(2435)株式会社シダー M&Aを絡めながら大規模化の積極展開が進むと予想

2020/03/05
 

山崎 嘉忠

会長

 

座小田 孝安

社長

株式会社シダー(2435)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

会長

山崎 嘉忠

社長

座小田 孝安

所在地

福岡県北九州市小倉北区大畠 1-7-19

決算月

3月末日

HP

http://www.cedar-web.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

220円

11,475,863株

2,525百万円

1.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.00円

0.9%

4.07円

54.1倍

94.16円

2.3倍

*株価は1/17終値。発行済株式数は、直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除し株式分割を反映。
ROE・BPSは19年3月期実績、EPSは20年3月期予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

11,731

335

70

9

0.82

0.00

2017年3月(実)

12,733

145

-136

-137

0.00

2018年3月(実)

13,861

535

250

224

19.52

4.00

2019年3月(実)

14,258

494

218

16

1.43

2.00

2020年3月(予)

14,903

464

139

46

4.07

2.00

*予想は会社予想。

 

シダーの2020年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期上期決算
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/3期上期は4.1%増収、経常損失31百万円(前年同期は1億3百万円の利益)。既存施設では稼働率が堅調、新規オープンもあり増収。利益面では、人件費の増加を主因に売上原価が増加、税務調査による消費税等の追加計上や業務拡大に伴う管理部門の強化等により営業利益は前年同期比.51.0%減となった。
  • 通期予想は修正なく20/3期は4.5%増収、36.1%経常減益を計画する。固定資産の譲渡により4Q(1~3月)に特別利益1億23百万円を計上する見通し。加えて税務調査による消費税等の追加計上が期初の見通しからの変動要因となっているが、現在精査中であるとしている。配当については、2.0円の期末配当を予定している。
  • 本業は着実に推移しているものの、税務調査による消費税等の不足額の追加計上による影響が大きく減益となった。この要因を除くと営業利益は微減であったと推測される。様々な課題を抱える業界では大規模化が推奨されており、既に大手である同社もM&Aを絡めながら積極展開が進みそう。引き続きスケールメリットを活かした人材確保や社員のスキルアップにも期待したい。

1.会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針とする。総勢600名近くに及ぶ職員資格者を有しており、介護サービス事業者の中では出色。

 

【沿革】

前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期、19/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。

 

 

【事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】

同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

 

同社の介護事業の考え方
リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

 

(同社ホームページより)

 

【事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。19/3期の売上構成比は、それぞれ23.4%、67.4%、5.7%。また、16/3期よりその他事業として、要介護要支援認定者などに対し、福祉用具のレンタル及び販売を行っている(19/3期の売上構成比は3.5%)。
2019年10月31日現在、109拠点で展開している。

 

同社資料より)

 

介護ニーズの高まりに応え、事業所数は伸び続けている。

 

同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

デイサービス事業
デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備の施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっており、リハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。

 

専門スタッフによるリハビリテーション
同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

 

選択できる多彩なサービス
豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等に設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。

 

 

施設サービス事業
有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して任せ預ける体制が整っている。
1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。
充実のリハビリテーション
「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。
自分好みに部屋をコーディネート
「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。
仲間との楽しいひと時
フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。
美味しく栄養豊富な食事
看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。
季節の催し
季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。

 

施設サービス事業は同社の収益を支える屋台骨となっている。入居率は19年10月現在96.2%。3月に有料老人ホーム「靎見の鄕(つるみのさと)」の新規開設し下したが、再び伸びている。尚、「靎見の鄕」を除くと98.0%と極めて高稼働。

 

 

 

在宅サービス事業
「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。
自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション
医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。
日常生活を支えるホームヘルプサービス
ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。
最適なケアプラン作成
介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

 

介護報酬改定の影響
18年4月より介護報酬が改定となった。同社ではデイサービス事業で影響を受けた。

 

(同社資料より)

 

効率運営が行われているとして大規模型が大きく引き下げられた。同社のデイサービスでは大規模Ⅱが11事業所、大規模Ⅰが9事業所、通常規模が9事業所、認知症型が3事業所(19年10月現在)あり、大規模のデイサービスが過半を占めており、平均利用単価が減少する。今後は要介護の利用回数増加を図り、平均利用単価アップに注力する。

