(6094)株式会社フリークアウト・ホールディングス 上期の各利益は大幅成長

2021/06/10

 

 

本田 謙 社長 Global CEO

株式会社フリークアウト・ホールディングス(6094)

 

 

会社情報

市場

東証マザーズ

業種

サービス業

代表者

本田 謙

所在地

東京都港区六本木6-3-1

決算月

9月末日

HP

https://www.fout.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,511円

16,780,987株

25,355百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

278.22円

5.4倍

*株価は5/21終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年9月(実)

4,217

96

95

65

5.23

0.00

2016年9月(実)

5,792

358

561

394

30.72

0.00

2017年9月(実)

12,019

601

1,208

842

64.12

0.00

2018年9月(実)

14,745

-532

307

25

1.94

0.00

2019年9月(実)

21,709

-1,270

-1,497

-3,512

0.00

2020年9月(実)

24,878

211

-221

-669

0.00

2021年9月(予)

27,000

200

100

未定

0.00

* 予想は会社予想。単位は百万円。2016年9月1日付で1:2の株式分割を実施。EPSは遡及して調整。

 

 

株式会社フリークアウト・ホールディングスの2021年9月期上期決算概要などを報告します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年9月期上期決算概要
3.2021年9月期業績見通し
4.新・中期計画の概要
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 最適な消費者に最適なタイミングで最適なメッセージを伝えたいという広告主の課題を、AI(人工知能)を用いた先端テクノロジーで解決するマーケティング・テクノロジー・カンパニー。広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム「DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)」の運営やOEM提供を行う「DSP事業」が事業の中心。「最大級のデータ保有量」、「良質な広告掲載面の確保」、「優れたアルゴリズム構築のための積極的な投資」などが大きな強み・特長。広告に留まらず様々な分野でテクノロジーによって「人に人らしい仕事を」提供し、創造的な社会づくりに貢献する事を経営理念としている。

     

  • 21/9期上期は前年同期比6.7%増収、EBITDAは75.3%増。動画・Connected TV領域を中心に成長。海外は季節的要因により1Qほどの勢いはなかったが、前年同期比では大幅成長。各利益は社内予算や通期予想を大幅に上回っているものの、新型コロナウイルスや為替の影響等を考慮し、修正は見送った。今期は中期計画初年度にあたるが、23/9期に売上高450億円、EBITDA30億円を目指す。

     

  • 中期計画初年度となる21/9期は1Qからロケットスタート。2Qについては、海外が閑散期となったため勢いは衰えたものの1Qの流れを継承した実績といえるだろう。1Qは米国を主軸とした海外の躍進、対して2Qは国内の回復から成長への軌道が見てとれた。2Q累計の各利益は通期の会社予想を上回っており、上方修正はなかったものの予想を大きく上回るのは必至。大きく躍進したにもかかわらず、タイの事業などには改善余地も残されている。最先端技術を擁し世界の広告市場に対峙しながらも売上が300億円規模にとどまっており、特に海外における同社の成長余力を鑑みると「未完の大器」といった印象を受ける。短期的には、特にPlaywireの動向に注目したい。

     

     

1.会社概要

最適な消費者に最適なタイミングで最適なメッセージを伝えたいという広告主の課題を、AI(人工知能)を用いた先端テクノロジーで解決するマーケティング・テクノロジー・カンパニー。
広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム「DSP(デマンドサイド・プラットフォーム)」の運営やOEM提供を行う「DSP事業」が事業の中心。
「最大級のデータ保有量」、「良質な広告掲載面の確保」、「優れたアルゴリズム構築のための積極的な投資」などが大きな強み・特長。
広告に留まらず様々な分野でテクノロジーによって「人に人らしい仕事を」提供し、創造的な社会づくりに貢献する事を経営理念としている。

 

【1-1 沿革】

日本よりも1年ほど先行して米国でRTB(Real-Time Bidding)という、インターネット広告の表示回数ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法が一般化していたころ、日本でもこの手法を導入して広告分野におけるGame Changeを起こすことを目指してエンジニアでありヤフー株式会社で広告ビジネスに携わった経歴を持つ代表取締役Global CEO本田謙氏が2010年10月、同社を設立。グーグル株式会社で同じくエンジニアとして広告製品を担当していた佐藤 裕介氏(前代表取締役社長、現執行役員 新領域事業管掌)も創業に参画し、2011年1月、日本国内で初めてRTB技術の商用化を実現した。
新しいプロダクトに対する感度が高いという広告業界の特性もあり、リリース直後から利用する企業は多数に上ると同時に顧客の満足度も高く、売上、利益は順調に拡大。2014年6月、設立から4年弱で東証マザーズに上場した。
2017年1月には意思決定のスピードアップや、よりダイナミックな事業展開を目指し持株会社体制に移行した。

 

2010年

10月

同社設立

2011年

1月

日本初のRTB技術を用いたDSP「Freak Out」をリリース

2012年

5月

スマートフォン向けサービスを開始

2013年

6月

合弁会社(現連結子会社)「(株)インティメート・マージャー」設立

2013年

10月

YouTubeにホスティングされた動画を利用した動画広告配信サービスを提供開始

12月

LINE株式会社と合弁会社M.T.Burn株式会社を設立

2014年

6月

東証マザーズに上場

6月

M.T.Burn(株)がネイティブ広告プラットフォーム「AppDavis(現 Hike)」をリリース

2016年

1月

M.T.Burn(株)の「Hike」とRTB接続を開始

5月

モバイルマーケティングプラットフォーム「Red」をリリース

2017年

1月

持株会社体制へ移行し商号を「株式会社フリークアウト・ホールディングス」へ変更

3月

Gardia(株)設立、Fintec領域へ参入

2018年

12月

伊藤忠商事との資本業務提携を発表

2019年

1月

国内・海外広告事業を統合

 

Playwire, LLC を連結子会社化

 

5月

M.T.Burn(株)を解散

 

10月

子会社インティメート・マージャーが東証マザーズに上場

2020年

11月

インティメート・マージャーが子会社から持分法関連会社に移行

 

【1-2 経営理念など】

『Give People Work That Requires A Person.』、『人に人らしい仕事を』を経営理念として掲げている。

 

昨今、DXというキーワードの流行により、企業はより一層のデジタルシフトが求められるようになったが、フリークアウトとしては、IT企業がテクノロジーを駆使して顧客の仕事効率を高めることは、当たり前のことと考えている。

 

人ができることを機械に置き換えるのがDXとするなら、フリークアウトが目指すのは、人にはできなかったことを機械が行う、つまり「新しい仕事の創造」であると再認識させるきっかけとなったのが、この言葉の流行だった。
「人に人らしい仕事を」とは、DXをDXで終わらせないための同社のミッション。

 

沿革にあるように、インターネット広告のリアルタイム取引を日本で初めて事業化し、広告取引を人間の手作業からコンピュータ間の取引に変えていくことを目指したのが創業の経緯。

 

