKoroseal社、子会社化したフェアトーン社の売上が寄与。売上総利益は同21.4%増と増収率を上回り粗利率も1.1%上昇したが、上記2社の販管費に加え、物流拠点整備、基幹システムの再構築準備、人件費および物流コストの上昇、新規連結先ののれん償却増などで、販管費は同28.6%増加したため営業利益は同12.2%の減益。ただ、四半期の営業利益は第1四半期35.2%減、第2四半期3.0%減から第3四半期は7.9%の増益に転じた。

・通期業績予想に変更は無い。18/3期の売上高は前期比15.0%増、1,560億円の予想。新築住宅着工は微減を見込むが、非住宅分野での壁装、床材の営業活動を強化し、見本帳の新企画や新商品投入効果による増収を目指す。200億円の増収分のうちインテリア事業に関してはフェアトーン株式会社の連結開始を含め35億円強、海外事業に関してはKoroseal社の損益連結開始と増収により170億円を見込んでいる。営業利益は前期比19.4%減の61億円。配当予想は55円/株を予定。予想配当性向は81.0%。

・第3四半期累計の営業減益率は第2四半期より縮小したものの、現在の同社は物流拠点整備、基幹システムの再構築準備など投資フェーズにあることから通期での減益は避けがたいが、短期的にはどれだけ上積みして着地するかを期待したい。一方、中長期的にはGoodrich 社の子会社化は今後の成長が期待できる東南アジア市場に橋頭保を構築できたという点で意味ある一手と思われる。「1+1」を2以上にするシナジー効果がいつごろから生まれ始めるか注目したい。

会社概要

壁紙、床材、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。グループ企業に、エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、照明器具の企画、設計、製造、販売を行う「山田照明株式会社」、中国での事業展開の拠点「山月堂(上海)装飾有限公司」、米国の非住宅向けを中心とした壁装材製造販売会社「Koroseal Interior Products Holdings,Inc.」、施工能力の強化を通じて更なる受注獲得を目指す「フェアトーン株式会社」、カーテン専門の販売会社「株式会社サンゲツヴォーヌ」の6社を有する。

【沿革】

1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社山月堂商店として株式会社化。1970年代後半以降、東京、福岡、大阪を始め全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。
2014年4月、安田正介氏が初めて創業家メンバー以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。

【企業理念】

新たなステージに臨む同社では、変革のチャレンジを進める上で、2016年4月、新ブランド理念を含めた企業理念を再構築した。
以下の、「社是」、「企業使命」、「サンゲツ三則」に新しい「ブランド理念」を合わせ、企業理念としている。

<社是>
誠実

<企業使命>
インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与します。

<サンゲツ三則>
創造的デザイン・信頼される品質・適正な市場価格

<ブランド理念>
ブランドステートメント「Joy of Design」を掲げ、ブランドパーパスとして「私たちは、新しい空間を創りだす人々にデザインするよろこびを提供します。」と謳っている。

インテリア商品の作り手と使い手、同社に関連する全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合うことを目指す考えだ。

【市場環境】
◎概観

同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。

一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数は低水準で推移しているのに対し、同社売上高は過去最高を連続して更新している。

これは、民間住宅以外に、非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。

国土交通省発表の「建設投資見通し」によれば、民間住宅建築投資、民間非住宅建築投資ともにリーマンショック後は回復途上にあるが、民間住宅建築通しが未だ2000年レベルの8割の水準であるのに対し、民間非住宅建築投資は同レベルを超えている。

一方、一般財団法人 建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2018年1月26日発表)によれば、名目民間非住宅建築投資の対前年度伸び率は、2016年度までは2014年度10.6%増、2015年度(見込み)7.4%増、2016年度(見込み)6.0%増と堅調なものの、2017年度(見通し)1.4%増2018年度(見通し)は1.2%減とスローダウンする見通しとなっている。
着工床面積も、事務所が16年度10.3%増から17年度(見通し)3.4%増、18年度(見通し)は0.0%と急ブレーキがかかり、店舗も16年度7.6%減、17年度(見通し)1.3%減、18年度(見通し)1.8%減と低調に推移する見通しである。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、民間非住宅市場は新設、リニューアルも含め需要は堅調である一方、人手不足によるボトルネックが生じているとの見方もあり、不透明感が残っている。