 

同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

【介護をめぐる課題と展望】

(1)2040年に向けての社会保障・介護保険の動向
2040年問題
2040年から団塊ジュニア世代が65歳に達し始め、労働人口が大幅な減少となる。2012年の社会保障税一体改革は、2025年における社会保障制度の持続可能性を高めるもので、これまで2040年を見据えた議論は進んでいない。
2018年5月の経済財政諮問会議は、ようやく2040年を視野に入れた議論を始めたといえる。しかし、現在の推計には多くの留意が必要であり、2040年の社会保障費約190兆円は過少推計である可能性が高い。
現在、医療・福祉分野で全労働者の13%が働いているが、高齢者が増加する2040年には18%が働く必要がある。

 

(全世代型社会保障検討会資料)

 

増加する社会保障費の抑制
○認知症施策の総合的な推進
○地域支援事業の更なる推進
○介護人材の確保・介護現場の革新
○科学的介護の推進
○介護サービス基盤と高齢者向け住まい
○介護の経営の大規模化・協働化

労働人口が減少していく中、介護の質の向上やインセンティブが求められる。
その為、更なる人材確保や介護の質の向上、介護現場におけるICTの利用促進等が推奨される

 

介護職員賃金改善
○特定処遇改善加算導入目的⇒「まんじゅう型」から「富士山型」への転換

○専門性が高い人材にはより良い賃金改善を行う
○元気高齢者等を介護助手としてすそ野を拡大する

 

介護の経営の大規模化・協働化
小・零細規模の事業者を中心に、経営が軌道に乗らず破たんするケースが目立つ
人手不足や高齢化に加え、大手や中堅事業者との競合で、資金力の乏しい小規模事業者の脱落が増えている
「老人福祉・介護事業」の倒産増加は、サービスを受ける要介護者が不利益を受けるケースが増える

○今後、人材確保、賃金改善やICTの導入等企業に資金力が求められる
○その為、事業所の大規模化・協働化により倒産リスクの軽減を図る傾向がでてきている

社会福祉法人にも経営基盤強化、合併大規模化を推奨

 

同社の取り組み
〇事業拡大
・今後も特定施設の公募があれば、積極的に応募予定
・M&Aも検討する
〇既存施設の営業強化
・ケアプランセンター増設を行い、デイサービスセンターとの連携を図る

 

(2)働き方改革関連法案について
時間外労働の上限規制
○時間外労働削減へと取組強化
2018年10月総残業時間:約32,000時間⇒2019年10月総残業時間:約29,000時間
昨年同時期との比較で約3,000時間/月の削減

 

年次有給休暇の時季指定
〇有給休暇が取得しやすい職場環境整備
〇就業システムの入替を行い、有給休暇取得状況の管理強化を行う

 

同一労働同一賃金
〇就業規則・社内規定の再整備
〇契約社員から正社員へ雇用転換

労働条件整備を行い、正規雇用と非正規雇用を明確に分ける

 

同社の取り組み
○介護職員の確保と定着
・業務見直しや残業時間平準化を更に推進し労働環境改善に取り組む
・特定処遇改善加算を取得、賃金改善を図る
〇外国人雇用
・国内の労働力減少を見据えて、外国人技能実習生受入継続
・新たな在留資格『特定技能』を利用した受入も検討
・外国語マニュアル、規定整備の推進

 

2.2020年3月期上期決算

(1)連結業績

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

8月予想

予想比

売上高

7,097

100.0%

7,387

100.0%

+4.1%

7,351

+0.5%

売上総利益

819

11.5%

829

11.2%

+1.2%

販管費

574

8.1%

709

9.6%

+23.5%

営業利益

244

3.4%

119

1.6%

-51.0%

60

+98.3%

経常利益

103

1.5%

-31

-92

親会社株主に帰属する四半期純利益

50

0.7%

-57

-106

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

 