テクノロジーによって、広告主は消費者一人ひとりとコミュニケーションを取ることが可能になり、従来のマス広告では不可能だった真の 1to1 マーケティングに近づく。
また同時に、広告業に従事する「人」たちは、取引に関する雑務から解放され、より人間らしいコミュニケーションのプランニングや、共感を起こすメッセージの作成など、クリエイティブな仕事に集中できるようになる。

【1-3 インターネット広告市場概要】

同社の事業内容を理解するためには、広告主やメディアのニーズと広告市場の変化、テクノロジー、メインプレーヤーといった「インターネット広告」運営を取り巻く環境、構成要素等について一定の知識を有していることが欠かせない。以下、主要ポイントについて概要を説明する。

 

≪広告市場の変化≫
従来の広告市場、特にテレビや新聞といったマスメディアを利用した広告ビジネスにおいては、サプライサイドであるメディアや広告代理店にとっては在庫の独占性や排他性が事業展開するうえで最も重要な要素であった。
大手広告代理店は限りのあるTVのスポット枠をほぼ完全に押さえることで広告主に対する価格リーダーシップを握り、メディアとともに大きな利益を生み出してきた。
ところがTVや新聞によるマス広告は、右肩上がりの経済成長の終焉と、従来のメディアと比較した際のコストの安さや双方向性を大きな特徴とするインターネット広告の登場によりその需要は縮小する傾向にある。

 

日本の総広告費用が過去10年間でほぼ横ばいの中、2005年には3,777億円であったインターネット広告費は地上波テレビの2割弱、新聞の4割弱であったが年平均成長率12%超で拡大を続け、2019年には2兆1,048億円となり、地上波テレビ(18,612億円)を初めて上回った。(「電通 日本の広告費 2019」より)

 

一方で、より効果的な広告を求める広告主のニーズはますます増大しており、いかにして「最適な消費者に」、「最適なタイミングで」、「最適なメッセージ」を届けるかが大きな課題となっている。

 

こうした中、「アドエクスチェンジ」と呼ばれる、広告枠のオープンなマーケットプレイスが登場してきた。これは、広告主、メディア、広告代理店などが広告枠を自由に売買することができるまさに「市場」であり、広告主にとっては、より高い広告パフォーマンスを求めて最適な広告枠を買うことが極めて重要になってくるわけだが、それを実現するためのカギとなるテクノロジーの一つが、同社が日本国内で初めて商用化を実現した「RTB」である。

 

≪RTBによる広告枠のリアルタイム取引≫
RTB(Real-Time Bidding:リアルタイムビッディング)とは、インプレッション(広告の表示回数)ごとに入札形式で広告枠を自動的に売買する配信手法。

 

RTBが登場するまで一般的であった「純広告取引」は、ディスプレイ広告(ウェブサイトに表示される画像やFlash、動画などを用いた広告)の枠を、メディアや広告代理店がインプレッション保証や期間保証を付けてパッケージ販売するいわばコースメニュー。
これに対してRTBは、ディスプレイ広告を1インプレッションごとにアクセスしてきたユーザーの属性を解析し、「特定の属性を持ったユーザーへの広告」として1インプレッションごとに入札方式で売買を行なうシステムである。

 

RTB技術の活用により、広告主は従来の特定サイトの広告枠を予め決定された価格で購入する純広告や、検索キーワードに関連した検索連動型広告では難しかった潜在的な消費者層の開拓や、興味・関心をもってもらうための効果的な広告配信による認知施策が可能となる。

 

(RTBの流れ)

インターネットユーザーが広告枠のあるウェブサイトに来訪した瞬間に、広告枠を管理するアドエクスチェンジやSSP、あるいはアドネットワーク(※)などから、複数のDSP事業者に来訪ユーザーの情報と広告枠情報(入札リクエスト)が送信される。

各DSP事業者はデータベースを解析し、入札を実行する。

広告枠のオークションの結果、競り勝ったDSP事業者は広告枠の配信を行う。

同社では、オークションが成立した瞬間にSSP等から広告枠を仕入れ、広告枠の入札価額に一定のマージンを載せて販売価額を決定し、広告枠の配信を行う。

(※)アドネットワーク:複数の媒体サイトの広告枠を束ねてネットワーク化し、広告販売や広告配信を一元的に管理して収益化を実現するもの。

 

「RTB」には広告枠の需要サイドのシステムである「DSP」と、供給サイドのシステムである「SSP」が主要プレーヤーとして登場する。

 

(DSP「Demand Side Platform:デマンドサイド・プラットフォーム」とは?)
広告主や広告代理店が、広告主の利益を最大化するために効率的にインターネット広告を買い付け、配信するプラットフォーム。

 

具体的には、広告主や広告代理店が、RTB技術を活用し独自のアルゴリズムにより、アドエクスチェンジやSSP、あるいはアドネットワークなどに対して、ユーザーの広告1インプレッションごとに最適な自動入札取引・広告配信を行うプラットフォームである。
広告主はあらかじめDSPを通じて広告を見て欲しい対象者の属性、入札の上限額を決めておき、広告主の要望にマッチするユーザーが見つかった場合は瞬時(およそ0.05秒程度)に入札が行われ、最も高い価格を提示した広告が媒体に配信される。

 

RTBが登場するまでは、広告主は、ターゲットであるユーザーが閲覧すると思われるサイトを想定して、特定の広告枠を予め決められた価格で買い付けていた。しかし、DSPを用いることにより、広告主は広告を配信したいユーザーをリアルタイムで判断し、入札による適切な価格で広告を配信することができるため、広告主は広告の費用対効果を高めることが可能である。

 

同社は自社開発のDSPである「Red」や「FreakOut」の販売やOEM供給を行う「DSP事業」をメインビジネスとしている。
常に最適なユーザーに広告を配信し、最適な価格で入札を行うには、極めて高度なアルゴリズムを構築し、大量のデータを元に機械学習を繰り返すことで「より賢いAI(人工知能)」に磨き上げていく必要があるが、同社はその点で強力な競争優位性を有している。(詳細は【1-6 特徴・強み】を参照)

 

(SSP「Supply Side Platform:サプライサイド・プラットフォーム」とは?)
メディア側から見た広告効果の最大化を支援するシステム。メディアが広告枠を管理及び販売する際に使用するプラットフォームであり、DSPのリアルタイムな入札に対応する技術を有している。

 

このように、RTB技術をベースにして従来の純広告では困難であった最適化を自動かつ瞬時に行う費用対効果に優れた広告は「運用型広告」と呼ばれ、インターネット広告全体を上回るスピードで成長を続けている。
2019年には日本のインターネット広告の79.8%が運用型広告となっている。

(電通「日本の広告費 2019」を基に当社作成)
(※)運用型広告:膨大なデータを処理するプラットフォームにより広告の最適化を自動的もしくは即時的に支援する広告手法の事。検索連動型広告や一部のアドネットワークが含まれるほか、新しく登場してきたDSP、アドエクスチェンジ、SSPなどが典型例。枠売り広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などは運用型広告に含まれない。
また、同社が日本国内で商用化したRTBは、市場規模は米国の10分の1以下であるが、急成長を遂げている。

 