◎同業他社

インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の8社が挙げられる。

【事業内容】

壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業、照明事業も展開している。

商品数は約12,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。
主力の壁紙で商品数は約4,200点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見本帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で30~40%程度だが、同業他社では35~40%以下という事だ。商品を入れ替えるのは、容易ではない。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、効率と鮮度のバランスを取ることができるのは、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積によるものだろう。

◎営業体制

名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、53か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として9か所のショールームを有している。

最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。
住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーがかかわっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。
そのため、同社では見本帳、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、法人営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約450名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(名古屋を中心とした中部地域の一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。

◎物流体制

全国13か所に物流センターを含めた物流施設を保有している。
東・名・阪・福はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.14%(約70点程度)となっている。当該地区での欠品であり、周辺の物流センターから即座にカバーする事で、納期待ちを依頼する事はレアケースである。内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。仕入先は約100社と広範囲に亘っている。

②「エクステリア事業」
(2017年3月期 売上高 14,778百万円、営業利益 402百万円)

2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売している。

③「照明事業」
(2017年3月期 売上高 4,205百万円、営業利益 23百万円)

2008年に子会社化した山田照明株式会社がダウンライト、Zライトなどの一般照明器具を国内外で販売している。

④「海外事業」

中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」の事業戦略において、海外を重点注力市場と位置付けて連結経営管理することとしたため、2018年3月期第1四半期より新たに設けられたセグメント。
2016年11月に買収したKoroseal Interior Products Holdings,Inc.および2016年4月に設立した山月堂(上海)装飾有限公司の2社で構成される。

新中期経営計画では2019年度(2020年3月期)の定量目標をROE8~10%としている。
自己資本の削減に加え、収益性向上のための取り組みが欠かせない。

【特徴と強み】
①安定した収益を生み出すビジネスモデル

同社は製造部門を持たない「ファブレス経営」の先駆けとも言うべき存在で、製造部門を持たないため固定費負担が小さい。また、商品数12,000点、仕入先100社以上、顧客数万件と、多くの面で分散が効いており、建設市場動向に連動する景気敏感型企業でありながら業績変動は決して大きくなく、設立以来赤字決算を行ったことが無い。

②「創る」・「提案する」・「届ける」
「創る」

同社は商品の製造を行ってはいないが企画・デザイン・開発は自社で行っている。昭和40年に初のオリジナル壁紙を発売。
昭和48年に制定以降、現在も守り続けられているサンゲツ三則にある「創造的デザイン」に力を入れており、積極的な投資を行っている。
同社で様々なデザインをベースに約25名の企画担当者が、デザインを練り上げ、同社オリジナルデザインを開発している。担当者育成は海外の展示会への参加、営業の意見のヒアリング、デザイン顧問とのディスカッションなど、OJTで行っている。若い感覚をより積極的に採用していく方針だ。
商品ラインアップは他社には例を見ない約12,000点。また2~3年ごとに定期的に改訂する約30種類の見本帳も他社にはない同社の大きな特徴。

「提案する」

同社の営業スタッフ数は全従業員数のおよそ3分の1に当たる約450名で、業界最大である。
全国61拠点で前述のような、提案営業を展開している。9か所のショールームには約45名のショールームスタッフが在籍。また、各商品を組み合わせた室内空間を顧客にイメージしてもらうためのデザインボードを作成するインテリアデザインスタッフが約40名おり、その提案力も業界最高水準となっている。

「届ける」

先述の様に、商品の全点常備在庫を行い、内装工期に合わせて「Just in Time」を実現する全国の物流ネットワークを有するのは同社の強みである。
ただ、全点在庫は一方で過剰在庫や低効率につながりかねず、同社の様な注文に応じて正確に加工して出荷する加工物流において、ロス率を上げない正確な加工技術とスピードが重要な要素となる。
通常、壁紙は1ロール50m。30mの注文があった場合、同社の場合は正確に30mでカットして出荷し、加工後残った素材は次の注文に合わせ効率的にカットし、なるべく無駄が出ないように加工する。こうした加工技術は同社が長年蓄積してきた貴重なノウハウによるものである。