前年同期比4.1%の増収、31百万円の経常損失
売上高は前年同期比4.1%増の73億87百万円。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。また、デイサービス施設1施設及びケアプランセンター3施設を新規開設し、積極的な施設展開を図ってきた。既存店は高稼働率を維持し、3月にオープンした横浜市の「靎見の鄕(つるみのさと)」も利用者獲得は順調、いずれの事業も増収となった。
営業利益は前年同期比51.0%減の1億19百万円。利益面では、介護人材の直接雇用増に伴う人件費の増加を主因に売上原価が増加、売上総利益は前年同期11.5%から11.2%に低下した。また、税務調査による消費税等の追加計上や業務拡大に伴う管理部門の強化等により販管費率が8.1%から9.6%に増加した。税務調査による消費税追加計上の影響が1億1百万円の減益要因となっている。また給食・介護人材等の人件費増は2億7百万円の減益要因となり、うち施設サービス事業が1億17百万円を占める。営業外では支払利息の増加などがあり、経常損失は31百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失は57百万円となった。尚、消費税等の追加計上に伴い、8月に修正をしたが、修正後の予想を売上高・各利益とも上回った。
介護サービス業界では、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し需要は更に高まっている。その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界においても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっている。それらを改善するために、業界では、介護事業に従事することが社会において魅力があり、生きがいを持てる環境造りが求められている。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

デイサービス事業

1,730

23.7%

1,785

23.2%

+3.2%

施設サービス事業

4,917

67.4%

5,110

66.4%

+3.9%

在宅サービス事業

414

5.7%

454

5.9%

+9.8%

その他

231

3.2%

346

4.5%

+49.8%

全社・消去

-196

-309

連結売上高

7,097

100.0%

7,387

100.0%

+4.1%

デイサービス事業

173

23.0%

188

24.7%

+8.6%

施設サービス事業

600

79.9%

565

74.2%

-6.0%

在宅サービス事業

-51

-32

その他

29

3.9%

40

5.3%

+37.9%

連結調整

-507

-642

連結営業利益

244

100.0%

119

100.0%

-51.0%

*単位:百万円

 

 

デイサービス事業
売上高は前年同期比3.2%増の17億85百万円、セグメント利益は同8.6%増の1億88百万円。5月16日に熊本市東区に「あおぞらの里 西原デイサービスセンター」を新規施設した。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてきた。既存施設の稼働率向上で46百万円、新規施設の売上増は9百万円の増収要因。

 

施設サービス事業
売上高は前年同期比3.9%増の51億10百万円、セグメント利益は同6.0%減の5億65百万円。既存有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めた。既存施設の稼働率向上で1億7百万円、新規施設の売上増で85百万円の増収要因。

 

在宅サービス事業
売上高は前年同期比9.8%増の4億54百万円、セグメント損失は32百万円(前年同期は51百万円の損失)。利益率の改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力した。訪問看護件数が増加した。

 

(3)財政状態・CF

財政状態

19年3月

19年9月

19年3月

19年9月

現預金

811

690

仕入債務

208

204

売上債権

2,333

2,493

短期有利子負債

3,530

3,681

流動資産

3,355

3,380

長期有利子負債

10,666

10,451

有形固定資産

12,256

12,086

負債

17,235

17,233

無形固定資産

56

48

純資産

1,080

1,001

投資その他

2,648

2,719

負債・純資産合計

18,316

18,234

固定資産

14,961

14,854

有利子負債合計

14,196

14,132

*単位:百万円
* 有利子負債=借入金+リース債務(長期のみ)

 

上期末の流動資産は前期末比24百万円増加し33億80百万円となった。この主な要因は、現預金が1億20百万円減少し、売掛金が1億60百万円増加したことによるもの。固定資産は前期末比1億6百万円減少し148億54百万円となった。この主な要因は、有料老人ホーム及びデイサービス施設の建物及び構築物が24百万円増加し、リース資産が1億23百万円減少したことによるもの。流動負債は前期末比84百万円増加し、53億10百万円となった。この主な要因は、短期借入金が95百万円増加したことによるもの。固定負債は前期末比87百万円減少し、119億22百万円となった。この主な要因は、長期借入金が1億21百万円増加したことによるもの。純資産は前期末比79百万円減少し10億1百万円となった。この主な要因は、利益剰余金が80百万円減少したことによるもの。
これらの結果、上期末の総資産は前期末比81百万円減少し、182億34百万円となった。
自己資本比率は5.5%(前期末5.9%)となった。

 