このように、他の媒体と比べて高い伸びを見せるインターネット広告の中でも特に伸長著しいRTB技術をベースとした「運用型広告」が同社のフィールドであり、旺盛な需要を確実に取り込んで業容を拡大させている。

 

加えて、後述するように同社では東南アジアを中心とした海外事業の拡大にも積極的に取り組んでいるが、東南アジアにおいても台湾を筆頭に各国において広告市場におけるデジタル広告費の割合は上昇傾向にあり、マーケットは継続的に拡大している。

 

【1-4 事業内容】

1.事業セグメント
事業セグメントは、「広告・マーケティング事業」、「その他事業」、「投資事業」の3事業。20/9期まで「DMP事業」を行っていたインティメート・マージャーは連結から除外された(現在は持分法適用関連会社)。

 

① DSP事業
◎ビジネスモデル
SSP・アドエクスチェンジおよびメディアを通じて広告枠を仕入れ、広告主・広告代理店に対してインターネット広告枠を提供。一部広告代理店に対してはDSPプラットフォームのOEM提供を行っている。

(会社側資料より)

 

◎主要プロダクト、サービス
広告主の自社サイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ、購買データなどのビッグデータを用いて、DSP「Red」、「FreakOut」による広告配信効果の最大化を追求している。

 

「Red」、「FreakOut」は広告主にとって有望な見込顧客にターゲティングするために、多様な配信手法を備えている。
具体的には、「知らない人(潜在層)」には知ってもらうための「オーディエンス拡張」等の配信手法を用いた潜在層ターゲティング、「既に知っている人(興味層)」には欲しいと思ってもらうための「キーワードマッチ」等の配信手法を用いた興味関心層ターゲティング、「欲しいと思った人(顕在層)」にはコンバージョン(購入、資料請求、会員登録など実際の行動)してもらうための「リターゲティング」等の配信手法を用いた顕在層ターゲティングを行い、消費者の行動プロセスに応じてターゲティングした広告配信を実施している。

 

プロダクト、サービス

概要

Red

生活者のインターネット利用シーンがPC からスマートフォンへ移行していることをふまえ、スマートフォン領域における広告効果の最大化を目指し、最先端の広告配信最適化技術の適用、優良な独自広告枠在庫の確保を実現したモバイル特化型のマーケティングプラットフォーム。2016年5月リリース。

(特徴)

◇ 最先端の独自機械学習エンジンを搭載

◇ 業界最大級、数百億インプレッション規模のモバイル・インフィード広告枠在庫の確保

◇ 月間 1,300 億インプレッションに及ぶ業界最大級のモバイル広告枠在庫の確保

 

モバイルメディア上で、広告主が効率的にターゲット顧客にリーチすることを可能にするプラットフォームを日本、東南アジア、中近東エリアなどグローバルに展開していく。

Red for Publishers

プレミアムメディア(大規模なトラフィックを有する媒体)や広告主を対象として、販売支援、オペレーション支援、開発支援、プロジェクト管理面から独自の広告プラットフォーム立ち上げを支援する技術および、それに付帯するサービスパッケージ。2017年9月リリース。

媒体社は広告配信による収益最大化を「Red for Publishers」に委ね、本来リソースを注ぐべきコンテンツの充実や集客に専念することが可能となる。

広告主も、優良な媒体社の広告枠へDSP「Red」が優先的に接続されることによって、従来からの「Red」の目的であった広告価値の最大化のさらなる追求が可能となる。

 

マネタイズとしてはDSPとしての売上に加え、プレミアムメディアから受領する「広告配信システム利用料」。後者は100%が粗利となるため収益貢献大。

Freakout

2010年、国内初のDSPとして開発された。ブランド認知促進から販売促進までさまざまな目的に利用されている。

Poets(ポエット)

コンテンツ UI と親和性の高い広告フォーマットを活用した、ユーザー体験を損なわずに広告体験を提供することができるプレミアムアドプラットフォーム。

ダイレクトレスポンスでの広告効果が最大限に期待できる、厳選されたメディアのみを保有しているため、広告主はコンテンツに馴染むフォーマットにより、目標 KPI に合わせた高い広告効果を得ることができる。また、媒体社に対しては、Red for Publishers の広告配信技術を活用し、高額買付けの広告主をマッチングする。

トレーディングデスクサービス

広告主のオンラインマーケティングにおける成果向上を目的としたサービス。

新たなマーケティング技術を活用したオンラインマーケティング戦略の立案から、高度化・複雑化する広告運用支援までを行っている。

 

② 投資事業
20年9月期より新設されたセグメント。従前より将来有望なベンチャー企業への投資を行い一定の成果を上げてきたが、安定的な収益基盤の拡大とそれに伴う企業価値の向上を図るため、投資事業部門を設立、投資活動を組織的に事業として行う。

 

③ その他の事業
持株会社体制への移行に伴い17年9月期より新設されたセグメント。国内外のグループにおける新規事業、及び経営管理が含まれる。

 

【1-5 グループ企業】

持株会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスの下、グループを形成している。
海外事業においてはFreakOut Pte.Ltd. (本社:シンガポール)をヘッドクォーターとして、ネイティブ広告プラットフォーム事業を中軸とするグローバル展開を推進してきた。
2015年に、東南アジア初のネイティブ広告プラットフォームをリリース以降、各国上位のメディアを中心に提携先を拡大してきた。18/9期には、アジア中心にグローバル16カ国にてサービスを提供。19/9期下期から米Playwireを子会社化し、英語圏に進出した。19/9期から20/9期に事業体制を見直し、再度成長フェーズに入ろうとしている。

 

【1-6 特長と強み】

前述のように、常に最適なユーザーに広告を配信し、最適な価格で入札を行うには、極めて高度なアルゴリズムを構築し、大量のデータを元に機械学習を繰り返すことでより「賢いAI(人工知能)」に磨き上げていく必要があるが、同社はその点で強力な競争優位性を有している。加えて、良質な広告掲載面を有している点も大きな強みとなっている。

 

① 最大級のデータ保有量
RTB技術を日本国内で初めて商用化したこともあり、データ保有量は国内最大規模となっている。
どんなに優れたAIを開発したとしても、大量のデータを使って機械学習を繰り返し行わないと実用的で効果の高いAIには成長しない。
「日本で一番スマートフォン所有者のことを知っている」同社は、全国6,000万人のモバイルユーザーのうち、5%、300万人の正確なデータがあれば、残り5,700万人の年齢や性別による思考、行動はほぼ正確に類推することが可能ということで、広告主に対し高い顧客満足度を提供している。

 

② 良質な広告掲載面を確保
一方、RTBの登場によってオープンな環境でのプラットフォームの「賢さ」が優位性である時期がある程度続くと、技術の格差・優劣が相対的に縮小し、特にモバイルの世界でどれだけ良質な掲載面を確保しているかという「掲載面の品質とその独占性」が再び有力な競争条件となってきた。

 