2018年3月期第3四半期決算概要
増収も販管費増で減益。期初計画は上回る。

売上高は前年同期比17.2%増の1,155億円。インテリア事業、エクステリア事業が増収だったほか、前期買収したKoroseal社、子会社化したフェアトーン社の売上が寄与した。
売上総利益は同21.4%増と増収率を上回り粗利率も1.1%上昇したが、上記2社の販管費に加え、物流拠点整備、基幹システムの再構築準備、人件費および物流コストの上昇、新規連結先ののれん償却増などで、販管費は同28.6%増加したため営業利益は同12.2%の減益となった。
ただ、四半期の営業利益は第1四半期35.2%減、第2四半期3.0%減から第3四半期は7.9%の増益に転じた。

①インテリア事業

増収・減益。

<壁装材>
増収。宿泊・飲食施設など非住宅市場で不燃認定壁紙の採用が進み売上を牽引した。また、2017年6月に発刊した粘着剤付化粧フィルム「リアテック」、「ガラスフィルム」の市場浸透に注力するなど、高付加価値商品の訴求に努めたほか、専任の営業部署と連携し、各地域のハウスメーカーや有力ビルダーへの営業活動を積極的に展開した。

<床材>
増収。堅調な商業・医療福祉分野において、フロアタイルやメンテナンス性に優れた塩ビ系床材の売上が伸長した。また、繊維系床材においては、2017年6月に発刊した「ロールカーペット」の市場浸透が進み、改装需要が旺盛な宿泊施設での採用が進んだ。

<ファブリック>
増収。2017年7月に発刊した住宅向けカーテン見本帳「STRINGS」と「Simple Order」において、セミナー等の継続した販促活動により売上が伸長した。また、非住宅向けのカーテン見本帳「コントラクトカーテン」も堅調に推移したほか、椅子生地においても、専任営業担当者による販売強化が奏功した。見本帳の切り替えに伴う販売機会のロスが生じたが増収を確保した。

<その他>
増収。施工体制を担うフェアトーン株式会社の業績、施工代などを含んでいる。

②エクステリア事業

増収・増益。
フェンスやカーポートが伸張したほか、後付けが可能なガーデンルームや宅配ボックス、住宅用エクステリア照明など便利で快適な暮らしに繋がる庭まわりの商品への需要も高まった。また、施工力強化とともに営業体制の再構築を進め、高付加価値商品の販路拡大に努めた。

③照明事業

減収・損失拡大。
「オフィス」・「ホテル」・「屋外/道路」・「Zライト」の重点戦略分野において、道路照明をはじめとする取り扱い商品の拡大や、サンゲツとのシナジー創出、LEDによる演色性の高いZライトの導入などを進めた。高品質を活かした特注商品やソリューション型の営業活動に特化することにより、総利益率は改善したが、競争は厳しさを増している。

④海外事業

北米市場を担うKorosealでは、粘着剤付化粧フィルム「リアテック」を中心に既存商品の設計指定獲得が進み、北米における新たな商品分野の販路を拡大した。
中国市場を担う山月堂(上海)装飾有限公司では、壁装材に加えて医療・商業関連施設等への床材の採用が進んだ。

現預金の減少などで流動資産は前期末に比べ104億円減少。固定資産は投資有価証券の増加等で同46億円増加した結果、資産合計は同57億円減少の1,633億円となった。流動負債は同16億円減少。長期借入金の減少等で固定負債は8億円減少し、負債合計は同25億円減少の560億円となった。利益剰余金の減少、自己株式の増加で純資産は同31億円減少し、1,072億円となった。自己資本比率は前期末の65.3%から0.2%低下し65.1%となった。

なお、今期第2四半期末時点では完了していなかったKoroseal社(2016年11月子会社化)の資産及び負債の時価算定等が完了したため、2017年3月末の資産および負債価額を遡って評価し直している。

(4)トピックス
◎シンガポールの内装材料販売会社を買収

2017年12月20日付で、シンガポールの内装材料販売会社であるGoodrich Global Holdings Pte. Ltd.(以下Goodrich社)の過半数以上の株式を取得し連結子会社とした。取得価額は29.2百万シンガポールドル(約25億円)。