キャッシュ・フロー

19/3期 上期

20/3期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

+386

+88

-298

-77.2%

投資キャッシュ・フロー

-158

-127

+31

フリー・キャッシュ・フロー

+228

-39

-267

財務キャッシュ・フロー

-443

-82

+361

現金及び現金同等物上期末残高

+646

+690

+44

+6.8%

*単位:百万円

 

上期末の現金及び現金同等物は、前期末比1億20百万円減少して6億90百万円となった。
営業CFは前年同期比2億98百万円収入が減少し88百万円の収入となった。その主な内訳は、収入要因として減価償却費3億16百万円、支出要因として、税金等調整前四半期純損失31百万円、売上債権の増加額1億60百万円があった。
投資CFは前年同期比31百万円支出が減少し、1億27百万円の支出となった。その主な内訳は、支出要因として、有形固定資産の取得による支出1億40百万円、預り保証金の返還による支出42百万円、収入要因として、預り保証金の受入による収入60百万円があった。
財務CFは前年同期比3億61百万円収入が減少し、82百万円の支出となった。その主な内訳は、支出要因として、短期借入金の返済による支出8億95百万円、長期借入金の返済による支出4億15百万円、リース債務の返済による支出88百万円、収入要因として、短期借入れによる収入9億90百万円、長期借入れによる収入3億50百万円があった。

 

3.2020年3月期業績予想

連結業績

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

14,258

100.0%

14,903

100.0%

+4.5%

営業利益

494

3.5%

464

3.1%

-6.1%

経常利益

218

1.5%

139

0.9%

-36.1%

親会社株主に帰属する当期純利益

16

0.1%

46

0.3%

+184.6%

*単位:百万円

 

 

通期予想は修正なく、20/3期は売上高が前期比4.5%増の149億3百万円、経常利益は同36.1%減の1億39百万円を計画する。
固定資産の譲渡により4Q(1~3月)に特別利益1億23百万円を計上する見通し。加えて税務調査による消費税等の追加計上が期初の見通しからの変動要因となっているが、現在精査中であるとしている。
配当については、2.0円の期末配当を予定している。

 

4.今後の注目点

本業は着実に推移しているものの、税務調査による消費税等の不足額の追加計上による影響が大きく減益となった。この要因を除くと営業利益は微減、経常利益であったと推測される。人材の確保と人件費上昇といった課題を克服しつつ着実に進捗しているといえそうだ。高齢化、人材不足、雇用環境等様々な課題を抱える業界では大規模化が推奨されており、既に大手である同社もM&Aを絡めながら積極展開が進みそう。引き続きスケールメリットを活かした人材確保や社員のスキルアップにも期待したい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 5名、うち社外1名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2018年6月28日

 

<基本的な考え方>
当社は、社会的ニーズである介護サービスを中心として、リハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、より人間らしく生きるために積極的な生活支援を行うことにより、社会に貢献することであります。
当社は、これらの企業理念の実現のため、コーポレート・ガバナンスについて、当社の利害関係者と良好な関係を構築するに当たっての重要事項と考えております。当社の意思決定や行動が法令や市場のルールに反していないかという適法性を重視するだけでなく、社会に貢献しているか、社会の要請に反していないかという企業の社会性も重視しています。そして、コーポレート・ガバナンスが適確に機能するためには、徹底した透明性が必要であると考えております。法令等で義務付けられた範囲に限定することなく、株主や投資家をはじめ、従業員、地域社会や顧客に対して積極的に情報開示を行っていく考えです。当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は以下のとおりであります。
取締役会においては、取締役5名のうち社外取締役(非常勤)を1名選任しており、業務執行の迅速な意思決定や透明性を維持する組織を構築しております。
また、当社は、平成30年6月29日現在、会社法第2条第6号に定める大会社には該当しておりませんが、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図ることを目的として、監査役会を設置しております。監査役会においては、監査役の独立性と客観性を確保するため、監査役3名のうち社外監査役(非常勤)を2名選任し、取締役会の業務執行の監督・監視機能を強化しております。
内部監査につきましては、社長の直轄組織として内部監査室(5名)を設置しており、当社各事業部門が関係法令や社内規程を順守し、適切な運営がなされているか監査・指摘・検証を行っております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、JASDAQ上場会社としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

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