③ 優れたアルゴリズム構築に向けた積極的な投資
ターゲティング広告においては入札金額が高ければ落札はできる。売上規模拡大を目指す同社としては、できるだけ多くの広告枠を買いたいが、パフォーマンスが悪ければ広告主から評価されず、継続的な取引も難しくなってしまう。
そこで、高く買ったとしても結果としてはリーズナブルであったと判断してもらえるような結果を生むことが極めて重要である。
この課題に対し同社では「クリック率予測モデル」、「コンバージョン率予測モデル」を開発し、広告主に対する提案力を高めており、加えてこれらモデルの正確性を一段と向上させるために常に投資を行っている。
同社のデータ・サイエンスチームは日本の、特に中堅企業クラスではトップレベルの能力を有しているとのことで、積極的な投資の蓄積が継続的かつ高いパフォーマンスの提供に結び付いている。

 

④ 優秀な人材の獲得
インターン制度を積極的に活用し学生との接点を増やしているのに加え、広告がメイン事業ではあるが、今後は新規分野としてHR tech、Fintechといった幅広いフィールドで活躍できる可能性がある事、エンジニアとして業界でも著名な優秀なエンジニアと一緒に働くことが出来る事を魅力と感じているということだ。
また、チャレンジを最大に評価するインセンティブ制度も学生からの人気が高い要因の一つであると会社側は考えている。

【1-7 伊藤忠商事との資本業務提携】

18年12月には、伊藤忠商事との資本業務提携を発表した。
伊藤忠商事が保有する膨大な有形・無形のアセットと、同社のテクノロジー基盤をかけあわせることで、デジタルマーケティング領域における新規サービスの共同開発やアジアを中心とした海外事業の拡大など、広範囲にわたる提携を行う。

 

 

2.2021年9月期上期決算概要

(1)連結業績

 

20/9期 上期

構成比

21/9期 上期

構成比

前年同期比

売上高

13,588

100.0%

14,500

100.0%

+6.7%

売上総利益

3,248

23.9%

3,380

23.3%

+4.1%

販管費

2,978

21.9%

2,726

18.8%

-8.5%

営業利益

269

2.0%

653

4.5%

+142.8%

経常利益

266

2.0%

847

5.8%

+218.0%

EBITDA

488

3.6%

856

5.9%

+75.3%

四半期純利益

-86

821

5.7%

単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比6.7%の増収、EBITDAは75.3%増
21/9期上期の売上高は前年同期比6.7%増の145億円。
国内広告事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んでいた、物理的な移動を前提とするサービスに関連する売上が大幅に回復した。このほか、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業の一部である、動画・Connected TV領域の事業が順調に収益貢献した。海外においては、新型コロナウイルス感染症の影響が一部残ったが、年末の広告需要の反動や旧正月の影響もある中で、Playwireが対前年比で大きく成長し、業績を強く牽引した。このほか、中国・台湾を中心とする各海外拠点についても広告閑散期であるにもかかわらず、順調に収益貢献している。
EBIDAは前年同期比75.3%増の8.5億円。売上総利益率は前年同期から0.6p低下し23.3%となったものの、販管費が減少したこともあり、営業利益率は前年同期2.0%から4.5%へ向上、営業利益は前年同期比142.8%増の6.5億円となった。投資事業については新型コロナウイルス感染症の影響を比較的受けやすい投資先の有価証券について、一部減損を実施した。持分法適用会社ではIRIS社が黒字回復し再び収益貢献、為替差
益2.2億円の計上もあり経常利益は前年同期比218.0%増の8.4億円。関連会社株式売却益を計上したこと等もあり、四半期純損益は前年同期0.8億円の損失から8.2億円の利益に大きく改善した。

売上高・EBIDAの推移

(同社資料より)

 

「広告・マーケティング(国内)」が、中核子会社である株式会社フリークアウトを中心にかなり回復・再成長に向けて順調に進捗しており、売上高で32.2億円、EBITDAで3.5億円、売上に関しては過去最高、EBITDAベースでも、数年前の某取扱額Topメディアとの取引があった当時と比較しても遜色ない過去最高水準の数字で着地した。また、1月7日以降の緊急事態宣言の影響についても、概ね大きな影響はなく推移している。ターゲティングが5月以降難しくなっている影響がまだ読めない点はあるものの、動画・Connected TV領域を中心に中計の重点戦略は非常に順調に成果を出しつつある。
「広告・マーケティング(海外)」については、売上高38.3億円、EBITDAで1.4億円、前四半期比で見ると大幅に減少した。しかし、これは1Q(10-12月)が広告需要期であったことの反動や春節がある関係で、2Q(1-3月)に海外事業が苦戦することは通常の季節変動要因によるもので、当初から想定とおり。対前年度の四半期比でみると新型コロナウイルスの影響が一部拠点を除けば鎮静化してきたこともあり、非常に順調に売上・EBITDAともに推移しており、予算との対比でも大幅に超過となっている。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

20/9期 上期

構成比

21/9期 上期

構成比

前年同期比

広告・マーケティング事業

12,162

84.6%

14,469

95.3%

+19.1%

DMP事業

1,083

7.5%

投資事業

347

2.4%

その他

777

5.4%

707

4.7%

-9.0%

全社・消去

-781

-677

連結売上高

13,588

14,500

+6.7%

広告・マーケティング事業

443

3.6%

974

6.7%

+119.9%

DMP事業

29

2.8%

0

投資事業

172

49.8%

-68

その他

235

30.3%

223

31.5%

-5.3%

連結調整

-612

-476

連結営業利益

269

1.9%

653

4.3%

+142.8%

*単位:百万円
*営業利益の構成比は営業利益率

 

広告・マーケティング事業
売上高は前年同期比19.1%増の144.6億円、セグメント利益は同119.9%増の9.7億円、EBITDAは同78.4%増の11.4億円。
「Red」、「Red for Publishers」、ネイティブアドプラットフォーム及びトレーディングデスクの提供を行い、広告主の広告効果最大化及び媒体社の収益最大化に取り組んだ。物理的な人の移動を前提とするサービスに関連する売上が大幅に回復・成長したほか、中期経営計画のフォーカス領域である「プレミアム媒体支援」事業の一部である、動画・Connected領域の事業が順調に成長し、それに伴い「Red」についても順調に推移している。海外では、Playwireが強力に業績を牽引したほか、中国、台湾などの各拠点も収益貢献した。

 

投資事業
売上高はなく(前年同期は3.4億円)、セグメント損失0.6億円(前年同期は1.7億円の利益)、EBITDAは0.6億円のマイナス(前年同期は1.7億円のプラス)。
新型コロナウイルス感染症の影響を比較的受けやすい投資先の有価証券について、減損を実施した。

 

その他事業
売上高は前年同期比9.0%減の7億7百万円、セグメント利益は同5.3%減の2.2億円。EBITDAは同3.6%増の2.5億円。
その他事業では、国内外のグループにおける経営管理機能の提供をしている。M&Aによる投資先を中心とする海外拠点の拡大に伴う管理体制の強化、海外子会社からの配当金受領等を実施した。

 

社内予算対比での進捗
1Qに続き、予算を大幅に超過して極めて順調に進捗。

(同社資料より)

 

海外事業
・Playwireは売上・EBITDAともに前年同期比で大幅成長
・フリークアウト海外拠点は広告需要期の反動や春節の影響でEBITDAが赤字
・タイ現地法人の撤退を意思決定。今後、タイ市場はDigitiv/DotGFにリソース集中。