(Goodrich社概要)
シンガポールを本社とし、東南アジアを中心とした6カ国に12の事務所と、商品を展示するギャラリーを有し、主に壁紙・ファブリック・カーペット等のインテリア商材を取り扱い、東南アジアの内装材料販売市場においては最大のシェアを有している。
また、業界最大規模の営業人員数によりデザイナー・設計等の内装材料スペック決定権者から事業主・施工業者迄をカバーする営業体制を構築しており、1983年の創業以来30年以上に渡り同市場で築きあげた顧客とのネットワークを最大の強みとしている。
2016年12月期の売上高は57百万シンガポールドル(約48億円)、営業利益は1.3百万シンガポールドル(約1.1億円)。

(買収の背景)
サンゲツは中期経営計画 PLG2019(2017-2019)において「多様な商品と高い専門性を持ち、国内外で強固な市場を持つ企業グループの構築」を目標に掲げ、内装材販売ビジネスの地理的拡大を今後の成長基盤となる重要課題と位置付けている。
前中期経営計画中には、中国現地法人 山月堂(上海)の設立、米国Koroseal社の買収を行い、日本国内におけるサンゲツと同様、インテリア素材全般をカバーするビジネスモデルの構築を実行してきた。
PLG2019では、それぞれのローカルな市場での営業・物流体制を増強すると共に、そのローカルな市場間に共通の商品、デザインを流通させることにより、グローバルな事業拡大を確実に推進させていく考えである。

Goodrich 社は既に世界各国の内装材メーカーから商品を調達しているが、サンゲツと共通の調達先も多く、今後内装材ビジネスのグローバル化を進めるで、商品・デザイン等の共有化を通じ、サンゲツの既存事業との相乗効果が期待できる。
また、サンゲツは市場ポテンシャルの高い東南アジアを重点地区の一つとして位置付けているが、多民族文化である同地域でのディストリビューションビジネスの確立にはローカルパートナーとの提携が必須である。
その点でGoodrich社はサンゲツにとって最適なパートナーであり、今回の買収により従来の日本市場、米国市場、中国市場に加えて東南アジアをカバーする販売ネットワークの拡大が可能となり、サンゲツグループ全体の企業価値向上に大きく貢献するものと同社では考えている。

2018年3月期業績見通し
業績予想に変更無し。増収も事業基盤強化のための投資などで減益。

業績予想に変更は無い。売上高は前期比15.0%増の1,560億円。新築住宅着工は微減を見込むが、非住宅分野での壁装、床材の営業活動を強化し、見本帳の新企画や新商品投入効果による増収を目指す。200億円の増収分のうちインテリア事業に関してはフェアトーン株式会社の連結開始を含め35億円強、海外事業に関してはKoroseal社の損益連結開始と増収により170億円を見込んでいる。
営業利益は前期比19.4%減の61億円。配当予想は55円/株を予定。予想配当性向は81.0%。

今後の注目点
第3四半期累計の営業減益率は第2四半期より縮小したものの、現在の同社は物流拠点整備、基幹システムの再構築準備など投資フェーズにあることから通期での減益は避けがたいが、短期的にはここからどれだけ上積みして着地できるかを期待したい。
一方、中長期的にはGoodrich社の子会社化は今後の成長が期待できる東南アジア市場に強力な橋頭保を確保できたという点で意味ある一手と思われる。「1+1」を2以上にするシナジー効果がいつごろから生まれ始めるか注目したい。
<参考1:中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」概要>
◎ビジョン

「社是:誠実」、「ブランド理念:Joy of Design」のもと、中期経営計画(2017-2019)「PLG 2019」においては、「多様な商品と機能と高い専門性を持ち、国内外で強固な市場を持つ企業グループ構築をする。」ことを目指していく。

PはPersonal。専門性を持ったプロ人材となる。社外との強い人的関係を結ぶ。
LはLocal。各地域での強固な市場ポジションを確立する。
GはGlobal。商品・デザインのグローバル化。

前中計に引き続き、全てのステークホルダーとの共調を志向しながら資本効率性の向上に注力する。
売上高目標の内訳は、以下の通り。

◎テーマ

基本方針として「、内装材事業(企画・調達・物流・販売)の地理的拡大、機能強化」を掲げ、以下の5つの基本施策を推進する。

(1)成長の為の事業戦略
①安定的かつ基礎的収益源である日本市場において、バリューチェーンでの機能強化・取組領域の拡大により収益の安定的成長を実現

「国内外有力サプライヤーとのアライアンスを通じた材料・原料を含めた商品開発・調達」、「インテリアコーディネーション提案・施工力の強化」、「代理店との連携・協業強化」、「社内営業体制の見直し」などを進める。