 

海外広告売上、EBITDAの内訳

(同社資料より)

 

合計値としては非常に順調に推移している。Playwireが非常に順調で、中国法人、台湾法人が春節の影響もある中で黒字を継続している。一方で、一部のフリークアウト海外拠点は2QにおいてはEBITDAベースで予算未達となっている。
当初から2Qは、1Qの反動や春節の影響で海外が苦戦することは見越していたが、当初予算と比較しても数字がビハインドしている拠点も発生している。その中でも、タイ法人については、政情不安などの外的な要因もあり単体での黒字が継続しないことから、M&Aしたタイ法人の子会社に事業を統合し経営を合理化、追加での撤退の意思決定をした。

 

販管費の推移

(同社資料より)

 

六本木の本社オフィスを一部返還したことによる家賃減の影響が生じている。また、人件費には、手当の一部見直しによる一過性のコストが0.3億円程度発生している。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年9月

21年3月

 

20年9月

21年3月

現預金

9,916

6,597

仕入債務

3,065

3,782

売上債権

4,340

5,257

短期有利子負債

7,854

3,385

流動資産

16,492

13,358

流動負債

12,275

8,919

有形固定資産

180

177

長期有利子負債

5,608

6,318

無形固定資産

2,302

2,278

負債合計

17,959

15,285

投資有価証券

4,635

5,482

純資産

6,356

6,733

投資その他

5,340

6,204

負債・純資産合計

24,316

22,018

固定資産

7,823

8,660

有利子負債合計

13,463

9,704

*単位:百万円
*有利子負債=借入金+リース債務

 

21/9期上期末の総資産は220.1億円となり、前期末比22.9億円減少した。これは主に、受取手形及び売掛金(売上債権)が9.1億円、連結子会社の持分法適用会社への異動等に伴い投資有価証券が8.4億円増加した一方で、1年以内償還予定の転換社債型新株予約権付社債の償還等により現預金が33.1億円減少したことによるもの。
負債は152.8億円となり、前期末比26.7億円減少した。これは主に、1年以内償還予定の転換社債型新株予約権付社債45億円を償還した一方で、買掛金が7.1億円、長期借入金が8.8億円増加したことによるもの。
純資産は67.3億円となり、前期末比3.7億円増加した。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加8.2億円の一方で、連結子会社持分法適用会社への異動等に伴い非支配株主持分が5.5億円減少したもの。
自己資本比率は、25.1%(前期末18.9%)となった。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

20/9期 上期

21/9期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

844

871

+26

+3.2%

投資キャッシュ・フロー

-1,356

-499

+857

フリー・キャッシュ・フロー

-512

372

+884

財務キャッシュ・フロー

338

-3,817

-4,155

現金及び現金同等物期末残高

5,485

6,597

+1,111

+20.3%

*単位:百万円

 

21/9期上期末の現金及び現金同等物は、前期末比11億11百万円増加し65億97百万円となった。
営業CFは、8億71百万円の流入(前年同期は8億44百万円の流入)となった。これは主に税金等調整前四半期純利益12億95百万円及び仕入債務の増加8億21百万円が発生した一方で、売上債権の増加11億15百万円が発生したもの。
投資CFは、4億99百万円の流出(前年同期は13億56百万円の流出)となった。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出5億17百万円によるもの。
財務CFは、38億17百万円の流出(前年同期は3億38百万円の流入)となった。これは主に、長期借入れによる収入13億78百万円が発生した一方で、社債の償還による支出45億が発生したもの。

 

3.2021年9月期業績見通し

(1)通期業績予想

 

20/9期 実績

構成比

21/9期 予想

構成比

前期比

売上高

24,878

100.0%

27,000

100.0%

+8.5%

営業利益

211

0.9%

200

0.7%

-5.4%

経常利益

-221

100

0.4%

EBITDA

510

2.0%

600

2.2%

+17.4

当期純利益

-669

未定

*単位:百万円

 

21/9期は8.5%増収、EBITDAは17.4%増の見通し
通期予想に修正はなく、21/9期は売上高が前期比8.5%増の270億円、経常利益は1億円(前期は2億21百万円の損失)、EBITDAは前期比17.4%増の6億円を計画する。
社内予算を大きく上回り推移したが、修正しなかった理由として、①Playwireの経営陣との合意による当初契約からの変更の関係で、3Q(10-12月)に費用が1億円程度発生すること(販管費又は特別損失)、②新型コロナウイルスの変異種によるネガティブな影響が、中国・台湾を除いたAPACの各拠点で発生する見込みがでてきたこと、③広告・マーケティング(国内)において、IDFAのオプトイン化による影響など、プライバシー関連の問題による今期業績への影響(既存のDSPへの影響)が現時点ではまだ読みきれないことが新たに加わった。このほか、従前からの不透明要因として、④「投資事業」において、新型コロナウイルスの影響を受けやすい一部銘柄において減損処理が必要となる可能性があること、⑤為替の動向による影響が読めないこと、⑥インティメート・マージャー社の株式売却と一体として締結したデリバティブ契約に係る損益については、今後の変動が読めないこと・・・などから、各段階利益の業績予想を修正するのは時期尚早と判断した。

 

(2)事業の進捗

◎国内広告事業の回復・再成長

 

●新型コロナウイルスの影響から脱し、過去最高の売上高を達成。

●特に影響が大きかったタクシーサイネージ及び位置情報マーケティングプラットフォーム(ASE)も過去最大の売上規模に。

(同社資料より)

 

新型コロナウイルスの影響が大きかった事業(上図赤)
グラフの下側の赤色部分が、新型コロナウイルスの影響を強く受けた箇所。このうち、特に影響を強く受けていたタクシーサイネージに関する売上が概ね半分程度だが、ここについてはほぼ新型コロナウイルス前の水準に回復している。ポテンシャルとしてはまだ伸びる余地があるものの、ある程度天井も見えてきているので、今後安定的な収益源としては期待できる一方で、そこから次のステップアップをどう果たしていくのが次の課題となる。
また、赤色部分にASEが含まれている。ここについては、足元非常に順調に推移しているが、プライバシーを巡る諸問題が今後影響してくる部分になる。

 

新型コロナウイルスの影響が軽微であった事業(上図青)
一方で、青色の新型コロナウイルスの影響をあまり受けていない事業は、内訳として、大きくDSP、プレミアム媒体支援(Red for Publishers)、ネイティブアドネットワークのPoetsにより構成されている。合計として見た場合、2Q(1-3月)は前年期比、1Q(10-12月)比で大きく伸びた。ポジティブなこととしては動画・Connected TV領域の成長、ネガティブなこととしてPoetsの苦戦が挙げられる。

 

◎国内広告事業の回復・再成長(DSP・動画・Connected TV)

 

●DSP売上は動画・Connected TV領域の成長にともない、前年同期比122%の成長。

●前四半期に急伸した動画広告比率も約20%と引き続き伸長し、収益に大きく貢献。

(同社資料より)

 

前期から今1Qにかけて一気に伸びたDSP-動画広告の領域が、この2Qに大幅に成長している。特に3月が広告需要期ということもあるが、季節変動を差し引いても明確に成長している領域。中計でも注力ポイントでもあり、ターゲティングに強く依拠しない優良な動画広告枠に関する売上が今後の国内事業の成長ドライバーになる。
◎ターゲティングに強く依拠しないビジネスモデルの強化

 

●優良メディアにおける1st party data活用で広告配信を強化。

●Unified ID 2.0への参加。他のソリューション・技術も随時対応を検討。

(同社資料より)

 

同社は中計における成長戦略の重要な要素として「ターゲティングに強く依拠しないビジネスモデルの強化」を掲げている。これは、中長期でみれば広告予算のシフトを通じて成長に繋がるものの、ごく短期で見た場合に売上を減少させる要因となる。DSPはそもそも、「広告主にとって、出稿先のメディアの広告面での価値だけでなく、そのメディアのオーディエンス(閲覧者、視聴者)の属性に着目すると広告在庫に大きな付加価値がつく」という、広告主・メディア双方にとって効果的効率的に広告を配信して収益(広告効果)を最大化するという観点から、成立・成長してきた領域。今回の規制については、アドテク産業にとってはそれなりに影響がある事象。
同社としてはその対策を大きく2つに分けて考えている。第1の対策はプレミアムメディアへのフォーカス。第2には、今回の規制強化に真正面から向き合い、プライバシーに配慮した正しい作法での対応。これら対策を打つことで、中長期で同社のプロダクトへの広告予算の転換が進む起爆剤にしていく考え。

 

◎フリークアウト海外拠点の収益化

 

●売上は前年同期比で110%成長するも、広告閑散期のためEBITDAは赤字で着地。

●中国、台湾、マレーシアは好調に推移するも、新型コロナの影響でインドネシアが苦戦。

●タイは収益貢献が困難と判断し撤退を決定。今後、タイ市場はDigitiv/Dot GFにリソース集中。

(同社資料より)

 

2Qは多くの国で広告の閑散期にあたり、全体の数値では再度赤字となった。ある程度想定していた範囲だったが、新型コロナウイルスの影響が大きい顧客を多く持っているインドネシアが特に厳しい状況。引き続き、影響は続くと思われるが、他の業種への獲得に向けて動いていたこともあり、3Q以降は徐々に回復していくと想定している。
1Qから好調に推移しているのが中国と台湾。新型コロナウイルスの抑制に成功をしている国ということもあり、順調に収益貢献と成長をしている。今後もこの2カ国を中心として成長させる方針。また、マレーシアが1Qに続いて閑散期の中でも黒字で着地した。一方、1Qから赤字が継続しているタイ法人については、2Qに法人清算の意思決定を行った。今後については、収益化に向けてM&Aによりグループ入りしたタイ法人のDigitiv/ Dot GF社に事業を統合していくことで、グループ全体としては引き続きタイマーケットでのビジネスを継続しつつ、合理化を進めていくという方針。

 

◎タクシーサイネージ事業(IRIS)の回復・再成長

 

●3月は過去最高の売上・利益を達成。四半期ベースでは概ねコロナ以前の水準まで回復。

●日本気象協会と共同で、気象情報コンテンツと連携した新広告メニューの提供を開始。

●TVアニメ『オッドタクシー』とコラボしたシートベルト啓蒙動画の放映開始。

(同社資料より)

 

1Qで回復傾向にあったTokyo Primeは、2Qでも新型コロナウイルスによる影響はあったものの順調に成長している。特に広告需要期の3月度では過去最高の売上高を達成した。また、商材の特徴として台数の増加数に限りがあり既存事業での売上の天井もあるので、新たな収益源が必要になる。新メニューの開発によって今後の売上高の最大化を図る。今後も新しい広告商品の展開などを積極的に打ち出す方針。3Qは、例年広告の閑散期に入るため一時的には売上は減少する見込みだが、台数の増加と新メニューによって今後も成長していくと想定している。

 

◎海外グループ事業の状況

 

●[米国] Playwire好調で計画を上回る売上・EBITDA。人員体制強化も順調に進捗。

●[APAC]売上・EBITDAともほぼ計画通り。(2Qは広告閑散期)

(同社資料より)

 

Playwire
2Qは、売上高23.2億円、EBITDAが1.7億円で着地。最大の需要期である1Qからは減少したが、当社想定予算を大きく上回る水準で着地した。Publisher開拓やMobileアプリ面の技術強化等を目的として、総勢20名から30名の追加採用を計画している。3月末までに12名、4月に8名の入社は完了。2Qは段階的にコストが増加しつつあるが、計画を上回る売上により、利益面でも予算を上回る順調な着地となっている。
adGeek
台湾の広告市場は11月が需要のピークであり、年明けから2月の春節までは比較的広告閑散期である為、2Qは大きく落ちている。社内予算でも2Qはそれほど強く見ていなかったため、ほぼ計画通りの着地。上期で見ると1Qに予算を大幅超過した分の貯金があり、引き続き基礎収益力の強化に取り組むことで、通期でもしっかりと予算を超過させる考え。
DigitivDot GF
経済状況と新型コロナウイルスの影響により、タイでは先行き不透明感があり、ブランド予算やクリエイティブ案件は引き続き抑制傾向にあるが、積極的な営業活動を継続しニーズに対応して顧客と売上を確保している。また、元々の同社自社拠点は清算して、今後はDigitiv社、Dot GF社をグループのタイ拠点として効率的な運営を行う方針。
Thrive
新型コロナウイルスの影響もあり新しい広告プロダクトの立上げは時間をかけ進めている。一方、既存顧客からのオンラインメディア広告や技術力を評価された開発プロジェクトの受注が業績を改善させている。
SilverPush
広告需要期である1Qに比較すると2Qは全体的に低い数字だが、日本ではトライアルを含め初期案件を多く受注し実施。

 

米国におけるアドテク領域の成長と再評価

●米国におけるデジタル広告は全広告媒体支出の6割を超え、更に高成長を持続(21年は25%成長)。

●従来型TVからのシフトでConnected TV広告が大きく成長。

●米国アドテク企業の評価上昇(同分野の上場企業時価総額が高騰、IPOやM&Aも活発に)。

(同社資料より)
米国デジタル広告市場は新型コロナウイルスの影響で2020年2Q(4-6月)は前年比減少となったが、3Q(7-9月)には10%以上の増加に転じ、4Q(10-12月)は30%近い増加となった。ソーシャルメディア、動画広告、プログラマティック広告が大きく増加している。
従来型のTV広告から、きめ細かいターゲットや運用が可能なConnected TV(CTV)やオーバーザトップ(OTT)動画への広告予算のシフトは大きなトレンドとなっている。特にConnected TVはテレビという「デバイスの価値」がインターネット由来のコンテンツによって再評価され、そこにインターネットベースのきめ細かい広告配信を行っていくもので、米国では今後大きく成長が見込まれる領域として認識されて来ている。
米国の株式市場を見ても、ハイテク株全体が好調の中でも、4月末迄の約1年、アドテク企業の株価が非常に高く評価され上昇している。やや過熱感からか、直近に下降の動きもあり、ボラティリティの高さは注意して見る必要はあるが、それだけ成長期待の高い業界。新規上場やM&Aも活発になっており、今年に入ってから評価価値が10億$(1千億円強)を超える案件だけで7件が報じられている。
◎Playwire事業内容