②成長力のある海外市場での活動を強化、地理的な展開を拡大するとともに商品面・機能面での拡充を実行

北米(米国・カナダ)、アジア(中国・東南アジア)を重点注力市場と位置付け、各市場でのローカルな物流・営業体制を拡充・強化する。

③デザインのグローバル化、製造メーカーのグローバル化に呼応し、グローバルな商品の企画・調達体制を構築

日本・米国・中国のローカル拠点間の連携を深め、「海外有力メーカーとの国内外での連携」や「ヨーロッパデザイン・和のデザインの共同展開や商品の共同マーケティング」に取り組む。

④地域での事業を担う関係会社・機能を担う関係会社・専門市場を担う関係会社を統合的に経営し、トータルシナジーを生む為の連結経営体制を強化

事業シナジーの最大化や収益管理体制の明確化のために主管部制度を導入するほか、管理部門による横断的なチェック・サポート体制を構築する。
連結経営課を新設し、全体管理や牽制機能を持たせる。
加えて、実効性を上げるために定期的なモニタリングや対話制度も導入する。

⑤次期中期経営計画を睨み業態の転換の試行を重ねる。

現在のグループ各社の経営資源や特長をより一層活用してシナジーを追求するために、業態転換の試行・検討を進める。

(2)人的資源の強化

真のプロフェッショナル育成のために、グループ各社および本体各組織において、①プロ人材の育成、②能力主義の徹底、③ダイバーシティの推進、④働き方改革、⑤健康経営の推進に取り組む。

(3)収益管理体制の強化
①販売管理費の削減と管理の徹底

Chief Cost Controllerを任命する。販管費管理手法を整備する。サンゲツ単体では総人員を縮小する。

②グループ各社へのCCC管理の導入

連結ベースでのデュポン分析によるROEおよびCCCの目標を設定し、進捗をフォローする。

③サンゲツ各事業部・各支社での経営管理指標の明確化と進捗管理

各支社社員数ベースでの売上・総利益目標を設定する。

(4)ESG/CSR方針
①E:環境

☆サンゲツグループの事業全体の環境負荷を把握し、地球温暖化防止や持続可能な資源循環に向けての体制を構築する。
・CO2ゼロエミッションに向けた計画の立案など。

②S:社会

☆グループ各社の多様な従業員の活躍を支援するとともに社会的弱者の就労支援
・女性管理職比率15%以上を達成する。(17年3月期実績 10.6%)
・障がい者雇用率目標3%実現(現在2.3%)、など

☆サプライチェーンにおける社会的責任の推進

☆社員が主体的となった社会貢献活動の拡大
・児童養護福祉施設の内装工事支援(目標 20件以上/年)

③G:ガバナンス

☆コーポレートガバナンスの透明性の維持と向上、コンプライアンスの徹底
・株主、投資家、従業員、取引先などあらゆるステークホルダーとのコミュニケーション向上

(5)資本政策
①資本効率向上に向けた財務方針

資本市場の状況を鑑みつつ、引き続き自己株式取得と安定的増配を行い自己資本を1,050~1,000億円への削減を目指す。(17年3月期 1,088億円)

②中期経営計画期間中の株主還元政策

・3年間トータルの連結総還元性向は100%超とする。
・長期安定的な増配の基本方針に基づき、安定的増配を継続する。
・株式市場の状況に応じて機動的に自己株式を取得する。

以下のような資金調達及び資金配分を計画している。

<参考2:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2017年7月5日

<基本的な考え方>
当社は、「誠実」を社是とし、企業価値の向上を図るため全てのステークホルダーとの良好な関係を築き、長期安定的に発展していくことを目指しています。
その実現のため、経営の透明性、迅速性、効率性を基盤としたコーポレートガバナンスの強化が重要な経営課題であると認識しています。
当社は、取締役会における監査・監督機能を強化することと、社外取締役比率を高めることで株主の視点を踏まえた議論が活発化することをねらいとして2015年6月に、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しています。
このガバナンス体制のもと、更なる企業価値の向上に努めていきたいと考えています。

<実施しない主な原則とその理由>
同社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を実施している。

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