●複雑化するデジタル広告技術/機能を一元的にプラットフォームとして提供。デジタルメディアの広告収益最大化を支援。

●機械学習による予測+人間の洞察力で広告収益を最適化する独自技術「Revenue Intelligence®」を活用。純広告とプログラマティック広告を組み合わせ、収益を最大化。

(同社資料より)

 

その米国のアドテク市場で業績を伸ばしているPlaywireは2007年に創業し、フロリダ州Boca Ratonに本社を構える企業。同社が19年1月に75%の持分を取得した。事業としては、デジタルメディア企業に対し、その収益を最大化する為の機能と技術をプラットフォームとして提供するというもの。デジタル広告の技術は進化し続けており、非常に複雑化している。Googleを始めとする各社のリアルタイム取引手法の変化に対応、また欧州のGDPRやカリフォルニア州のCCPA等の個人情報保護への対応を含めたデータの取扱の適切性の確保、配信される広告への視認性の担保、不適切な広告や不正の排除、遅延を発生させない配信技術等、これら全てをプラットフォームで提供する事で、メディア企業は技術的な設備投資や人的体制の構築が不要となる。またその広告枠の販売までを独占的に一手に引き受ける事で、メディア企業は本業として自社のコンテンツの充実に、集中する事が出来る。
プレミアムな広告枠は人的営業による直接販売で、また参加出来るメディア企業と広告主を限定したプレミアム広告枠のクローズなネットワークでのリアルタイムPMP取引、さらには大量の広告枠を瞬時に取引出来るOpen RTB取引といった取引形態に対応し、取引単価を向上させ、広告収益を拡大させる。RTBの取引では、20を超えるSSPやアドネットワークを自在に駆使して収益を最大化する事が可能。取引情報を基に機械学習による予測と人間の洞察力を合わせて収益を最適化する技術も開発している。

 

◎Playwire動画広告での強み

●動画技術に関する長年の経験とノウハウ。独自の動画関連ソリューションを提供(動画運用プラットフォーム(OVP)、文脈に合うオリジナル動画を提供する「Trendi」等)。

●動画広告売上比率は約40%(米国の動画広告市場はデジタル広告市場全体の約20%)。拡大を続けるOTT/Connected TV分野にも積極的に取り組み中。

(同社資料より)

 

Playwireの強みとして、創業初期よりPCゲーム内広告用の動画プレイヤを提供するなど動画技術において長年の経験と専門性を持っていることが挙げられる。そして今後も成長が期待される動画広告の売上構成は約40%と高い比率となっている。米国デジタル広告全体では動画広告は約20%の構成比で日本も同様のため、動画広告にも強いと言える。国内広告事業においても、動画・Connected TV領域には注力しているが、Playwireもこの会社の持つ技術的な強みを活かしOTT/CTV分野には積極的に取り組んでいる。

 

◎競争優位性と今後の成長戦略

●インテリジェントでハイブリッド(機械学習+ヒト)な広告収益最大化プラットフォーム。

●メディアの増収実績の積み重ねによるネットワーク効果。広告枠の独占管理による安心・安全な広告の実現で、メディア・広告主双方から高い信頼を獲得。

●得意領域(キッズ、エンタメ、ゲーム)で培ってきた強みを活かし、メディアカテゴリ(ニュース、スポーツ等)、チャネル(アプリ、OTT等)の両面で拡大を図る。

(同社資料より)

 

Playwireのこれまでの長年に渡る広告主や代理店との関係、適切な広告枠への広告配信を実現する信頼感により、新たに取扱うメディアも、プレミアム枠はブランド予算の恩恵を受ける事が可能。また大量の広告枠も、複数の多様なネットワークを駆使して効果的に販売する事が出来、売上が大きく拡大する。単一ネットワークに依拠せず最新且つ多数のアドテクのメリットを享受できるインテリジェントな、そして人の能力を活かすハイブリッドな、収益を増幅するプラットフォームがPlaywireの強み。
そして契約メディアの広告枠を独占的に管理し、安心、安全な広告を可能とする技術と運用が、メディアと広告主の双方から信頼を得ている。メディアのコンテンツは品質を保証するために精査され、継続的に最適化されている。ユーザーエクスペリエンスを損なうことなく広告の視認性を確保して、透明性を持った分析データを提供する。
キッズ分野ではChildren's Online Privacy Protection Act(COPPA)という米国で2000年4月から施行されたキッズ向けサイトの規制への対応が必要。Playwireは技術に加え人間によるレビューを通じて、すべての広告とサイト全体がCOPPAに準拠し、ブランドと子供にとっての安全性を保証する。
メディア企業と広告主の経験による満足度が、新たなメディア獲得に繋がっている。Playwireによる独占メディアの獲得は、広告主や代理店にとっても安心して広告を出せる場所の確保に繋がる。相乗的なネットワーク効果により、成長が加速している状況。この強みを活かして、スマホアプリ面やOTT/CTVなどの広告面に対応を進めて行く事、またこれまでの得意領域であるキッズ、エンタメ、ゲームといったカテゴリから、ニュース、スポーツ、トラベル、フード、自動車等の新たなカテゴリの開拓を強化して、売上規模を拡大して行く計画。その為に、モバイルAPPに対応するエンジニア体制、メディア・パブリッシャー企業の開拓をするビジネス開発体制、及び安定した運営のための人員体制を強化している。
Playwireが極めて順調に成長していることもあり、結果を出しているマネジメントチームに当初計画よりも長期に経営を委ねることになった。その方針変更に伴う諸々の費用として1億円弱のコストが3Qに発生する見込み。ただし、想定の予算を大きく上回る業績となっており、十分吸収可能。Playwireは同社にとって最重要の戦略子会社であり、米国でのプレゼンスを確保して同社グループとして北米・英語圏でのビジネス強化、日本を含めたアジアでの共同展開等、中長期にシナジーを追求する。

 

4.新・中期計画の概要

(1)中期計画概要

◎中期計画(21/9期~23/9期) 基本方針

「前・中期経営戦略の延長戦」・・・未達に終わった前中計の目標にあらためて挑む。

前中計を仕込みの期間と位置づけ、新中計では収益化・地盤固めの期間とする。

(同社資料より)

 

前・中計でしっかり結果を出せた事業に対し、更なるフォーカスを行う。これらに対し更なる経営資源の投下を行い、組織もこれに向けて一新する。それによって更に事業を伸ばしていくことと、また新たな投資についてはその周辺領域にフォーカスして行われる。

 

◎中期計画 サマリ

(同社資料より)

 

定量面では、23/9期のEBITDAの計画を、30億円と設定した。前・中計で未達となった目標を改めて目指す。20/9期でもすでにそれなりのインパクトを出していた投資事業からの利益は、引き続き上乗せ要因として期待はしているものの、時期が読みづらいことから計画には含めず、事業収益のみから発生する利益計画とした。
定性面では、前中計で伸ばせた広告・FinTech領域へ、海外も米国を始めとしてすでに順調に成長している地域へさらにフォーカスする方針。そしてグループ経営面では、このようにフォーカスエリアも定まったことから、個別最適のフェーズから全体最適の方向へ移行する。具体的には、グローバル企業運営に求められる、国をまたいだシナジー創出や、人やお金の行き来の効率性を高めて経営の最適化を行い、結果としてグループ全体の収益力を高めていくことを目指す。

 

◎定量計画

(同社資料より)

 

21/9期については、20/9期と比較して収益水準はほぼ横ばいと置いている。これは、Playwireにおける人員増を中心とした投資を検討しているため。成長スピードが極めて速く、北米を中心とする英語圏という巨大なマーケットで完全に勝ち筋が見えているPlaywireの収益を23/9期に最大化するため、もう一段、ヒトを中心とした投資を実行する。この成長投資を継続しつつ、一方で有価証券売却による収益に依存することなく全体として、21/9期はしっかりと収益化させるというターゲットを想定している。
22/9期については、21/9期の成長性と23/9期の目標数値達成度合を見ながら、順調であればやや投資を抑制することもありうる。ビハインドが生じそうであれば利益の状況を見つつ、追加で必要な投資を必要な事業に行っていくなど、調整弁となる期を想定している。また、順調であれば22/9期の後半から23/9期にかけて、SilverPushやカンム、Jentといった新しいグループ会社の連結開始を狙っていく。そのため、EBITDA30億円に向けた道筋としては、21/9期から22/9期にかけては微増程度、23/9期に向けて非連続的に収益が伸びていくといった成長曲線のストーリーを予定している。

 

◎定性計画 – フォーカス戦略 全体概要

 

ターゲティングデータ偏重ビジネスからの脱却

プライバシー保護に対する意識の高まりや、プラットフォーマーの方針により、例えば「リターゲティングで品質の低い媒体を高く売る」ことが難しくなるなど、ユーザーデータを使ったターゲティング広告は今後ますますやりづらくなってくる。
このような状況下、これからの広告事業者は、どのような方針でどれだけの準備ができているか?が問われている。

(同社資料より)

 

同社が10年前の創業以来続けている、主力事業であるDSP事業の根幹をなすのは、「ユーザーデータを活用したターゲティング技術」であることに疑いの余地はない。しかし、広告事業者はこれまでの「ユーザーデータ偏重ビジネスからの脱却」が迫られており、この問題に対する具体的な解決策をどれだけ持っているかが問われているのが現状。プライバシー保護に対する意識の高まりや、プラットフォーマーの方針により、ユーザーデータを使ったターゲティング広告は今後ますますやりづらくなってくる。
今後広告会社がユーザーデータを活用しにくくなる流れの中で、同社が中計に向けて定めたスローガンは「Focus on the good stuff.」つまり、ユーザーデータに頼りすぎず、今までやってきた通りに、高いモラルをもって、よいものを扱っていくことに集中していこうという考えを海外の子会社を含むグループ全体で共有する。この考えに基づき、主力事業である広告事業において、「ユーザーデータ依存から離れて、プレミアムなものを扱う」ことにフォーカスする戦略で、①プレミアム媒体支援、②動画広告技術、③デジタルサイネージ、④次世代チャットの4つを掲げた。

 

◎定性計画 – グローバル戦略

 

米国事業及びAPAC事業の収益力拡大にフォーカス

動画広告プロダクト(SilverPush)のグローバル展開

(同社資料より)

 

フリークアウトの企業理念である「人に人らしい仕事を。」、これをグローバルで実現する事をミッションとする。各海外グループ会社について、23年にはそれぞれが明確な付加価値と強みを確立し、収益力を確保し、各国で存在感を獲得している姿を目指す。各社がしっかりと収益を確保した上で、各社間での提携・シナジー創出が本格的に推進できるようになるという考えに従って23年までの新・中計期間は、まず各事業の収益拡大にフォーカスする。グループ会社の中でも特に米国のPlaywire社はメディア向けの収益化支援事業が好業績となっており、今後さらなる成長のチャンスがあると考え、可能な限りリソースを大胆に投入し、体制を拡充して、収益を拡大させる方針。また、NasdaqへのIPOも視野に入れて進めたい考え。今後同社がプロダクトカンパニーとしてグローバル市場で高い競争力を持って展開していくためにも、Playwireを足がかりに米国市場でプレゼンスを獲得して行く考え。新・中計において、米国事業は非常に重要。
APAC事業は、台湾のadGeek社、タイのdigitiv社、dotgf社など各社のコアコンピタンス確立と基礎収益力の拡大を進める。さらに動画解析・広告技術を持つSilverPushとの協業を深化させる。

 

◎定性計画 – グループマネジメント戦略

 

「グループ力」の強化

グループとしての全体最適をより意識した経営により、グループ全体の価値向上を目指す。

成長領域への投資余力を高めるため、よりキャッシュ・フローを重視し、改善・安定化に努める。

(同社資料より)
特に優秀な人材のグループ内ローテーションや、定量面・定性面双方に渡るグループ会社の損益管理、シナジーの構築などを目指して、組織体制も大きく変更する。
また、グループ内に上場企業も出てきたことで、今後はコア事業への集中投資を可能にするため、非コアの事業については積極的に売却を進めていく。第一弾として、2020年11月にインティメート・マージャー社の株式売却を実施した。なお、これは売却する事業の成長性を否定するものではない。成長確度が極めて高い領域に集中的に投資するため、換金可能性が高く、安定稼働に入ってきた資産について優先順位を見定めてしっかり売却していこうという意志を反映したもの。

 

5.今後の注目点

中期計画初年度となる21/9期は1Qからロケットスタート。2Qについては、海外が閑散期となったため勢いは衰えたものの1Qの流れを継承した実績といえるだろう。1Qは米国を主軸とした海外の躍進、対して2Qは国内の回復から成長への軌道が見てとれた。2Q累計の各利益は通期の会社予想を上回っており、上方修正はなかったものの予想を大きく上回るのは必至。大きく躍進したにもかかわらず、タイの事業などには改善余地も残されている。最先端技術を擁し世界の広告市場に対峙しながらも売上は300億円規模にとどまっており、特に海外における同社の成長余力を鑑みると「未完の大器」といった印象を受ける。短期的には、特にPlaywireの動向に注目したい。2Qの売上は1Q比では減収だが、前2Qとの比較では倍増しており、下期の売上成長が楽しみである。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2021年1月14日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の効率化を図ると同時に、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めていくことが長期的に企業価値を向上させていくと考えており、それによって、株主をはじめとした多くのステークホルダーへの利益還元ができると考えております。経営の健全性、透明性及びコンプライアンスを高めるために、コーポレート・ガバナンスの充実を図りながら、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織体制を構築することが重要な課題であると位置付け、会社の所有者たる株主の視点を踏まえた効率的な経営を行っております。

 

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記述している。

 

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